第3章 確率分布
統計検定2級の一様分布と指数分布
統計検定2級の公式出題範囲には、連続型の確率分布として一様分布と指数分布が挙がっています。一様分布は区間の長さの比、指数分布はexp(−x/β)で確率を求めます。
このページは、2つの分布の確率の計算と、平均・中央値・標準偏差の違いを、待ち時間の例で整理します。
この記事の目次
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結論
- 一様分布 = 区間[A, B]のどこも同じ起こりやすさで、確率は長さの比(d−c)÷(B−A)
- 一様分布の平均 = (A+B)÷2、標準偏差 = √((B−A)²÷12)
- 指数分布 = 待ち時間などを表し、F(x)=1−exp(−x/β)、S(x)=exp(−x/β)
- 指数分布の平均 = β、標準偏差 = β、中央値 = βln2(平均より小さい)
一様分布の確率と平均
区間[A, B]の一様分布は、確率密度が1÷(B−A)で一定です。そのため、A以上B以下に含まれる部分区間[c, d]の確率は、長さの比(d−c)÷(B−A)になります。
このページの例です(架空のデータです)。ある駅で、10分おきに来る電車に時刻表を見ずに着き、次の電車までの待ち時間Xが0〜10分のどこでも同じ起こりやすさだとして、Xを一様分布[0, 10](単位は分)とします。
- 3分以内の確率 P(X≦3): (3−0)÷(10−0)=0.3
- 4分以上9分以下の確率: (9−4)÷10=0.5
- 平均と中央値: (0+10)÷2=5分
- 標準偏差: NISTの式√((B−A)²÷12)=√(100÷12)≒2.89分
一様分布の確率は、積分ではなく、区間の長さの割り算で求めます。用語は一様分布の用語集にあります。
指数分布の確率
NISTのハンドブックは、尺度βの指数分布の累積分布関数をF(x)=1−exp(−x/β)(x≧0)、生存関数をS(x)=exp(−x/β)としています。生存関数は、xを超える確率です。
例です。窓口に呼ばれるまでの待ち時間Xが、平均20分(β=20)の指数分布に従うとします。
| 求める確率 | 計算 | 答え |
|---|---|---|
| 30分を超えて待つ確率 P(X>30) | exp(−30÷20)=exp(−1.5) | 0.2231 |
| 20分以内に来る確率 P(X≦20) | 1−exp(−20÷20)=1−exp(−1) | 0.6321 |
| 10分以内に来る確率 P(X≦10) | 1−exp(−0.5) | 0.3935 |
30分を超えて待つ確率は約22.3%、20分以内に呼ばれる確率は約63.2%です。平均と同じ20分以内に呼ばれる確率が、半分ではなく6割を超える点に注意します。
「超える確率」ならexp(−x/β)、「以内の確率」なら1からそれを引きます。回数を数えるポアソン分布との違いはポアソン分布と指数分布の違いで比べています。
平均・中央値・標準偏差
NISTのハンドブックは、位置0の指数分布の平均をβ、中央値をβln2、標準偏差をβ、変動係数を1としています。β=20の窓口では、次のようになります。
- 平均: 20分
- 中央値: 20×ln2≒13.9分(平均より短い)
- 標準偏差: 20分(平均と同じ)
指数分布は平均と標準偏差が等しく、中央値は平均より小さくなります。一様分布では平均と中央値がどちらも(A+B)÷2で一致するので、この違いで2つを見分けられます。確率分布の公式は統計検定2級の公式一覧にもまとめています。
平均が同じ10分の2つを比べる
平均を10分にそろえた一様分布[0, 20]と指数分布(β=10)で、NISTの式から平均・中央値・標準偏差を計算し、並べます(架空の例です)。
| 項目 | 一様分布[0, 20] | 指数分布(β=10) |
|---|---|---|
| 平均 | (0+20)÷2=10分 | β=10分 |
| 中央値 | 10分(平均と同じ) | 10×ln2≒6.9分 |
| 標準偏差 | √(20²÷12)≒5.77分 | β=10分 |
| 10分を超える確率 | (20−10)÷20=0.5 | exp(−1)≒0.3679 |
平均が同じでも、指数分布のほうが中央値が小さく、標準偏差が大きくなります。平均だけが与えられた問題では、どちらの分布かを先に確かめないと、平均を超える確率を半分と答える取り違えが起きます。
間違えやすい点
計算の途中で起きやすい取り違えを、待ち時間の例で3つ挙げます。
- 「超える」と「以内」を逆にする: P(X>30)はexp(−1.5)≒0.2231で、P(X≦30)はその余事象の1−0.2231=0.7769です。
- 平均と尺度βを取り違える: 平均20分の指数分布は、βに20を入れます。20の逆数の0.05を入れると、確率が大きくずれます。
- 標準偏差の式をそのまま使う: 一様分布の標準偏差は区間の長さ10を割り算した値ではなく、√(10²÷12)≒2.89です。
式を使う前に、問題文の数字が平均なのか平均の逆数なのかを一度確かめます。
問題文から読み取る
問題文の言い回しから、使う分布と式を判断できます。このページの例から導いた読み方で、出題を予想するものではありません。
- 「区間のどこでも同様に確からしい」とあれば、一様分布で長さの比
- 「平均20分の指数分布」とあれば、β=20
- 「xを超える確率」とあれば、exp(−x/β)
- 「平均と標準偏差が等しい」とあれば、指数分布の性質
- 「中央値は平均より小さい」とあれば、指数分布の性質(中央値βln2は平均βの約0.69倍)
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試験範囲を通して読むときの1冊です。読んだ章は、このサイトの章別問題で確かめられます。
よくある質問
一様分布の確率は、どう求めますか?
区間[A, B]の一様分布では、確率密度が1÷(B−A)で一定なので、部分区間[c, d]に入る確率は長さの比(d−c)÷(B−A)で求まります。積分を計算しなくても、割り算だけで答えが出ます。
指数分布の平均と標準偏差は、なぜ等しいのですか?
NISTの資料は、位置0の指数分布の平均をβ、標準偏差もβ、変動係数を1としています。平均が20分なら標準偏差も20分です。この性質は、指数分布を見分ける手がかりになります。
指数分布の中央値は、平均と同じですか?
同じではありません。NISTの資料は、位置0の指数分布の中央値をβln2としています。平均20分なら中央値は20×0.693≒13.9分で、平均より短くなります。
一様分布と指数分布は、統計検定2級の出題範囲に載っていますか?
載っています。公式の出題範囲表は、確率分布の項目としてベルヌーイ試行、二項分布、ポアソン分布、幾何分布、一様分布、指数分布、正規分布などを挙げています。
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