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用語比較

算術平均と幾何平均の違い

算術平均は、値を全部足して個数で割る平均です。幾何平均は、値を全部掛けて、個数の分だけ累乗根(2個なら平方根、3個なら立方根)をとる平均です。前年比のように「掛け算で積み重なる量」の平均には幾何平均を使います。

統計検定2級の公式出題範囲表には、時系列データの処理として、成長率、指数化、幾何平均が並びます。足して割れば算術平均、掛けて累乗根なら幾何平均で、前年比の平均は幾何平均と整理すると、設問の手順が決まります。

このページでは、計算の仕方、向いているデータ、値の大きさという三つの軸で比較します。数値例では、前年比が1.2倍と0.9倍の2年間を、両方の平均で計算します。

この記事の根拠と出典

各セクションの見出しの下に、公式資料で確認した内容か編集部の整理かをラベルで示しています。 試験日・料金・申込条件・試験方式は変わることがあるため、申込前に公式サイトで確認してください。統計検定2級の一次情報確認日: 2026-10-09。

公式一次資料と照合した内容
幾何平均がn個の値の積のn乗根であることはNISTのDataplot文書(GEOMETRIC MEAN)を、算術平均が総和を個数で割ったものであること、成長率の定義は総務省統計局「なるほど統計学園」を、出題範囲の項目は統計検定センターの2級出題範囲表(2018年12月14日付)を2026-10-16に照合しています。
編集部が学習用に整理した内容
1.2倍と0.9倍の2年間の数値例、2と8・4と9の計算例、成長係数に直して平均する手順、確認問題は編集部の学習上の整理で、数値は計算で確かめています。

資格ごとの公式資料の一覧

結論

公式一次資料と照合:用語の定義は公式一次資料と照合しています。

算術平均

値の総和を個数で割った平均。ふつうの「平均」はこれを指す。足し算で積み重なる量(得点、身長など)の中心を表す。

幾何平均

n個の正の値の積のn乗根。掛け算で積み重なる量(前年比などの成長係数)の平均に使い、同じ期間数だけ掛けると元の累積成長係数を再現する。

違いを表で確認

比較軸算術平均幾何平均
計算の仕方値を全部足して、個数nで割る値を全部掛けて、n乗根(1/n乗)をとる
向いているデータ足し算で積み重なる量。得点、身長、金額そのもの掛け算で積み重なる量。前年比、成長係数、倍率
使える値正負・ゼロを含んでも計算できる正の値に限って使う。ゼロが混じると積が0になる
値の大きさ正の値の組では、幾何平均以上になる正の値の組では、算術平均以下になる。すべて同じ値のときだけ一致する
前年比の平均同じ期間数だけ掛けても、元の累積成長を再現しない同じ期間数だけ掛けると、元の累積成長係数を再現する
手がかり語の目安総和、個数で割る、中心積、n乗根、前年比、成長係数、平均成長率

公式一次資料と照合:統計検定2級: 2026-10-09に一次資料で確認一次資料の一覧を見る →

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どこで迷っているかを切り分ける

01

前年比の平均を足して割ってしまう人

売上が1年目に1.2倍、2年目に0.9倍になったとき、(1.2+0.9)÷2=1.05と計算したくなります。しかし、年ごとの前年比は掛け算で積み重なるので、この平均では2年後の売上を再現できません。前年比の平均は幾何平均で求めます。

02

幾何平均の式は覚えたが、いつ使うか分からない人

判断の目安は、データどうしの積に意味があるかどうかです。前年比どうしを掛けると全期間の変化になります。だから、前年比(成長係数)の平均は幾何平均です。得点や身長の積には意味がないので、算術平均を使います。

03

成長率と成長係数を取り違える人

成長率が+20%なら成長係数は1.2、-10%なら0.9です。幾何平均にかけるのは、成長率ではなく成長係数です。平均成長率を求めるときは、幾何平均から1を引いて戻します。

具体例で使い分ける

編集部の整理

例 1

2年間の前年比1.2倍・0.9倍の平均

売上が1年目に前年比+20%(成長係数1.2)、2年目に前年比-10%(成長係数0.9)になりました。最初の売上を100とします。

  • 実際の2年後の売上は、100×1.2×0.9=108です。累積の成長係数は1.08です。
  • 算術平均は(1.2+0.9)÷2=1.05です。これを2年続けると100×1.05×1.05=110.25になり、実際の108と合いません。
  • 幾何平均は√(1.2×0.9)=√1.08≒1.0392です。これを2年続けると100×1.0392×1.0392≒108になり、実際と一致します。

