記述統計
統計検定2級のジニ係数と歪度・尖度の計算
統計検定2級の出題範囲には、分布の特徴を捉える用語として、ローレンツ曲線、ジニ係数、歪度、尖度があります。このページは、5世帯の所得(1、2、3、4、10)という小さなデータで、4つを順に計算します。ジニ係数は格差の大きさ、歪度は左右の偏り、尖度は裾の重さを表します。
この記事の目次
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結論
- ローレンツ曲線は、所得の小さい順に並べて、世帯の累積割合と所得の累積割合を結んだ曲線
- ジニ係数は、ローレンツ曲線の下の面積をBとすると 1−2B で求まり、0から1の値で大きいほど格差が大きい
- 5世帯の所得(1、2、3、4、10)では、B=0.30、ジニ係数は0.4
- 同じデータの歪度は約1.14(右の裾が長い)、元の定義の尖度は約2.79、超過尖度は約−0.21
- 歪度と尖度の標準偏差はnで割る。尖度は3を引くかどうかで値が変わる
ローレンツ曲線を作る
総務省統計局の解説では、ローレンツ曲線は、階級値の小さい方から順に並べ、横軸に累積相対度数、縦軸に累積配分比率(階級値と度数を掛けた値の全体に占める割合の累積)を取って作ります。中央の斜線は均等配分線で、完全に均等に配分された場合を表します。作図では、原点を通るように先頭に0を入れておくとよいとされています。
5世帯の所得を1、2、3、4、10とします。数値は説明用に作った架空の例で、合計は20です。1世帯ずつ足していくと、世帯の累積割合は0.2ずつ増え、所得の累積割合は次の表のとおりです。右の列は、原点から各点までを台形とみなしたときの面積で、次の節で使います。
| 順位 | 所得 | 世帯の累積割合(横軸) | 所得の累積割合(縦軸) | 台形の面積 |
|---|---|---|---|---|
| 1世帯目 | 1 | 0.2(1/5) | 0.05(1/20) | (0+0.05)÷2×0.2=0.005 |
| 2世帯目 | 2 | 0.4(2/5) | 0.15(3/20) | (0.05+0.15)÷2×0.2=0.020 |
| 3世帯目 | 3 | 0.6(3/5) | 0.30(6/20) | (0.15+0.30)÷2×0.2=0.045 |
| 4世帯目 | 4 | 0.8(4/5) | 0.50(10/20) | (0.30+0.50)÷2×0.2=0.080 |
| 5世帯目 | 10 | 1.0(5/5) | 1.00(20/20) | (0.50+1.00)÷2×0.2=0.150 |
下位の4世帯は世帯の80%なのに、所得は全体の50%しかありません。均等配分線なら0.8の点は0.8になるので、ローレンツ曲線は均等配分線より下に垂れます。用語はローレンツ曲線の用語集にあります。
ジニ係数を面積から求める
統計局の定義では、ジニ係数は、均等配分線とローレンツ曲線に囲まれた面積を、均等配分線より下の三角形の面積で割った値です。累積比率を直線で結ぶ場合、ローレンツ曲線の下の面積をBとすると、三角形の面積は1/2なので、ジニ係数は (1/2−B)÷(1/2)=1−2B で計算できます。
上の表の台形の面積を足すと B=0.005+0.020+0.045+0.080+0.150=0.300 です。したがってジニ係数は 1−2×0.300=0.4 になります。全員が同じ所得ならローレンツ曲線が均等配分線に重なり、B=1/2でジニ係数は0です。1世帯が所得を独り占めする極端な場合は、Bが0に近づき、ジニ係数は1に近づきます。
用語はジニ係数の用語集にあります。公式の一覧は統計検定2級の公式集にまとめています。
歪度と尖度を計算する
NISTのハンドブックは、歪度を g1={Σ(Yi−平均)³÷N}÷s³ と定義します。sは標準偏差で、N−1ではなくNで割って求めると明記されています。尖度は同じsを使い、{Σ(Yi−平均)⁴÷N}÷s⁴ です。同じ5世帯の所得で計算します。平均は 20÷5=4 です。
