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用語比較

第1種の過誤と第2種の過誤の違い

第1種の過誤と第2種の過誤は、どちらも仮説検定で起こり得る誤りですが、向きが逆です。第1種の過誤は本当は正しい帰無仮説を誤って棄却してしまう誤りで、第2種の過誤は本当は誤っている帰無仮説を棄却できず受け入れてしまう誤りです。

統計検定2級では、帰無仮説が本当は正しいか誤っているかと、検定の結果として棄却したかしなかったかを2×2の組み合わせで整理してから、どちらの過誤に当たるかを特定します

このページは、二つの過誤の名前と向きを逆に覚えてしまう人と、有意水準を下げれば両方の誤りが同時に減ると考えている人を対象にしています。有意水準・検出力との関係まで含めて、判断の手順として整理します。

公式情報の確認

試験日、料金、申込条件、試験方式など変動する情報は、公式情報を最終確認してください。 当サイトの一次情報確認日: 2026-07-11。

用語の定義・試験での使われ方は、統計検定2級の公式シラバスとの整合を確認したうえでの編集部の解説です。試験仕様は変更される場合があるため、受験前に公式情報を確認してください。

結論

第1種の過誤

本当は正しい帰無仮説を、検定の結果として誤って棄却してしまう誤り。

第2種の過誤

本当は誤っている帰無仮説を、検定の結果として棄却できず受け入れてしまう誤り。

違いを表で確認

比較軸左側の概念右側の概念
帰無仮説の真偽本当は正しい本当は誤っている
検定の結果誤って棄却してしまう棄却できず受け入れてしまう
関連する基準有意水準が起こりやすさの上限を決める検出力(1-過誤の確率)と表裏の関係にある
有意水準を小さくした時の影響起こりにくくなる他の条件が同じなら起こりやすくなりやすい
標本サイズを増やした時の影響有意水準が変わらなければ直接は変化しない検出力が上がり起こりにくくなりやすい

どこで迷っているかを切り分ける

二つの過誤の向きを逆に覚えている初学者

「第1種」「第2種」という順番の響きだけで覚えると、どちらが帰無仮説を誤って棄却する側かを取り違えます。帰無仮説が本当は正しいのか誤っているのかを先に決め、検定の結果として棄却したのか棄却しなかったのかを続けて確認する2段階で、名前ではなく組み合わせから特定してください。

有意水準を下げれば両方の誤りが減ると考える人

有意水準は第1種の過誤の起こりやすさの上限を決める基準です。標本の大きさなど他の条件が同じであれば、有意水準を小さくするほど第2種の過誤はむしろ起こりやすくなる関係があるため、片方だけを見て両方が改善すると判断しないようにします。

検出力の意味を第2種の過誤と取り違える再受験者

検出力は、本当に帰無仮説が誤っている場合にそれを正しく棄却できる確率で、第2種の過誤の確率とは1から引いた関係にあります。検出力が高いという説明を、第2種の過誤が起こりやすいという意味に読み替えないようにします。

具体例で使い分ける

1

本当は効果がない学習法を「効果がある」と判定してしまう

新しい学習法と従来の学習法で、本当は得点に差がないにもかかわらず、検定の結果として帰無仮説を棄却し、差があると判断してしまう場面です。

  1. 1.帰無仮説は本当は正しい(差がない)状態です。
  2. 2.検定の結果として、この正しい帰無仮説を誤って棄却しています。
  3. 3.有意水準は、このような誤りがどれくらいの確率で起こり得るかの上限を事前に決めた値として関わります。

結論: 正しい帰無仮説を誤って棄却しているので、第1種の過誤にあたります。

2

本当は効果がある学習法を「効果がない」と判定してしまう

新しい学習法が本当は得点を上げる効果を持っているにもかかわらず、検定の結果として帰無仮説を棄却できず、差がないと判断してしまう場面です。

  1. 1.帰無仮説は本当は誤っている(実際には差がある)状態です。
  2. 2.検定の結果として、この誤っている帰無仮説を棄却できずに受け入れています。
  3. 3.標本サイズが小さいなど検出力が低い条件では、本当の差を見つけられずこの誤りが起こりやすくなります。

結論: 誤っている帰無仮説を棄却できずに受け入れているので、第2種の過誤にあたります。

3

有意水準を変更した後にどちらの過誤が動くかを判断する

同じデータについて、有意水準を通常より小さい値に変更してから検定をやり直す場面です。

  1. 1.有意水準を小さくすると、正しい帰無仮説を誤って棄却してしまう確率の上限は下がります。
  2. 2.一方で、標本サイズなど他の条件が変わらなければ帰無仮説を棄却しにくくなるため、誤っている帰無仮説を見逃す可能性は上がりやすくなります。
  3. 3.一方の過誤だけを見て、検定全体の判断が改善したと断定しません。

