用語比較
系統抽出法と単純無作為抽出の違い|間隔kと開始点rで標本を選ぶ手順(統計検定2級)
単純無作為抽出は、母集団のどの単位も等しい確率で選ばれる方法です。系統抽出法は、名簿を並べ、無作為に決めた開始点から一定の間隔ごとに選ぶ方法です。どちらも確率で選ぶ方法ですが、選べる標本の組み合わせの数が違います。
カナダ統計局の解説は、母集団400人から100人を選ぶ例で、系統抽出法で選べる標本は開始点の違う4通りだけだと述べます。単純無作為抽出なら、100人の組み合わせはどれも標本になりえます。統計検定2級の公式出題範囲には、標本抽出法として系統抽出法が挙がっています。
このページでは、間隔k=N÷nの出し方を計算例で確かめ、名簿の並びと間隔が重なったときの偏りまで比べます。
この記事の目次
この記事の根拠と出典
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結論
単純無作為抽出
全単位に番号を振り、乱数で選ぶ。どの組み合わせも標本になりうる。
系統抽出法
k=N÷nを出し、1〜kの無作為な開始点rから、r、r+k、r+2k…と選ぶ。
系統抽出の弱点
名簿の並びの周期が間隔kと重なると、標本が母集団の縮図にならない。
違いを表で確認
| 比較軸 | 単純無作為抽出 | 系統抽出法 |
|---|---|---|
| 選び方 | 単純無作為抽出:全単位に番号を振り、乱数で選ぶ | 系統抽出法:開始点rを1つ決め、あとは間隔kごとに機械的に選ぶ |
| 乱数を使う回数 | 単純無作為抽出:標本の大きさnの回数 | 系統抽出法:開始点を決める1回だけ |
| 標本になりうる組み合わせ | 単純無作為抽出:同じ大きさのどの組み合わせでも | 系統抽出法:開始点の数(k通り)だけ |
| 名簿の並びの影響 | 単純無作為抽出:受けない | 系統抽出法:受ける。周期が間隔kと重なると偏る |
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系統抽出法を「いい加減に選ぶ方法」だと思っている人
開始点を無作為に決めれば、どの単位が選ばれる確率も同じになります。400人から100人を選ぶ例では、どの人も4分の1の確率で選ばれ、単純無作為抽出と同じです。
kを「n÷N」と逆に計算してしまう人
間隔kは母集団の大きさNを標本の大きさnで割った値です。N=800、n=40なら、k=800÷40=20です。
並べ方を気にせず系統抽出を使っていいと思っている人
名簿が部署ごとに並び、各部署の先頭が管理職という並びで、間隔が部署の人数と同じだと、管理職ばかり、または新人ばかりが選ばれます。
具体例で使い分ける
例 1
N=800、n=40で間隔kと標本を求める
名簿に800人が並んでいて、40人を系統抽出法で選びます(架空の設定)。
- k=N÷n=800÷40=20です。
- 1〜20の無作為な開始点を選びます。r=7が出たとします。
- 選ばれるのは、7番、27番、47番…と20番おきで、最後は7+39×20=787番です。
結論: 乱数を使ったのは開始点を決める1回だけで、40人が決まります。r=7なら標本は7、27、…、787番の40人です。
例 2
標本になりうる組み合わせの数を数える
N=400、n=100のとき、系統抽出法で標本は何通りあるかを考えます(カナダ統計局の例と同じ設定)。
- k=400÷100=4です。開始点は1、2、3、4の4通りです。
- r=1なら1、5、9…397番、r=2なら2、6、10…398番、r=3なら3、7、11…399番、r=4なら4、8、12…400番です。
- どの単位もこの4つの標本のうち1つにだけ入り、選ばれる確率は4分の1です。
結論: 系統抽出法の標本は4通りだけです。単純無作為抽出なら、400人から選ぶ100人の組み合わせのどれもが標本になりえます。
例 3
名簿の並びと間隔が重なる
売り場が10部署ある店で、各部署10人(管理職1人を含む)の名簿を、部署ごとに、管理職を先頭に勤続の長い順で並べました。間隔10の系統抽出で、従業員100人から10人を選びます(カナダ統計局の例の設定)。
