第1章 1変数データの記述
統計検定2級の箱ひげ図と四分位数
統計検定2級の公式出題範囲には、散らばりの指標として四分位数、四分位範囲、箱ひげ図が挙がっています。四分位範囲はQ3−Q1で、Q1−1.5×IQより小さい値とQ3+1.5×IQより大きい値が外れ値の候補です。
このページは、10人の得点の例で、四分位数の求め方、外れ値の境界、平均と中央値への影響を順に計算します。
この記事の目次
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結論
- 四分位数 = 中央値でデータを下半分と上半分に分け、それぞれの中央値がQ1とQ3
- 四分位範囲 = IQ = Q3−Q1(データの中央50%の幅)
- 外れ値の境界 = 下側Q1−1.5×IQ、上側Q3+1.5×IQ(外側の点が候補)
- 外れ値は平均と範囲を大きく動かし、中央値と四分位範囲は動きが小さい
四分位数と四分位範囲を求める
英語版Wikipediaの方法1は、中央値でデータを下半分と上半分に分け、下半分の中央値を下側四分位数Q1、上半分の中央値を上側四分位数Q3とします。偶数個のデータは、ちょうど半分に分けます。
例です(架空のデータです)。10人の得点を小さい順に並べると、12、15、18、20、22、25、27、30、33、70です。
- 中央値: 5番目と6番目の平均で(22+25)÷2=23.5
- 下半分12、15、18、20、22の中央値(Q1): 18
- 上半分25、27、30、33、70の中央値(Q3): 30
- 四分位範囲: IQ=30−18=12
外れ値の境界を計算する
NISTのハンドブックは、柵つき箱ひげ図で、下側の境界L1=Q1−1.5×IQと上側の境界U1=Q3+1.5×IQを計算します。ひげは、境界の内側にある最も外側の点まで引き、境界を越えた点は小さな円で別に描きます。
- 下側の境界: 18−1.5×12=0
- 上側の境界: 30+1.5×12=48
- 下側のひげ: 0より大きい最小の12まで
- 上側のひげ: 48より小さい最大の33まで
- 70: 48を超えるので、外れ値の候補として別の点で描く
ひげは最大値まで伸ばさず、境界の内側にある最大の値までで止めます。NISTは、この外側に3.0×IQの境界も置き、さらに離れた点を大きな円で描き分けています。式は統計検定2級の公式一覧にもまとめています。
外れ値が平均と中央値に与える影響
NISTは、分散と標準偏差が遠い値に大きな重みを与えるのに対し、四分位範囲はデータの中央部分だけを使うとしています。例の70点を除いた9人と比べます。
| 指標 | 10人(70点を含む) | 9人(70点を除く) |
|---|---|---|
| 平均 | 272÷10=27.2 | 202÷9≒22.4 |
| 中央値 | 23.5 | 22 |
| 範囲(最大−最小) | 70−12=58 | 33−12=21 |
| 四分位範囲 | 30−18=12 | 28.5−16.5=12 |
1人の外れ値で、平均は約4.8、範囲は37も動きますが、この例では四分位範囲は12のままです。中央値は23.5と22で1.5しか違わず、平均や範囲より動きが小さくなります。平均や中央値の違いは中央値の用語集で確認できます。
四分位数の定義で値が変わる
英語版Wikipediaは、離散データの四分位数の選び方に普遍的な合意はないとして、4つの方法を挙げています。順に並べた11個のデータ6、7、15、36、39、40、41、42、43、47、49(中央値は40)での値は、次のとおりです。
| 方法 | 下側四分位数Q1 | 上側四分位数Q3 |
|---|---|---|
| 方法1 | 15 | 43 |
| 方法2 | 25.5 | 42.5 |
| 方法3 | 20.25 | 42.75 |
| 方法4 | 15 | 43 |
同じデータでも、方法によってQ1は15から25.5まで動きます。このページの計算は、方法1(中央値で2つに分ける)で行っています。問題文に方法が示されていれば、それに従います。
間違えやすい点
計算の途中で起きやすい取り違えを、10人の得点の例で4つ挙げます。
- 範囲と四分位範囲を取り違える: 範囲は最大−最小の58、四分位範囲はQ3−Q1の12です。
- 境界の1.5を掛け忘れる: 上側の境界はQ3+IQの42ではなく、Q3+1.5×IQの48です。
- ひげを最大値まで伸ばす: 上側のひげは70ではなく、境界の内側の最大33までです。
- 外れ値を自動で捨てる: 境界の外は外れ値の「候補」で、図では別の点として描くだけです。
図を読むときは、箱の両端がQ1とQ3、箱の中の線が中央値、ひげの先が最大値とは限らない点を確かめます。
問題文から読み取る
問題文の言い回しから、使う指標と式を判断できます。このページの例から導いた読み方で、出題を予想するものではありません。
- 「データの中央50%の幅」とあれば、四分位範囲Q3−Q1
- 「外れ値の基準を1.5×四分位範囲とする」とあれば、Q1−1.5×IQとQ3+1.5×IQ
- 「外れ値の影響を受けにくい」とあれば、中央値や四分位範囲
- 「箱ひげ図から読み取る」とあれば、箱の両端がQ1とQ3、線が中央値
- 「複数のグループを箱ひげ図で比較する」とあれば、位置(中央値)とばらつき(箱の幅)の違い
統計検定2級の学習に使う書籍(Amazon)
試験範囲を通して読むときの1冊です。読んだ章は、このサイトの章別問題で確かめられます。
よくある質問
四分位範囲は、どう求めますか?
上側四分位数Q3から下側四分位数Q1を引いて、IQ=Q3−Q1で求めます。NISTの資料は、データの中心付近のばらつきを測る指標とし、データの中央部分だけを使うと説明しています。
外れ値の境界の1.5×IQは、何を基準にしますか?
NISTの柵つき箱ひげ図は、下側をQ1−1.5×IQ、上側をQ3+1.5×IQとして境界を計算します。境界の外にある点が外れ値の候補で、ひげは境界の内側にある最も外側の点まで引きます。
四分位数は、どの計算方法でも同じ値になりますか?
なりません。英語版Wikipediaは、離散データの四分位数の選び方に普遍的な合意はないとしています。問題文に計算方法が書かれていれば、その方法に従います。
箱ひげ図と四分位数は、統計検定2級の出題範囲に載っていますか?
載っています。公式の出題範囲表は、散らばりなどの指標の項目として、四分位数、四分位範囲、箱ひげ図などを挙げています。
![日本統計学会公式認定 統計検定2級 公式問題集[CBT対応版] の表紙](/_next/image?url=https%3A%2F%2Fm.media-amazon.com%2Fimages%2FP%2F4788920476.09._SCLZZZZZZZ_.jpg&w=256&q=75)