結論: 幾何平均の1.0392は、平均成長率でいえば年約3.9%です。算術平均の5%は、累積の成長を大きく見せすぎます。

例 2

2と8の平均の大きさを比べる

2と8の二つの値で、二つの平均を比べる場面です。

  • 算術平均は(2+8)÷2=5です。
  • 幾何平均は√(2×8)=√16=4です。
  • 幾何平均の4は、算術平均の5より小さくなっています。

結論: 値が同じでない正の値の組では、幾何平均は算術平均より小さくなります。「幾何平均の方が大きい」とある選択肢は誤りです。

問題文から答えを選ぶ手順

編集部の整理:1.2倍と0.9倍の2年間の数値例、2と8・4と9の計算例、成長係数に直して平均する手順、確認問題は編集部の学習上の整理で、数値は計算で確かめています。

  1. 1

    データの積に意味があるかを見る

    前年比や倍率のように、掛け合わせると全期間の変化になる量なら、幾何平均の出番です。

  2. 2

    成長率なら成長係数に直す

    +20%は1.2、-10%は0.9のように、1を基準にした係数へ直します。

  3. 3

    掛けて累乗根をとる

    期間の数nに対して、成長係数の積のn乗根を求めます。

  4. 4

    平均成長率に戻す

    求めた幾何平均から1を引くと、平均成長率になります。

試験での見分け方

編集部の整理

  • 1算術平均は、値の総和を個数で割る。
  • 2幾何平均は、n個の正の値の積のn乗根である。
  • 3前年比などの成長係数の平均には、幾何平均を使う。
  • 4成長係数の幾何平均を期間の数だけ掛けると、元の累積成長係数に一致する。
  • 5正の値がすべて同じでなければ、幾何平均は算術平均より小さい。

誤答しやすい選択肢

成長率をそのまま幾何平均にかける

修正: +20%の20や0.2ではなく、成長係数の1.2を使います。平均成長率は、求めた幾何平均から1を引いて出します。

前年比の平均を算術平均で出す

修正: 1.2倍と0.9倍の算術平均1.05を2年続けると110.25になり、実際の108と合いません。掛け算で積み重なる量は幾何平均で平均します。

ゼロを含むデータにも幾何平均を使えると考える

修正: 幾何平均は積のn乗根なので、ゼロが一つでも混じれば積が0になり、全体の平均が0になってしまいます。成長係数はふつう正の値なので、前年比の平均では問題になりません。

幾何平均が算術平均より大きくなることがあると考える

修正: 2と8では算術平均5、幾何平均4でした。正の値がすべて同じときを除き、幾何平均は算術平均より小さくなります。

確認問題

Q1前年比1.1倍、1.4倍の2年間の平均成長係数を求めるのは、算術平均と幾何平均のどちらか。

答え: 幾何平均

前年比は掛け算で積み重なる量です。平均成長係数は、1.1×1.4の平方根(幾何平均)で求めます。

Q24と9の幾何平均はいくつか。

答え: 6

4×9=36で、その平方根は6です。算術平均は6.5なので、幾何平均の方が小さくなっています。

Q3平均成長係数が1.04のとき、平均成長率は何%か。

答え: 4%

平均成長率は、平均成長係数から1を引いた値です。1.04-1=0.04なので、4%です。

到達チェック

  • 算術平均と幾何平均の計算の違いを言える
  • 前年比の平均に幾何平均を使う理由を説明できる
  • 成長率を成長係数に直してから計算できる
  • 幾何平均が算術平均以下になることを例で確かめられる

同じ資格で次に知りたいこと

  • 有意水準とp値の違い

    有意水準とp値の違いを、検定の前に決めるか後で求めるか、棄却域と臨界値との関係、p値が有意水準より小さいときの判断、統計検定2級での見分け方と確認問題まで解説します。

  • 歪度と尖度の違い(統計検定2級)

    歪度と尖度の違いを、左右対称かどうかを見るか裾の重さを見るか、正負の読み方、超過尖度との定義の違い、数値例と統計検定2級での見分け方、確認問題まで解説します。

  • 観察研究と実験研究の違い

    観察研究と実験研究の違いを、処置のランダムな割り当てがあるか、因果関係まで言えるか、ランダムな抽出との違い、交絡変数の扱いから整理し、統計検定2級での判断手順と確認問題まで解説します。

よくある質問

Q算術平均と幾何平均の一番短い違いは?

A

算術平均は足して個数で割り、幾何平均は掛けてn乗根をとります。前年比のように掛け算で積み重なる量の平均には、幾何平均を使います。

Q幾何平均はどう定義されていますか?

A

NISTのDataplot文書は、n個の値の積のn乗根として定義しています。

Q統計検定2級の出題範囲に載っていますか?

A

公式の出題範囲表(2018年12月14日付)に、時系列データの処理として、成長率、指数化、幾何平均が載っています(2026-10-16確認)。

Q平均成長率はどう求めますか?

A

各期の成長率を成長係数(+20%なら1.2)に直し、その幾何平均を求めて1を引きます。本ページの例では、1.2倍と0.9倍の2年間で、約3.9%です。

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執筆: ミナト編集部(運営者情報を見る)