用語比較
信頼係数を上げるのと標本を増やすのは何が違う?信頼区間の幅への効き方(統計検定2級)
信頼係数を上げると信頼区間は広がり、標本の大きさnを増やすと狭まります。この2つは、区間の幅に正反対の向きで効きます。
母標準偏差が分かっている母平均の区間では、幅は2×z×σ÷√nです。信頼係数はzの値を、標本の大きさは√nを通じて幅を決めます。
このページは、「信頼係数を上げると精度が上がる」と読み違える人や、nを何倍にすれば幅が何分の1になるかを問われて迷う人向けです。σ=10の架空のデータで、手計算して確かめます。
この記事の目次
この記事の根拠と出典
各セクションの見出しの下に、公式資料で確認した内容か編集部の整理かをラベルで示しています。 試験日・料金・申込条件・試験方式は変わることがあるため、申込前に公式サイトで確認してください。統計検定2級の一次情報確認日: 2026-10-09。
結論
信頼係数を上げる
90%→95%→99%と上げると、zが1.645→1.960→2.576と大きくなり、区間は広がる。当たる自信が上がる代わりに、区間は粗くなる。
標本の大きさを増やす
標準誤差σ÷√nが小さくなり、区間は狭まる。nを4倍にすると、幅は半分になる。
見分けの軸
信頼係数は「区間の作り方の信頼度」を選ぶ値、標本の大きさは「情報の量」。区間を狭めたいなら、増やせるのは標本の大きさの側。
違いを表で確認
| 比較軸 | 信頼係数を上げる | 標本の大きさを増やす |
|---|---|---|
| 幅への効き方 | 信頼係数を上げると広がる | 標本の大きさを増やすと狭まる |
| 式の中の場所 | zの値(1.645・1.960・2.576) | √nの項(標準誤差σ÷√n) |
| 変化の大きさ | 95%→99%でzは約1.31倍、幅も約1.31倍 | nを4倍で幅は1/2、9倍で1/3 |
| 調整するのは誰か | 分析者が決める(90%・95%・99%がよく使われる) | 調査や実験の設計で決まる(費用や手間がかかる) |
| 代償 | 区間が広がり、情報としては粗くなる | 調査の費用・時間が増える |
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99%のほうが精度が高いと思っている人
99%信頼区間は、95%信頼区間より広くなります。区間の作り方が真の値を含む割合は上がりますが、区間の幅という意味の精度は下がります。
区間を半分にするためにnを何倍にすればよいか迷う人
幅は√nに反比例するので、半分にするにはnを4倍にします。2倍にしても、幅は約0.71倍にしかなりません。
必要な標本の大きさを求める問題で式が混ざる人
半幅E=z×σ÷√nを、n=(z×σ÷E)²に変形します。結果は小数になるので、切り上げた整数を答えにします。
具体例で使い分ける
例 1
信頼係数だけを変える(n=100で固定)
母標準偏差がσ=10と分かっている母集団から、n=100の標本を取ります(架空のデータ)。標準誤差はσ÷√n=10÷10=1です。
- 90%信頼区間はz=1.645なので、幅は2×1.645×1=3.29です。
- 95%信頼区間はz=1.960なので、幅は2×1.960×1=3.92です。
- 99%信頼区間はz=2.576なので、幅は2×2.576×1=5.152です。
結論: 信頼係数を90%→95%→99%と上げるほど、幅は3.29→3.92→5.152と広がります。
例 2
標本の大きさだけを変える(95%で固定)
同じσ=10、95%信頼区間(z=1.960)で、nを変えます。
- n=100のとき、標準誤差は10÷10=1で、幅は2×1.960×1=3.92です。
- n=400のとき、標準誤差は10÷20=0.5で、幅は2×1.960×0.5=1.96です。
- nを4倍にすると、幅は3.92から1.96へ、ちょうど半分になります。
結論: 99%でn=100の幅は5.152、95%でn=400の幅は1.96です。区間を狭める効果は、nを増やすほうがはるかに大きくなります。
例 3
半幅を1以内にするために必要な標本の大きさ
σ=10、95%信頼区間で、半幅E=z×σ÷√nを1以内にしたい場合を考えます。
- n=(z×σ÷E)²=(1.960×10÷1)²=19.6²=384.16です。
- 整数に切り上げて、n=385が必要です。
