第3章 確率分布
統計検定2級の二項分布(確率・期待値・分散の計算手順)
統計検定2級の公式出題範囲には、離散型確率分布として二項分布が挙がっています。二項分布は、成功確率pが一定の試行をn回独立に行ったときの、成功回数Xの分布です。
このページは、使える条件の確認、確率の計算、期待値と分散の計算を、数字を追いながら解きます。
公式情報の確認
試験日、料金、申込条件、試験方式など変動する情報は、公式情報を最終確認してください。 当サイトの一次情報確認日: 2026-10-09。
- 試験概要を確認する →
- CBT方式 公式案内を確認する →
- 資格・合格証明の公式FAQを確認する →
- 試験結果・合格率の公式発表を確認する →
- 公式情報を確認する →
- 公式情報を確認する →
- 公式情報を確認する →
- 公式情報を確認する →
- 公式情報を確認する →
試験の出題範囲・実施要項は変動するため、受験前に公式情報を確認してください。
結論
- 成功回数がx回になる確率は C(n,x) × p^x × (1−p)^(n−x)
- 期待値は np、分散は np(1−p)、標準偏差は √[np(1−p)]
- 「少なくとも1回」は、1 − (1−p)^n で求める
- 成功確率が回ごとに変わる非復元の抽出は、二項分布ではなく超幾何分布
- n=1のとき、二項分布はベルヌーイ分布になる
二項分布が使える条件
NIST公式ハンドブックは、各試行の成功確率pが一定で成功・失敗の2結果を持つn回の試行を、二項分布の前提として説明しています。問題を解く前に、次の4点を確かめます。
| 確かめること | 当てはまらないとき |
|---|---|
| 試行の回数nが決まっている | 「当たるまで引く」のように回数が結果で決まる場合は、二項分布ではなく幾何分布の話になる |
| 各回の結果が「成功」「失敗」の2つだけ | 3つ以上の結果に分かれる場合は、そのままでは当てはまらない |
| 各回の成功確率pが同じ | 非復元で取り出すと回ごとに割合が変わるので、超幾何分布を使う |
| 各回が独立 | 前の結果が次の確率に影響する場合は当てはまらない |
一次資料: 統計検定センター「統計検定2級 出題範囲」、NIST/SEMATECH e-Handbook of Statistical Methods
確率の計算例
NISTは、二項分布の確率質量関数を P(X=x) = C(n,x) p^x (1−p)^(n−x) としています。C(n,x)は、n回のうちどのx回が成功かの選び方の数です。
計算例です(このページの架空のデータです)。当たる確率が0.3のくじを、毎回戻して5回引きます。当たりの回数をXとすると、Xは n=5、p=0.3 の二項分布に従います。
- ちょうど2回当たる確率: C(5,2) × 0.3² × 0.7³ = 10 × 0.09 × 0.343 = 0.3087
- 1回も当たらない確率: 0.7⁵ = 0.16807
- 少なくとも1回当たる確率: 1 − 0.16807 = 0.83193
もう一つ、成功確率が0.5で4回の試行なら、ちょうど2回成功する確率は C(4,2) × 0.5² × 0.5² = 6 ÷ 16 = 0.375です。「ちょうどx回」は式に代入し、「少なくとも1回」は余事象の1から引く、と使い分けます。用語は二項分布の用語集で確認できます。
期待値と分散の計算例
成功回数Xの期待値はnp、分散はnp(1−p)です。前の節のくじ(n=5、p=0.3)では、次のとおりです。
- 期待値: 5 × 0.3 = 1.5回
- 分散: 5 × 0.3 × 0.7 = 1.05
- 標準偏差: √1.05 ≒ 1.02
別の例として、n=20、p=0.3なら、期待値は20 × 0.3 = 6、分散は20 × 0.3 × 0.7 = 4.2、標準偏差は√4.2 ≒ 2.05です。期待値は平均して何回成功するか、分散はその回数のばらつきの大きさを表します。pが0.5に近いほどp(1−p)が大きくなり、同じnでもばらつきが大きくなります。 用語は期待値と分散の用語集で確認できます。
近い分布との使い分け
- ベルヌーイ分布: 1回の試行の分布。二項分布のn=1の場合にあたります(ベルヌーイ分布)
- 超幾何分布: 有限の母集団から非復元で取り出す場合。1個取り出すごとに母集団の中の割合が変わります。総数10個のうち標識要素4個から3個を取り出して標識要素がちょうど1個の確率は、C(4,1)C(6,2)÷C(10,3) = 0.5で、成功確率0.4・n=3の二項分布の0.432とは値が違います
- ポアソン分布: 所定の時間区間に起こる事象の回数の分布。平均も分散もλです。二項分布で平均λを一定に保ったままnを限りなく大きくすると、平均λのポアソン分布に近づきます(ポアソンの極限定理)
- 幾何分布: 最初の成功までの試行回数の分布。回数が結果で決まるので、回数nを固定する二項分布とは別です
二項分布の確率を正規分布で近似する方法は、中心極限定理と標準誤差のページで連続修正まで扱っています。
問題文から読み取る
問題文の言い回しから、使う分布と式を読み取れます。このページの計算例から導いた読み方で、出題を予想するものではありません。
- 「毎回戻して」「独立に」とあれば、成功確率が一定。二項分布を使う
- 「戻さずに」とあれば、超幾何分布。二項分布の式は使えない
- 「ちょうどx回」なら、C(n,x) p^x (1−p)^(n−x) に代入する
- 「少なくとも1回」なら、1 − (1−p)^n
- 「平均して何回」「ばらつき」とあれば、np と np(1−p)
- 「最初に成功するまで」とあれば、回数が決まっていないので幾何分布
統計検定2級の学習に使う書籍(Amazon)
試験範囲を通して読むときの1冊です。読んだ章は、このサイトの章別問題で確かめられます。
よくある質問
二項分布は、統計検定2級の公式出題範囲にありますか?
あります。統計検定センターの2級の出題範囲表は、離散型確率分布として、ベルヌーイ分布、二項分布、幾何分布、超幾何分布、ポアソン分布、負の二項分布を挙げています。
二項分布の期待値と分散の式は何ですか?
成功確率がpの試行をn回行うとき、成功回数Xの期待値はnp、分散はnp(1-p)、標準偏差は√[np(1-p)]です。n=20、p=0.3なら、期待値6、分散4.2、標準偏差は約2.05になります。
ベルヌーイ分布と二項分布は何が違いますか?
ベルヌーイ分布は1回の試行の結果(成功か失敗か)の分布で、二項分布はそのベルヌーイ試行を独立にn回行ったときの成功回数の分布です。二項分布の式でn=1とすると、成功する確率がp、失敗する確率が1-pのベルヌーイ分布になります。
「少なくとも1回」の確率はどう求めますか?
「1回も成功しない確率」を求めて1から引くのが近道です。成功確率0.3で5回なら、全部失敗する確率は0.7の5乗で約0.168なので、少なくとも1回成功する確率は約0.832です。
![日本統計学会公式認定 統計検定2級 公式問題集[CBT対応版] の表紙](/_next/image?url=https%3A%2F%2Fm.media-amazon.com%2Fimages%2FP%2F4788920476.09._SCLZZZZZZZ_.jpg&w=256&q=75)