結論: 有意水準の変更は、第1種の過誤と第2種の過誤を反対方向に動かしうると読みます。

問題文から答えを選ぶ手順

  1. 1. 帰無仮説の真偽を仮に固定する

    設問が想定している「本当の状態」が、帰無仮説が正しい場合か誤っている場合かを先に読み取ります。

  2. 2. 検定の結果を確認する

    検定の結果として、帰無仮説を棄却したのか棄却しなかったのかを確認します。ここまでで4通りの組み合わせのどれかが決まります。

  3. 3. 誤りに当たる組み合わせを特定する

    本当は正しいのに棄却したなら第1種の過誤、本当は誤っているのに棄却できなかったなら第2種の過誤です。残り2通りは正しい判断なので過誤には当たりません。

  4. 4. 有意水準・検出力との関係を確認する

    有意水準は第1種の過誤の起こりやすさの上限、検出力(1-第2種の過誤の確率)は本当の差を正しく検出できる確率です。一方を動かすと他方にどう影響するかも合わせて確認します。

試験での見分け方

  • 本当は正しい帰無仮説を誤って棄却するなら第1種の過誤。
  • 本当は誤っている帰無仮説を棄却できないなら第2種の過誤。
  • 有意水準は第1種の過誤の起こりやすさの上限として事前に決める基準。
  • 検出力は本当に誤っている帰無仮説を正しく棄却できる確率で、第2種の過誤の確率と表裏の関係。
  • 有意水準を小さくすると、他の条件が同じなら第2種の過誤は起こりやすくなりやすい。
  • 標本サイズを増やすと検出力が上がり、第2種の過誤は起こりにくくなりやすい。

誤答しやすい選択肢

二つの過誤の向きを逆に覚える

修正: 本当は正しいのに棄却するのが第1種、本当は誤っているのに棄却できないのが第2種と、帰無仮説の真偽から先に固定します。

有意水準を下げれば両方の誤りが同時に減ると考える

修正: 有意水準を下げるのは第1種の過誤の上限を下げる操作です。他の条件が同じなら第2種の過誤はむしろ起こりやすくなる関係を確認します。

検出力を第2種の過誤の確率そのものと同一視する

修正: 検出力は1から第2種の過誤の確率を引いた値です。検出力が高いという説明を、第2種の過誤が起こりやすいという意味に読み替えません。

帰無仮説を棄却できなかったことを「帰無仮説が正しいと証明された」と読む

修正: 棄却できなかったのは、今回のデータでは誤りを示す根拠が十分でなかったという結果であり、帰無仮説が正しいと確定したわけではありません。

確認問題

Q1.本当は正しい帰無仮説を、検定の結果として誤って棄却してしまう誤りを何という?

答え: 第1種の過誤

帰無仮説が本当は正しい状態で、検定の結果としてそれを棄却している点が判断根拠です。

Q2.本当は誤っている帰無仮説を、検定の結果として棄却できず受け入れてしまう誤りを何という?

答え: 第2種の過誤

帰無仮説が本当は誤っている状態で、検定の結果としてそれを棄却できていない点が判断根拠です。

Q3.有意水準を小さくすると、他の条件が同じ場合に第2種の過誤はどうなりやすい?

答え: 起こりやすくなりやすい

有意水準は第1種の過誤の上限を決める基準です。これを小さくすると帰無仮説を棄却しにくくなるため、誤っている帰無仮説を見逃す第2種の過誤は起こりやすくなりやすい関係にあります。

到達チェック

  • 第1種の過誤と第2種の過誤を、帰無仮説の真偽と検定結果の組み合わせで説明できる
  • 有意水準が第1種の過誤の起こりやすさの上限であると言える
  • 検出力と第2種の過誤の確率が表裏の関係にあることを説明できる
  • 有意水準を下げた時に第2種の過誤がどう動きやすいかを言える
  • 帰無仮説を棄却できなかったことを、帰無仮説が正しい証明と読み替えない

よくある質問

第1種の過誤と第2種の過誤はどちらが重い誤り?

目的次第です。誤った棄却を避けたいなら第1種の過誤、見逃しを避けたいなら第2種の過誤を重視します。どちらを優先するかで有意水準や標本サイズの設計が変わります。

有意水準を下げれば安全?

第1種の過誤の上限は下がりますが、他の条件が同じなら第2種の過誤は起こりやすくなりやすいため、一方だけを見て安全とは言えません

検出力は高いほどよい?

本当に差がある場合にそれを正しく検出できる確率なので、高いほど第2種の過誤は起こりにくくなります。標本サイズを増やすことなどが検出力を上げる方向に関わります。

帰無仮説を棄却できなければ、帰無仮説は正しいと言える?

言えません。棄却できなかったのは今回のデータでは誤りを示す根拠が十分でなかったという結果であり、帰無仮説が正しいと証明されたわけではありません。

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