- 同じ条件を99%にすると、n=(2.576×10÷1)²=25.76²=663.58で、n=664になります。
結論: 同じ半幅1でも、95%ならn=385、99%ならn=664です。信頼係数を上げるほど、必要な標本の大きさは増えます。
問題文から答えを選ぶ手順
- 1
幅の式を確認する
σが既知の母平均の区間では、幅は2×z×σ÷√nです。σが未知ならtの値と標本標準偏差sに置き換わります。
- 2
何が変わるのかを見分ける
信頼係数が変わるならz、標本の大きさが変わるなら√nの項が変わります。
- 3
倍率で答える問題は、比で計算する
信頼係数の変更ならzの比、nの変更なら√nの逆比で、幅が何倍になるかを求めます。
- 4
必要な標本の大きさは変形して切り上げる
n=(z×σ÷E)²を計算し、小数なら切り上げた整数を答えにします。
試験での見分け方
- 1信頼係数を上げると、区間は広がる。
- 2標本の大きさを増やすと、区間は狭まる。
- 3幅は√nに反比例する。nを4倍にすると、幅は1/2になる。
- 4両側のzは、90%が1.645、95%が1.960、99%が2.576。
- 5必要な標本の大きさは、n=(z×σ÷E)²を切り上げる。
誤答しやすい選択肢
信頼係数を上げれば、区間が狭まると考える
修正: 信頼係数を上げると、zが大きくなって区間は広がります。区間を狭めたいときに増やすのは、標本の大きさです。
nを2倍にすれば、幅が半分になると考える
修正: 幅はσ÷√nに比例するので、半分にするにはnを4倍にします。nを2倍にしたときの幅は約0.71倍です。
必要な標本の大きさが小数のとき、四捨五入する
修正: 半幅を指定値以内にしたいので、384.16なら385へ切り上げます。384では半幅が1をわずかに超えます。
95%信頼区間に真の平均が入る確率が95%だと読む
修正: NISTは、真の平均がこの区間にある確率が95%という意味ではなく、同じ方法で何度も区間を作ると約95%が真の平均を含むという意味だと説明します。
確認問題
Q1σ=10、n=100で、95%信頼区間の幅は?
答え: 3.92
標準誤差は10÷10=1です。幅は2×1.960×1=3.92です。
Q2σ=10、n=100で、99%信頼区間の幅は?
答え: 5.152
z=2.576なので、幅は2×2.576×1=5.152です。95%の3.92より広くなります。
Q395%信頼区間で、nを100から400にすると、幅は何倍になる?
答え: 1/2倍
幅はσ÷√nに比例し、√400÷√100=2なので、幅は半分になります。3.92が1.96になります。
Q4σ=10、95%で、半幅を1以内にしたい。必要な標本の大きさは?
答え: 385
n=(1.960×10÷1)²=384.16を切り上げて385です。
Q5信頼係数を95%から99%に上げると、σとnが同じとき、幅は約何倍?
答え: 約1.31倍
2.576÷1.960≒1.31です。5.152÷3.92でも同じ比になります。
到達チェック
- 信頼区間の幅が2×z×σ÷√nで決まると説明できる
- 90%・95%・99%のzの値(1.645・1.960・2.576)を言える
- nを4倍にすると幅が半分になる理由を説明できる
- 必要な標本の大きさを、切り上げて求められる
- 95%信頼区間の正しい読み方を説明できる
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よくある質問
Q信頼係数を上げると、信頼区間はなぜ広がる?
区間を作るときのzが、90%で1.645、95%で1.960、99%で2.576と大きくなるためです。真の値を含む割合を上げるぶん、区間を広げます。
Q標本の大きさを4倍にすると、幅はどうなる?
幅は半分になります。幅はσ÷√nに比例し、nが4倍なら√nは2倍になるためです。σ=10・95%では、n=100の3.92がn=400で1.96になります。
Q必要な標本の大きさは、どう求める?
n=(z×σ÷E)²を計算し、小数なら切り上げます。σ=10・半幅1・95%なら、384.16を切り上げてn=385です。
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執筆: ミナト編集部(運営者情報を見る)
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