資格の選び方
ベイズの定理と条件付き確率の違い|統計検定2級の式と計算例
条件付き確率は、ある事象が起きたという条件のもとで別の事象が起きる確率です。ベイズの定理は、その条件の向きを逆にした条件付き確率を求める式です。 統計検定2級の公式の出題範囲表は、分野「確率」の内容に「事象と確率、加法定理、条件付き確率、乗法定理、ベイズの定理」を挙げています。
問題文で与えられている確率の向きと、求める確率の向きが同じなら条件付き確率の定義、逆ならベイズの定理、と見分けると整理できます。
このページでは、式の違い、陽性になる確率の計算例、人数に置き換えた確かめ方、見分けの練習2問の順に説明します。式はすべて、公式の出題範囲表にある用語の定義から導いたものです。
条件付き確率とベイズの定理の違い
| 比べる点 | 条件付き確率 | ベイズの定理 |
|---|---|---|
| 求めるもの | Bが起きたという条件のもとで、Aが起きる確率P(A|B) | 逆向きの条件付き確率。P(B|A)などの値から、P(A|B)を求める |
| 式 | P(A|B)=P(A∩B)/P(B)(P(B)>0のとき) | P(A|B)=P(B|A)P(A)/P(B) |
| 分母のP(B) | Bが起きる確率として与えられるか、問題文から求める | 排反かつ全体を尽くす場合分けの確率を合計して求められる |
| 問題文で最初に与えられるもの | 積事象P(A∩B)とP(B) | P(A)、P(B|A)、場合分けごとの確率 |
式はPenn State STAT 414の確率の講義(Lesson06)にもとづきます。確認日はです。
計算例: 陽性と出たときに病気である確率
病気Aの割合をP(A)=0.01、病気の人が陽性になる確率をP(陽性|A)=0.9、病気でない人が陽性になる確率を0.05とします。 求めたいのは「陽性と出た人が病気である確率」P(A|陽性)です。与えられているのは「病気の人が陽性になる確率」なので、向きが逆です。ここでベイズの定理を使います。
- 分母のP(陽性)を、場合分けの合計で求めます。P(陽性)=0.01×0.9+0.99×0.05=0.0585。
- 分子は P(陽性|A)P(A)=0.9×0.01=0.009。
- P(A|陽性)=0.009/0.0585≒0.154。陽性と出ても、病気である確率は約15.4%です。
病気の人が陽性になる確率(0.9)と、陽性の人が病気である確率(約0.154)は別の値です。この2つを取り違えるのが、典型的な混同です。
人数に置き換えて確かめる
同じ計算例を、10000人の集団で考えると意味がつかみやすくなります。上の確率をそのまま人数に直しただけで、新しい前提は足していません。
| 区分 | 人数 | 陽性の人数 |
|---|---|---|
| 病気の人 | 10000×0.01=100人 | 100×0.9=90人 |
| 病気でない人 | 10000×0.99=9900人 | 9900×0.05=495人 |
| 合計 | 10000人 | 585人 |
陽性の585人のうち、病気の人は90人です。90/585≒0.154となり、ベイズの定理で求めた値と一致します。 病気の割合が小さいと、病気でない人の中の陽性(495人)が、病気の人の陽性(90人)を上回るため、陽性でも病気である確率は低くなります。
問題文でどちらを使うかの見分け方
- 求める確率を「Xという条件のもとでYが起きる確率」の形に書き直し、条件Xと結果Yを決めます。
- 問題文で与えられている確率の向きを確かめます。「Xのもとで」と「Yのもとで」のどちらが与えられているかを見ます。
- 求める向きが与えられていれば、定義P(A|B)=P(A∩B)/P(B)で計算します。逆向きが与えられていれば、ベイズの定理に代入します。
- ベイズの定理の分母は、排反かつ全体を尽くす場合分け(上の例では病気の人と病気でない人)の確率を合計して求めます。
取り違えやすいのは、手順2を飛ばして「陽性の確率0.9」をそのまま答えにしてしまうことです。0.9は病気の人の中での陽性の割合で、陽性の人の中での病気の割合ではありません。
見分けの練習: 2問
編集部が作った練習用の例で、試験問題の転載ではありません。どちらの式を使うかを先に決めてから計算してください。
- 問1: サイコロを1回振り、偶数の目が出たとき、その目が3以上である確率は。
- 求める向きの条件(偶数)が与えられているので、定義を使います。偶数は2・4・6、そのうち3以上は4・6の2通りです。 P(3以上|偶数)=P(3以上∩偶数)/P(偶数)=(2/6)/(3/6)=2/3。
- 問2: 工場の製品の60%が機械X、40%が機械Yで作られ、不良品の割合はXが2%、Yが5%。不良品をひとつ選んだとき、それが機械Yの製品である確率は。
- 与えられているのは「Yの製品が不良である確率」で、求めるのは「不良品がYの製品である確率」なので向きが逆です。ベイズの定理を使います。 分母はP(不良)=0.6×0.02+0.4×0.05=0.012+0.02=0.032、分子は0.4×0.05=0.02なので、P(Y|不良)=0.02/0.032=0.625です。
あわせて区別する用語: 独立と排反
- 2事象AとBは、P(A∩B)=P(A)P(B)が成り立つとき、かつそのときに限り独立です。独立なら、一方が起こっても他方の起こる確率は変わりません(P(A|B)=P(A))。
- 積事象A∩Bが空事象のとき、AとBは互いに排反です。P(A)もP(B)も0より大きいなら、排反な2事象は独立ではありません。
要点のまとめ
- 条件付き確率は、条件のもとで別の事象が起きる確率で、定義はP(A|B)=P(A∩B)/P(B)です。
- ベイズの定理は、逆向きの条件付き確率P(B|A)から、求めたいP(A|B)を出す式です。
- 与えられた確率の向きと、求める確率の向きを比べると、どちらを使うかが決まります。
- 分母のP(B)は、排反かつ全体を尽くす場合分けの確率を合計して求めます。
- 人数に置き換えて表にすると、分母と分子が何の人数かを確かめやすくなります。
- 独立と排反は別の概念で、排反な2事象は、どちらの確率も0より大きいなら独立ではありません。
- 0.9のような「病気の人の中の陽性の割合」と、「陽性の人の中の病気の割合」は別の値です。
統計検定2級の演習へ進む
条件付き確率とベイズの定理は、統計検定2級の確率の章で手を動かして定着させる内容です。式の一覧は統計検定2級の公式一覧、出題範囲は統計検定2級のシラバスで確かめられます。計算の練習は統計検定2級の問題演習から取り組めます。
次に知りたいこと
6資格で確率・統計の出題がどこまで出るかは文系・数学が苦手な人向けAI資格の選び方、出題範囲の重なりは6資格の出題範囲の重なり、学習時間の公式の記載は6資格の学習時間の比較表で確かめられます。
次に見る比較
- 無料の問題集サイトを選ぶ6つの確認点と収録問題数の実測値
問題数の根拠、解説の有無、出題範囲の版など、選ぶ前に確かめる点を並べます。
- 6資格のシラバス現行版と切替時期の比較
教材を買う前に、受験回に合う出題範囲の版と切替時期を確かめます。
- 6資格の公式テキスト・公式問題集・過去問公開の比較表
公式教材の有無と、過去問や例題の公開状況を資格ごとに並べます。
執筆: ミナト編集部(運営者情報を見る)