- k=100÷10=10です。開始点が1なら、各部署の先頭の管理職が10人選ばれます。
- 開始点が10なら、各部署のいちばん新しい従業員が選ばれます。
結論: 管理職だけ、または新人だけの標本になり、職場への意見を調べる目的には合いません。名簿の周期と間隔が重なるためです。
問題文から答えを選ぶ手順
- 1
名簿があるか確かめる
どちらの方法も、母集団の単位を並べた名簿(抽出枠)が必要です。
- 2
名簿の並びの周期を確かめる
部署順、日付順など、一定の周期で似た単位が並んでいないかを見ます。
- 3
周期がなければ系統抽出を選べる
乱数を1回で済ませられます。名簿が無作為に並んでいれば、結果は単純無作為抽出に近くなります。
- 4
周期があれば単純無作為抽出も検討する
間隔kと周期が重なる恐れがあるなら、並びに左右されない単純無作為抽出が選択肢になります。
試験での見分け方
- 1単純無作為抽出は、どの単位も等しい確率で選ばれ、同じ大きさのどの組み合わせも標本になりうる。
- 2系統抽出法は、k=N÷nを出し、1〜kの無作為な開始点rから、r、r+k、r+2k…と選ぶ。
- 3kが整数にならないときは、kを最も近い整数に丸めるなどして対応する(豪州統計局の解説)。
- 4名簿の周期が間隔kと重なると、系統抽出法の標本は母集団を代表しなくなることがある。
誤答しやすい選択肢
系統抽出法は確率で選ばない方法だと考える
修正: 開始点を無作為に決めるので、確率抽出法の一つです。N=400、n=100の例では、どの人も4分の1の確率で選ばれます。
標本の組み合わせが、単純無作為抽出と同じ数だけあると考える
修正: 系統抽出法で標本になりうるのは、開始点の数(k通り)だけです。N=400、n=100なら4通りです。
kをn÷Nで求める
修正: kはN÷nです。N=800、n=40のとき、k=20です。
どんな名簿でも系統抽出が安全だと考える
修正: 名簿の周期と間隔が重なると偏ります。管理職を先頭に並べた名簿を間隔10で抜く例では、管理職だけが選ばれうる設定でした。
確認問題
Q1N=600の名簿からn=30を系統抽出法で選ぶとき、間隔kは?
答え: 20
k=N÷n=600÷30=20です。
Q2k=20、開始点r=7のとき、最初の3つに選ばれる番号は?
答え: 7番、27番、47番
r、r+k、r+2kの順で、7、27、47です。
Q3N=400、n=100の系統抽出法で、標本は何通りあるか?
答え: 4通り
k=4で、開始点が1〜4の4通りです。
Q4系統抽出法で乱数を使うのは何回か?
答え: 開始点を決める1回だけ
開始点を決めたあとは、間隔kごとに機械的に選びます。
Q5名簿が部署ごとに並び、各部署10人で、間隔10の系統抽出をすると何が起こりうるか?
答え: 各部署の同じ位置の人だけが選ばれ、標本が偏る
名簿の周期と間隔が重なるためです。
到達チェック
- 単純無作為抽出と系統抽出法の選び方を一言で言える
- k=N÷nと開始点rから、選ばれる番号を並べられる
- 系統抽出法の標本が開始点の数だけの組み合わせになると分かる
- 名簿の周期と間隔が重なる弱点を説明できる
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よくある質問
Q系統抽出法と単純無作為抽出の違いは?
単純無作為抽出は全単位に番号を振って乱数で選び、系統抽出法は無作為な開始点から一定の間隔ごとに選びます。系統抽出法で標本になりうるのは、開始点の数だけの組み合わせです。
Q系統抽出法の間隔kの求め方は?
母集団の大きさNを標本の大きさnで割ってk=N÷nとします。1〜kの無作為な開始点rを決め、r、r+k、r+2kの順に選びます。
Q系統抽出法は統計検定2級で問われる?
公式の出題範囲に、標本抽出法として系統抽出法が挙がっています。
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執筆: ミナト編集部(運営者情報を見る)
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