用語比較
全平方和・回帰平方和・残差平方和の違い|SST=SSR+SSEと決定係数・分散分析表の関係(統計検定2級)
全平方和(SST)は目的変数の散らばり全体、回帰平方和(SSR)はそのうち回帰直線で説明できる分、残差平方和(SSE)は説明できずに残る分です。切片を含む回帰では、SST=SSR+SSEが成り立ちます。
決定係数R²はSSR÷SST、または1−SSE÷SSTで求めます。分散分析表は、この3つの平方和を自由度で割って平均平方にし、F値を求める表です。
このページは、統計検定2級の「変動の分解」で、3つの平方和のどれが何を表すのか混ざってしまう人を対象にしています。x=1〜5の5点データで、3つの平方和と分散分析表を手計算で確認します。
この記事の目次
この記事の根拠と出典
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結論
全平方和 SST
Σ(y−ȳ)²。yが平均のまわりにどれだけ散らばっているか。回帰とは関係なく、yだけで決まる。
回帰平方和 SSR
Σ(予測値−ȳ)²。回帰直線で説明できた分。単回帰ではb²×Σ(x−x̄)²に等しい。
残差平方和 SSE
Σ(y−予測値)²。回帰直線で説明できずに残った分。小さいほど当てはまりが良い。
違いを表で確認
| 比較軸 | 全平方和 SST | 回帰平方和 SSR |
|---|---|---|
| 何を測るか | yの散らばり全体(SST) | 回帰で説明できる分(SSR)/説明できない分(SSE) |
| 式 | SST = Σ(y−ȳ)² | SSR = Σ(ŷ−ȳ)²、SSE = Σ(y−ŷ)² |
| 関係 | SST = SSR + SSE(切片を含む回帰) | SSTは固定で、SSRが増えるとSSEが減る |
| 自由度(単回帰) | 全体 n−1 | 回帰 1、残差 n−2(合計 n−1) |
| 決定係数との関係 | R² = SSR ÷ SST | R² = 1 − SSE ÷ SST |
| 分散分析表での役割 | 平方和の合計の欄 | 回帰・残差の平方和を自由度で割り、F値を求める |
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SSRとSSEのどちらが大きいほど良いのか迷う人
SSTは変わらないので、SSRが大きいほどSSEは小さくなり、当てはまりが良いと読みます。R²が1に近いほど、SSRの割合が大きい状態です。
3つの平方和を、それぞれ別々に計算しなければならないと思っている人
切片を含む回帰では、SST=SSR+SSEなので、2つが分かれば残りの1つは引き算で出せます。計算の確かめにも使えます。
分散分析表の平方和と自由度の対応が混ざる人
単回帰の自由度は、回帰が1、残差がn−2、全体がn−1です。平方和を自由度で割ったものが平均平方で、F値は回帰の平均平方÷残差の平均平方です。
具体例で使い分ける
例 1
5点データで3つの平方和を求める
xが1〜5、yが1・3・2・5・4の5点データです(架空のデータ)。x̄=3、ȳ=3、Σ(x−3)²=10、Σ(x−3)(y−3)=8です。
- 傾きはb=8÷10=0.8、切片は3−0.8×3=0.6です。予測値は1.4・2.2・3.0・3.8・4.6です。
- SST=Σ(y−3)²=4+0+1+4+1=10です。
- 残差は−0.4・0.8・−1.0・1.2・−0.6で、SSE=0.16+0.64+1.00+1.44+0.36=3.60です。
- SSRはb²×Σ(x−x̄)²=0.64×10=6.4です。SSE+SSR=3.6+6.4=10で、SSTに一致します。
- 決定係数はR²=6.4÷10=0.64、または1−3.6÷10=0.64です。
結論: SST=10のうち6.4が回帰で説明でき、3.6が残ります。R²=0.64は、SSRの割合を表します。
例 2
同じデータの分散分析表を作る
上のデータで、自由度と平均平方、F値を求めます。
- 自由度は、回帰が1、残差がn−2=3、全体がn−1=4です。
- 平均平方は、回帰が6.4÷1=6.4、残差が3.6÷3=1.2です。