| 所得 | 平均との差 | 2乗 | 3乗 | 4乗 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | −3 | 9 | −27 | 81 |
| 2 | −2 | 4 | −8 | 16 |
| 3 | −1 | 1 | −1 | 1 |
| 4 | 0 | 0 | 0 | 0 |
| 10 | 6 | 36 | 216 | 1296 |
| 合計 | 0 | 50 | 180 | 1394 |
分散はNで割るので 50÷5=10、標準偏差sは √10≒3.162 です。3乗の平均は 180÷5=36、s³=10×√10≒31.62 なので、歪度は 36÷31.62≒1.14 です。歪度が正なので、右の裾が長い分布で、所得10が右に離れているという見た目と一致します。4乗の平均は 1394÷5=278.8、s⁴=分散の2乗=100 なので、尖度は 278.8÷100=2.788 です。
尖度の定義は2種類ある
NISTの元の尖度では、標準正規分布の尖度は3です。ソフトウェアによっては、3を引いて標準正規分布を0にする超過尖度を出します。上の計算では、元の定義で2.788、超過尖度で 2.788−3=−0.212 です。元の定義で3より小さいので、正規分布よりも裾が軽い側のデータです。ただし、5件では偶然の影響が大きく、形の判断に使う数ではありません。
また、NISTは、多くのソフトが標本サイズで補正した歪度(調整済みFisher-Pearson係数)を計算するとも述べています。手計算の1.14と、ソフトの出力が少しずれても、計算の間違いとは限りません。
問題文から読み取る
このページの計算例から導いた読み方です。出題を予想するものではありません。
- 「所得や資産の格差」「均等配分線」とあれば、ローレンツ曲線とジニ係数
- 「ジニ係数が大きい」は、格差が大きい(曲線が均等配分線から遠い)
- 「歪度が正」は、右の裾が長い。「歪度が負」は、左の裾が長い
- 「ジニ係数は−1から1の値を取る」という選択肢は誤り(0から1)
- 「正規分布の尖度は常に0」という選択肢は、定義の確認が必要(元の定義は3、超過尖度は0)
外れ値と箱ひげ図の読み方は箱ひげ図と四分位数のページで整理しています。
統計検定2級の学習に使う書籍(Amazon)
試験範囲を通して読むときの1冊です。読んだ章は、このサイトの章別問題で確かめられます。
よくある質問
ジニ係数は大きいほど何を表しますか?
格差が大きいことを表します。総務省統計局の解説では、均等配分線とローレンツ曲線に囲まれた面積を、均等配分線より下の三角形の面積で割った値で、0から1の値を取ります。全員が同じ所得なら0です。
歪度が正のときは、分布のどちら側の裾が長いですか?
右側の裾が長くなります。NISTのFisher-Pearson型の定義では、歪度が負なら左の裾が相対的に長く、正なら右の裾が相対的に長いとされます。このページの所得(1、2、3、4、10)は、10が右に離れていて歪度は約1.14です。
尖度が3や0になるのはどんなときですか?
標準正規分布の尖度は、NISTが使う元の定義では3です。この3を引いた超過尖度では0になります。ソフトウェアの出力がどちらの定義かで、同じデータでも値が3ずれるため、出力の説明書きを確認します。
歪度や尖度の計算で、n−1で割ることはありますか?
NISTの定義では、歪度と尖度の標準偏差は、n−1ではなくnで割って求めます。歪度は、多くのソフトが標本サイズで補正した値を出すので、手計算の答えと少しずれることがあります。尖度は、3を引くかどうかも含めて定義がソフトで違います。試験では問題文の定義に従います。
![日本統計学会公式認定 統計検定2級 公式問題集[CBT対応版] の表紙](/_next/image?url=https%3A%2F%2Fm.media-amazon.com%2Fimages%2FP%2F4788920476.09._SCLZZZZZZZ_.jpg&w=256&q=75)