第3章 確率分布
統計検定2級の正規分布
統計検定2級の公式出題範囲には、連続型の確率分布として正規分布が挙がっています。正規分布の確率は、標準化してから標準正規分布表を引いて求めます。
このページは、標準化の手順、表の読み方、±1σ・±2σ・±3σの確率、2つの正規分布の和と差を、平均60・標準偏差10の得点の例で整理します。
この記事の目次
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結論
- 正規分布N(μ, σ²) = 平均μ、標準偏差σの、左右対称な釣鐘型の分布
- 標準化 = Z = (X − μ) ÷ σ とすると、Zは標準正規分布N(0, 1)に従う
- 表の引き方 = zを求めて、標準正規分布表から確率を読む
- 目安の確率 = ±1σ以内が約68.27%、±2σ以内が約95.45%、±3σ以内が約99.73%
- 和と差 = 独立な正規分布の和も差も正規分布で、分散は足し算になる
形とパラメータ
NISTのハンドブックは、正規分布の確率密度関数をf(x)=exp(−(x−μ)²/(2σ²))÷(σ√(2π))とし、μを位置パラメータ、σを尺度パラメータとしています。μ=0、σ=1の場合が標準正規分布です。
このページの例です(架空のデータです)。ある模擬試験の得点Xが、平均60、標準偏差10の正規分布に従うとします。
- 中心: μ=60。分布の山の頂点で、最頻値もμ、歪度は0
- 広がり: σ=10。大きいほど山が低く広がる
- 表すもの: 連続型なので、1点の確率ではなく、範囲の面積が確率
正規分布は、中心μと広がりσの2つが決まれば、形がすべて決まります。用語は正規分布の用語集にあります。
確率の計算手順
日本語版Wikipediaの「正規分布」は、N(μ, σ)に従うXをZ=(X−μ)/σと標準化すれば、Zが標準正規分布に従い、標準正規分布表で確率が求まると説明しています。手順は次の3つです。
- 標準化: 得点から平均を引き、標準偏差で割ってzを出す
- 表を引く: zに対する「0からzまでの面積」を読む
- 0.5から引く(上側の確率の場合): 右半分の面積は0.5なので、表の値を引く
| 求める確率 | 標準化 | 表の値 | 答え |
|---|---|---|---|
| X≧80 | (80−60)÷10=2 | 0.4772 | 0.5−0.4772=0.0228 |
| X≧75 | (75−60)÷10=1.5 | 0.4332 | 0.5−0.4332=0.0668 |
| 50≦X≦70 | −1≦Z≦1 | ±1σの範囲 | 約0.6827 |
80点以上は約2.3%、75点以上は約6.7%です。同じ表で、z=2.0の0.4772とz=1.5の0.4332を使い分けています。
表を引く前に、表が「0からzまで」か「左端からz」かを必ず確かめます。標準化の考え方は標準化と偏差値、表の使い方は統計数値表の読み方にまとめています。
±1σ・±2σ・±3σの確率
日本語版Wikipediaは、平均μからのずれが±1σ以下に入る確率を68.27%、±2σ以下を95.45%、±3σ以下を99.73%としています。この例では、次のようになります。
- ±1σ: 50点から70点までが約68.27%
- ±2σ: 40点から80点までが約95.45%
- ±3σ: 30点から90点までが約99.73%
表を引かなくても、±1σ・±2σ・±3σの範囲なら、この3つの数字で答えられます。95%信頼区間で使う1.96は、中心から±1.96σの範囲に約95%が入ることを表します。詳しくは信頼区間の求め方に載せています。
和と差の分布(再生性)
日本語版Wikipediaは、独立な確率変数が正規分布N(μi, σi²)に従うとき、その線型結合ΣaiXiも正規分布N(Σaiμi, Σai²σi²)に従う性質を、再生性として説明しています。
例です。独立なX〜N(60, 10²)と、Y〜N(50, 8²)の2科目の得点を考えます。
- 合計X+Y: 平均60+50=110、分散100+64=164、標準偏差√164≒12.8
- 差X−Y: 平均60−50=10、分散は同じく100+64=164
- 差の分散が引き算の36にならない点が、取り違えやすい箇所
平均は足し引きし、分散は常に足し算にします。この性質は、標本平均の分布を考える中心極限定理と標準誤差でも使います。
間違えやすい点
計算の途中で起きやすい取り違えを、得点の例で3つ挙げます。
- 分散を標準偏差と読み違える: N(60, 10²)の10は標準偏差で、分散は100です。σ²=10と読むとzを大きく見積もります。
- 表の値をそのまま答えにする: 80点以上の確率は、表の0.4772ではなく、0.5から引いた0.0228です。
- 差の分散を引き算にする: X−Yの分散は、100−64ではなく、100+64=164です。
表の値を読んだら、求めたい範囲に直すところまでを1つの手順として確かめます。
問題文から読み取る
問題文の言い回しから、行う計算を判断できます。このページの例から導いた読み方で、出題を予想するものではありません。
- 「N(60, 10²)に従う」とあれば、平均60、標準偏差10(分散は100)
- 「X≧80となる確率」とあれば、z=2に標準化して、0.5から表の値を引く
- 「平均から標準偏差の2倍以内」とあれば、約95.45%
- 「標準正規分布に従う」とあれば、標準化は済んでいて、そのまま表を引く
- 「独立な2つの正規分布の和(差)」とあれば、平均は足し引き、分散は足し算
統計検定2級の学習に使う書籍(Amazon)
試験範囲を通して読むときの1冊です。読んだ章は、このサイトの章別問題で確かめられます。
よくある質問
標準正規分布とは何ですか?
NISTの資料は、正規分布のうち平均μ=0、標準偏差σ=1の場合を標準正規分布と呼ぶとしています。どんな正規分布も、Z=(X−μ)/σと標準化すれば標準正規分布に従うので、1枚の分布表で確率を求められます。
標準正規分布表は、何の面積が載っていますか?
このページで使う表は、0からzまでの面積を載せた形で、z=2.0なら0.4772です。表によっては0からではなく左端(−∞)からの面積を載せているものもあるため、使う前に表の見出しを確かめます。
正規分布の平均と最頻値は、なぜ一致するのですか?
NISTの資料は、最頻値が位置パラメータμ、歪度が0としています。左右対称の釣鐘型なので、中心のμが平均でも最頻値でもあります。
正規分布は、統計検定2級の出題範囲に載っていますか?
載っています。公式の出題範囲表は、確率分布の項目として一様分布、指数分布、正規分布、2変量正規分布などを挙げています。
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