第1章 データの記述と要約(散布図と相関)
統計検定2級の相関係数(共分散から求める手順と偏相関係数の計算)
統計検定2級の公式出題範囲には、散布図、共分散、相関係数、偏相関係数などが含まれています。相関係数は、2変数の共分散を、それぞれの標準偏差の積で割った値です。単位を持たず、必ず−1以上1以下になります。
このページは、5つの点で偏差の積の和から相関係数までを順に計算し、単位を変えたとき、直線的でない関係のとき、第3の変数があるときの読み方を確かめます。
この記事の目次
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結論
- 相関係数 r = 共分散 ÷ (xの標準偏差 × yの標準偏差)。偏差の積の和を Sxy、偏差平方和を Sxx・Syy とすると r = Sxy ÷ √(Sxx × Syy)
- 共分散を n で割っても n−1 で割っても、相関係数は同じ値になる
- 単位を10倍にすると共分散は10倍になるが、相関係数は変わらない
- 相関係数が反映するのは直線的な関係だけ。0でも、関係がないとは限らない
- 第3の変数 Z の影響を除くには偏相関係数 (rXY − rXZ×rYZ) ÷ √((1−rXZ²)(1−rYZ²)) を使う
共分散と相関係数の定義
ピアソンの相関係数は、2変数の共分散を標準偏差の積で割った値です。共分散を標準化したものなので、値は必ず−1以上1以下になります。共分散と違って単位を持たないため、単位の異なる変数の組どうしでも、関連の強さを比べられます。
NISTのDataplotの説明では、標準の相関係数を r = Sxy ÷ (√Sxx × √Syy) と書きます。Sxx と Syy は各変数の偏差平方和、Sxy は偏差の積の和です。直線の関係が完全にあれば±1になり、直線的な関係がなければ0になります。
5つの点で計算する
計算例です(このページの架空のデータです)。x = 1, 2, 3, 4, 5、y = 1, 3, 4, 4, 8 の5点で、平均は x が3、y が4です。偏差(平均との差)と、その積を表にします。
| x | y | xの偏差 | yの偏差 | 偏差の積 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 1 | −2 | −3 | 6 |
| 2 | 3 | −1 | −1 | 1 |
| 3 | 4 | 0 | 0 | 0 |
| 4 | 4 | 1 | 0 | 0 |
| 5 | 8 | 2 | 4 | 8 |
- 偏差の積の和は Sxy = 6 + 1 + 0 + 0 + 8 = 15
- xの偏差平方和は Sxx = 4 + 1 + 0 + 1 + 4 = 10
- yの偏差平方和は Syy = 9 + 1 + 0 + 0 + 16 = 26
- nで割る共分散は 15 ÷ 5 = 3、n−1で割る共分散は 15 ÷ 4 = 3.75
相関係数は r = 15 ÷ √(10 × 26) = 15 ÷ √260 ≒ 0.93 です。割る数(nまたはn−1)は分子の共分散と分母の標準偏差の積の両方に入って約分されるため、どちらで割っても同じ値になります。共分散との違いは共分散と相関係数の比較でも確認できます。
単位を変えると何が変わるか
上の例で、y をすべて10倍(y = 10, 30, 40, 40, 80)にします。偏差も10倍になるので、偏差の積の和は150、共分散は30(nで割る場合)と10倍になります。一方、yの偏差平方和は2,600、標準偏差の積に当たる √(Sxx × Syy) は √(10 × 2,600) = √26,000 ≒ 161.2 で、r = 150 ÷ 161.2 ≒ 0.93 のままです。
共分散は単位に左右されますが、相関係数は単位を変えても変わりません。センチメートルとメートルのように単位を変えた問題では、共分散は変わり、相関係数は変わらない、と整理できます。
相関係数が0でも関係はある
相関係数が反映するのは直線的な関係で、それ以外の関係は無視されます。例として x = −2, −1, 0, 1, 2 と、その2乗の y = 4, 1, 0, 1, 4 を考えます。x の平均は0、y の平均は2で、偏差の積は (−2)×2、(−1)×(−1)、0×(−2)、1×(−1)、2×2 = −4, 1, 0, −1, 4 となり、その和は0です。
Sxy = 0 なので相関係数は0ですが、y は x から完全に決まっています。散布図を描いて形を見ることが大切なのは、このためです。相関係数の大きさだけでは、直線的でない関係は見落とします。
偏相関係数の計算
偏相関係数は、1つ以上の別の変数の影響を取り除いたうえでの、2変数の相関係数です。第3の変数 Z が1つの場合、NISTのDataplotの説明では、3つの相関係数から次の式で求めます。
偏相関係数 = (rXY − rXZ × rYZ) ÷ √((1 − rXZ²)(1 − rYZ²))
計算例です(架空の値)。rXY = 0.8、rXZ = 0.6、rYZ = 0.5 とします。分子は 0.8 − 0.6×0.5 = 0.5、分母は √((1−0.36)(1−0.25)) = √(0.64×0.75) = √0.48 ≒ 0.693 です。偏相関係数は 0.5 ÷ 0.693 ≒ 0.72 で、Z の影響を除くと、XとYの相関は0.8から0.72に下がります。違いは偏相関係数と相関係数の比較でも整理しています。
問題文から読み取る
問題文の言い回しから、確かめる点を決められます。このページの計算例から導いた読み方で、出題を予想するものではありません。
- 「単位を変えたとき」「標準化したとき」は、共分散は変わるが相関係数は変わらない点を確かめる
- 「−1から1の範囲」を外れた値は、計算ミスか、相関係数でない値
- 「相関係数が0」を「関係がない」と言い換えた選択肢は、直線的でない関係を見落としている
- 「相関が強い」を「原因である」と言い換えた選択肢は誤り
- 「第3の変数の影響を除いた」とあれば、偏相関係数の式に3つの相関係数を代入する
統計検定2級の学習に使う書籍(Amazon)
試験範囲を通して読むときの1冊です。読んだ章は、このサイトの章別問題で確かめられます。
よくある質問
散布図と相関は、統計検定2級の公式出題範囲にありますか?
あります。統計検定センターの2級の出題範囲表には、散布図、共分散、相関係数、みかけの相関(擬相関)、層別した散布図、相関行列、偏相関係数に関する項目があります。
共分散を n で割るか n−1 で割るかで、相関係数は変わりますか?
変わりません。相関係数は共分散を2つの標準偏差の積で割った値で、分子と分母で同じ割る数が約分されます。このページの例では、nで割っても n−1で割っても 15÷√(10×26) ≒ 0.93 です。
相関係数が0なら、2つの変数に関係はありませんか?
そうとは限りません。相関係数が反映するのは直線的な関係で、それ以外の関係は反映されないとされています。x が −2〜2、y がその2乗のデータでは、関係が完全に決まっていても相関係数は0です。
相関係数が1に近ければ、一方が原因でもう一方が結果と言えますか?
言えません。相関係数は直線的な関連の強さを表す数で、原因と結果の向きは表しません。第3の変数の影響を除いて見るときに、偏相関係数を使います。
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