第3章 確率分布
統計検定2級のポアソン分布
統計検定2級の公式出題範囲には、離散型の確率分布としてポアソン分布が挙がっています。ポアソン分布は、所定の区間に起こる事象の回数を表し、平均も分散もλです。
このページは、確率の計算手順、平均と分散の求め方、二項分布からの近似を、1時間に平均3件の問い合わせが来る窓口の例で整理します。
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結論
- 確率質量関数 = P(X=x) = exp(-λ)λ^x / x!(x=0, 1, 2, ...)
- λ = 所定の区間に起こる事象の平均発生数
- 平均 = λ、分散 = λ、標準偏差 = √λ
- 区間を2倍にして数えるなら、平均発生数も2倍のλにして計算し直す
- 二項分布でλ=npを一定に保ったままnを大きくすると、ポアソン分布に近づく
使える場面
NISTのハンドブックは、ポアソン分布を、所定の時間区間に起こる事象の回数のモデルとしています。とりうる値は0以上の整数です。
このページの例です(架空のデータです)。問い合わせ窓口に、1時間に平均3件の電話が来るとします。
- 数えるもの: 1時間に来る電話の件数X(0件、1件、2件、...)
- λ: 1時間あたりの平均件数なので3
- 上限が決まっていない回数を数えている点が、試行回数nが決まっている二項分布との違い
「n回のうち何回」ではなく「この区間に何回」と聞かれたら、ポアソン分布を疑います。二項分布は二項分布の計算手順で確認できます。
確率の計算手順
NISTは、ポアソン分布の確率質量関数をP(X=x)=exp(-λ)λ^x/x!としています。λ=3を代入し、件数ごとの確率を求めます。e^-3≒0.0498を使います。
| 件数X | 計算 | 確率 |
|---|---|---|
| 0件 | e^-3 × 3^0 ÷ 0! | 0.0498 |
| 1件 | e^-3 × 3^1 ÷ 1! | 0.1494 |
| 2件 | e^-3 × 3^2 ÷ 2! | 0.2240 |
| 3件 | e^-3 × 3^3 ÷ 3! | 0.2240 |
この表から、次の確率が求まります。
- 1時間に1件も来ない確率: 0.0498(約5%)
- 2件以下の確率: 0.0498+0.1494+0.2240=0.4232
- 1件以上来る確率: 1−0.0498=0.9502(「少なくとも1件」は余事象で求める)
- 2時間で1件も来ない確率: 区間が2倍なのでλ=6となり、e^-6≒0.0025
区間の長さを変えたら、まずλを数え直してから式に代入します。用語はポアソン分布の用語集にあります。
平均と分散
NISTのハンドブックは、ポアソン分布の平均を形状パラメータλ、標準偏差を√λと示しています。分散は標準偏差の2乗なので、λです。
- λ=3の窓口: 平均3件、分散3、標準偏差√3≒1.73件
- 二項分布n=20、p=0.3: 平均6、分散4.2(平均より分散が小さい)
- ポアソン分布λ=6: 平均6、分散6(平均と分散が等しい)
平均と分散が等しいことは、ポアソン分布を見分ける手がかりになります。二項分布の分散np(1-p)は、1-pが1より小さい分だけ平均npより小さくなります。確率変数の期待値と分散の式は統計検定2級の公式一覧にもまとめています。
二項分布からの近似
日本語版Wikipediaの「ポアソン分布」は、パラメータがnとp=λ/nの二項分布で、λを一定に保ったままnを無限大に近づけると、平均λのポアソン分布に近づくと説明しています。これをポアソンの極限定理と呼びます。
例です。n=100、p=0.03の二項分布で、ちょうど2回成功する確率を比べます。平均はnp=3です。
- 二項分布: C(100,2)×0.03²×0.97^98≒4950×0.0009×0.0505≒0.2250
- ポアソン分布(λ=3): e^-3×3²÷2!≒0.2240
- 差は0.001ほどで、ほぼ同じ値になる
nが大きくpが小さい二項分布は、λ=npのポアソン分布で手早く近似できます。二項分布の組み合わせ数の計算が重い場面で役立ちます。2つの分布の違いは二項分布とポアソン分布の違いのページで比べています。
間違えやすい点
計算の途中で起きやすい取り違えを、窓口の例で3つ挙げます。
- 区間を変えたのにλを3のままにする: 2時間で数えるなら、平均は6件なのでλ=6です。
- 標準偏差と分散を取り違える: λ=3のとき、分散は3、標準偏差は√3≒1.73です。3を標準偏差と読むと、ばらつきを大きく見積もります。
- 0件の確率を忘れる: 「少なくとも1件」の確率は、x=1, 2, 3, ...を足すのではなく、1からP(X=0)を引くと一度で求まります。
式に代入する前に、λが問題の区間に合っているかを一度確かめます。
問題文から読み取る
問題文の言い回しから、使う分布と値を判断できます。このページの例から導いた読み方で、出題を予想するものではありません。
- 「1時間に平均3件」とあれば、λ=3のポアソン分布
- 「30分間の件数」で平均が1時間3件なら、区間が半分なのでλ=1.5
- 「少なくとも1件」とあれば、1−P(X=0)
- 「平均と分散が等しい」とあれば、ポアソン分布の性質
- 「nが大きくpが小さい二項分布」とあれば、λ=npのポアソン分布で近似
- 「20回の試行のうち成功した回数」とあれば、試行回数が決まっているので二項分布
統計検定2級の学習に使う書籍(Amazon)
試験範囲を通して読むときの1冊です。読んだ章は、このサイトの章別問題で確かめられます。
よくある質問
ポアソン分布のλは、何を表しますか?
NISTの資料は、λを所定の時間区間に起こる事象の平均発生数としています。1時間に平均3件ならλ=3、2時間で数えるなら区間が2倍になるので平均6件を表すλ=6を使います。
ポアソン分布の分散は、どう求めますか?
NISTの資料は、ポアソン分布の標準偏差を√λと示しています。したがって分散はλで、平均と等しくなります。λ=3なら分散は3、標準偏差は√3≒1.73です。
二項分布とポアソン分布は、どう使い分けますか?
試行回数nが決まっていて成功回数を数えるなら二項分布、所定の区間に起こる回数を数えるならポアソン分布です。二項分布で平均λ=npを一定に保ったままnを限りなく大きくすると、平均λのポアソン分布に近づきます。
ポアソン分布は、統計検定2級の出題範囲に載っていますか?
載っています。公式の出題範囲表は、確率分布の項目としてベルヌーイ試行、二項分布、ポアソン分布、幾何分布などを挙げています。
![日本統計学会公式認定 統計検定2級 公式問題集[CBT対応版] の表紙](/_next/image?url=https%3A%2F%2Fm.media-amazon.com%2Fimages%2FP%2F4788920476.09._SCLZZZZZZZ_.jpg&w=256&q=75)