- F値は6.4÷1.2≒5.33です。
結論: 分散分析表は、平方和を自由度で割って平均平方にし、回帰と残差の平均平方の比でF値を作ります。
問題文から答えを選ぶ手順
- 1
まずSSTを求める
yの平均を出し、各yとの差の2乗を合計します。回帰の結果には左右されません。
- 2
SSRかSSEのどちらかを求める
予測値を出せば残差からSSEが、b²×Σ(x−x̄)²(単回帰)からSSRが求まります。
- 3
残りの1つは引き算で出す
切片を含む回帰ではSST=SSR+SSEです。もう1つは引き算で確認できます。
- 4
R²と分散分析表へつなぐ
R²はSSR÷SSTです。F値は平方和を自由度で割った平均平方の比です。
試験での見分け方
- 1SSTはyだけで決まり、回帰の結果に左右されない。
- 2切片を含む線形回帰では、SST = SSR + SSE。
- 3R² = SSR ÷ SST = 1 − SSE ÷ SST。
- 4単回帰の自由度は、回帰1・残差n−2・全体n−1。
- 5F値は、回帰の平均平方 ÷ 残差の平均平方。平均平方は平方和 ÷ 自由度。
誤答しやすい選択肢
平方和の分解を、切片なしの回帰にもそのまま使う
修正: SST=SSR+SSEは、切片を含む線形回帰で成り立つ関係です。問題文に切片を含むかが書かれているか確認します。
SSRを、Σ(y−ŷ)²と書いてしまう
修正: SSRは予測値と平均の差の2乗の合計Σ(ŷ−ȳ)²です。Σ(y−ŷ)²は残差平方和SSEです。
平均平方を、平方和ではなくnで割る
修正: 平均平方は、平方和をそれぞれの自由度で割った値です。単回帰では回帰が1、残差がn−2です。
R²を、SSE÷SSTと覚えてしまう
修正: R²はSSR÷SSTです。SSE÷SSTは説明できなかった割合で、1−R²にあたります。
確認問題
Q1SST=10、SSE=3.6のとき、SSRはいくつ?
答え: 6.4
SSR=SST−SSE=10−3.6=6.4です。
Q2SST=10、SSR=6.4のとき、決定係数R²はいくつ?
答え: 0.64
R²=SSR÷SST=6.4÷10=0.64です。
Q3傾きb=0.8、Σ(x−x̄)²=10の単回帰で、回帰平方和SSRはいくつ?
答え: 6.4
SSR=b²×Σ(x−x̄)²=0.64×10=6.4です。
Q4n=5の単回帰で、回帰・残差・全体の自由度はそれぞれいくつ?
答え: 1・3・4
回帰は説明変数の数で1、残差はn−2=3、全体はn−1=4で、1+3=4になります。
Q5SSR=6.4、SSE=3.6、n=5の単回帰で、F値はいくつ?
答え: 約5.33
平均平方は回帰6.4÷1=6.4、残差3.6÷3=1.2で、F=6.4÷1.2≒5.33です。
到達チェック
- SST・SSR・SSEが何を表すか説明できる
- 切片を含む回帰でSST=SSR+SSEが成り立つと説明できる
- R²をSSR÷SSTと1−SSE÷SSTの両方で求められる
- 単回帰の自由度(1・n−2・n−1)を言える
- 分散分析表から平均平方とF値を計算できる
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よくある質問
QSST・SSR・SSEは、何が違う?
SSTはyの散らばり全体、SSRは回帰直線で説明できる分、SSEは説明できずに残る分です。切片を含む回帰ではSST=SSR+SSEが成り立ちます。
QSSRとSSEは、どう求める?
SSEは各点の残差の2乗の合計、SSRは予測値と平均の差の2乗の合計です。5点データでは、SSE=3.6、SSR=6.4で、合計はSST=10になります。
Q決定係数は、平方和でどう表す?
R²=SSR÷SSTです。1−SSE÷SSTでも同じ値になります。5点データではどちらも0.64です。
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執筆: ミナト編集部(運営者情報を見る)
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