用語比較
トレンドと季節変動の違い|時系列の成分を加法モデルと4項移動平均で分ける(統計検定2級)
トレンドは、データが長い目で見て増えていく・減っていく向きです。季節変動は、1年の四半期や月のように、決まった周期でくり返す上下です。この2つは、時系列を分けて考えるときの別々の成分です。
統計検定センターの2級の出題範囲表は、時系列データの処理として、トレンドと平滑化(移動平均)を挙げています。季節変動という語は表に載っていませんが、移動平均で何が取れて何が残るかを考えるときの土台になります。
このページは、移動平均をかけたら季節変動の上下が消えた理由が分からない人向けです。架空の四半期データ8期分で、4項と3項の移動平均を手計算して比べます。
この記事の目次
この記事の根拠と出典
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結論
トレンド
長期にわたる増加または減少の向き。直線でなくてもよい(英語版Wikipediaの説明)。
季節変動
四半期・月・曜日のように、固定された既知の周期でくり返す変動。周期が決まっていることが条件。
不規則変動
トレンドや季節変動を取り除いたあとに残る、ランダムな影響。残差にあたる。
違いを表で確認
| 比較軸 | トレンド | 季節変動 |
|---|---|---|
| どんな動きか | 長期の増加・減少の向き(トレンド) | 決まった周期でくり返す上下(季節変動) |
| 周期 | 決まった周期は持たない | 固定された既知の周期(四半期なら4、月なら12) |
| 加法モデルでの置き方 | T(トレンド成分) | S(季節成分)。1周期ぶん足すと0になるよう置くことが多い |
| 移動平均との関係 | 移動平均で取り出す対象 | 窓の長さを周期に合わせると打ち消される |
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上がり下がりをくり返すデータを、すべて季節変動と呼んでしまう人
周期が固定されて既知のものが季節変動です。周期がそろわない上下は、循環変動や不規則変動として別に扱われます。
移動平均の項数を何にすればよいか迷う人
データに周期があるなら、その周期と同じ項数を選ぶと、季節変動が打ち消されて向きが見やすくなります。四半期データなら4項です。
3項移動平均をかけても、まだ上下が残って悩む人
周期が4なのに3項でならすと、季節変動が完全には打ち消されず、平均にでこぼこが残ります。窓の長さと周期が合っているかを確認します。
具体例で使い分ける
例 1
四半期データをトレンドと季節変動に分ける
ある商品の売上を8四半期分、架空に作ります。トレンドは第t期で100+2t(102から116まで)、季節成分は第1〜第4四半期で+6・−2・−8・+4(合計0)とし、不規則変動は0とします。
- 売上は、トレンドと季節成分を足した108・102・98・112・116・110・106・120です。
- たとえば第1期は102+6=108、第3期は106−8=98です。
- 周期は4なので、第5期以降は第1期以降の季節成分がくり返されます。
結論: 加法モデルでは、売上=トレンド+季節変動+不規則変動です。この例では不規則変動を0にして、成分だけを見せています。
例 2
4項移動平均でトレンドを取り出す
上の8期分の売上に、直近4期の単純移動平均をかけます。
- 第1〜4期は(108+102+98+112)÷4=105です。
- 第2〜5期は(102+98+112+116)÷4=107、第3〜6期は109、第4〜7期は111、第5〜8期は113です。
- 季節成分は4期ぶんの合計が+6−2−8+4=0なので、4期を足すと打ち消されます。
結論: 4項移動平均は105・107・109・111・113と、2ずつ増えるトレンドだけが残ります。
例 3
3項移動平均だと何が残るか
同じ売上に、直近3期の単純移動平均をかけます。
- 第1〜3期は(108+102+98)÷3≒102.67です。
- 第2〜4期は(102+98+112)÷3=104、第3〜5期は(98+112+116)÷3≒108.67です。
- 増え方は1.33、次は4.67と不ぞろいで、季節変動の影響が残っています。
結論: 周期4のデータに3項移動平均をかけても、季節変動は打ち消されません。窓の長さを周期に合わせます。
問題文から答えを選ぶ手順
- 1
周期が固定されているかを見る
四半期・月・曜日のように、決まった間隔でくり返すなら季節変動の候補です。
- 2
周期と同じ項数で移動平均をかける
四半期データなら4項です。季節成分が1周期で合計0なら、打ち消されます。
- 3
残った動きをトレンドとして読む
平均の列が増え続けているか、減り続けているか、増え方が変わるかを見ます。
- 4
元の値との差を季節・不規則として見る
加法モデルでは、元の値からトレンドを引いた差が、季節変動と不規則変動です。
試験での見分け方
- 1トレンドは長期の増減の向きで、直線とは限らない。
- 2季節変動は、固定された既知の周期でくり返す。
- 3加法モデルは、売上=トレンド+季節変動+不規則変動。
- 4周期と同じ項数の移動平均は、1周期の合計が0の季節成分を打ち消す。
- 5不規則変動は、ほかの成分を取り除いた残り。
誤答しやすい選択肢
トレンドを、必ず直線だと考える
修正: 英語版Wikipediaは、トレンド成分は線形でなくてもよいと説明します。増減の向きが続いていればトレンドです。
周期がそろわない上下を、季節変動と呼ぶ
修正: 季節変動は、固定された既知の周期で起こるものです。周期が決まらない上下は、季節変動とは別に考えます。
3項移動平均で、周期4の季節変動が消えると考える
修正: 窓の長さが周期と合わないと打ち消されません。この例では3項の列が102.67・104・108.67とでこぼこになります。
移動平均で、最初と最後の期の値も出ると考える
修正: N項の移動平均は、最初のN−1期では計算できません。8期データの4項移動平均は5つの値になります。
確認問題
Q1季節成分が+6・−2・−8・+4のとき、1周期ぶんの合計は?
答え: 0
6−2−8+4=0です。合計が0なので、4項の移動平均で打ち消されます。
Q2売上108・102・98・112の4項移動平均は?
答え: 105
(108+102+98+112)÷4=420÷4=105です。
Q38期のデータに4項移動平均をかけると、値はいくつ得られる?
答え: 5つ
最初の4期から1つ、その後1期ずつずらして、8−4+1=5つです。
Q4月ごとのデータで、季節変動を打ち消す移動平均は何項?
答え: 12項
周期が1年=12か月なので、12項でならします。
Q5売上108・102・98の3項移動平均は?
答え: 約102.67
(108+102+98)÷3=308÷3≒102.67です。
到達チェック
- トレンド・季節変動・不規則変動の違いを説明できる
- 季節変動の条件(固定された既知の周期)を言える
- 加法モデルの式を書ける
- 周期と同じ項数の移動平均が季節変動を打ち消す理由を説明できる
- N項移動平均で得られる値の個数を数えられる
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よくある質問
Qトレンドと季節変動は、何が違う?
トレンドは長期の増加・減少の向き、季節変動は四半期や月のような固定された周期でくり返す上下です。トレンドに決まった周期はありません。
Q移動平均で季節変動が消えるのは、なぜ?
窓の長さを周期に合わせると、季節成分が1周期ぶん合計0で打ち消されるためです。+6・−2・−8・+4の四半期データでは、4項移動平均が105・107・109・111・113となり、トレンドだけが残ります。
Q統計検定2級に季節変動は出る?
統計検定センターの2級の出題範囲表に、季節変動という語はありません。時系列データの処理として、トレンドと平滑化(移動平均)が挙げられています。
次に見る比較
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執筆: ミナト編集部(運営者情報を見る)
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