用語比較
上側確率と累積確率の違い|z=1.8が片側で棄却、両側で棄却できない理由(統計検定2級)
検定統計量がz=1.8のとき、有意水準5%の上側の片側検定なら帰無仮説を棄却し、両側検定なら棄却できません。同じ数字でも、棄却域をどこに置くかで結論が分かれます。
判定の途中で使う確率は、累積確率(左から積み上げた面積)と上側確率(右の裾の面積)の2種類です。表から読んだ値をどちらとして扱うかを取り違えると、p値が0.96になったり、0.036と0.072を逆にしたりします。
表の読み方そのものは、統計検定2級の統計数値表のページで説明しています。このページは、z=1.8の1つの例に絞り、累積確率からp値を出して片側と両側で判定する流れを手計算で確かめます。
この記事の目次
この記事の根拠と出典
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結論
累積確率
P(Z≦1.8)=0.5+0.46407=0.96407。左から積み上げた面積で、p値ではない。
上側確率
P(Z>1.8)=1−0.96407=0.03593。上側の片側検定のp値はこれ。
両側のp値
上側確率の2倍の約0.0719。5%を超えるので、両側検定では棄却できない。
違いを表で確認
| 比較軸 | 累積確率 | 上側確率 |
|---|---|---|
| 表す面積 | 累積確率:左端からzまでの面積 | 上側確率:zより右の裾の面積 |
| z=1.8の値 | 0.96407(表の0.46407に0.5を足す) | 0.03593(1から累積確率を引く) |
| 検定での役割 | 臨界値を決めるとき、1.645や1.960は累積確率0.95・0.975の位置 | p値として有意水準と比べるのは、こちら(片側は1倍、両側は2倍) |
| 5%での結論 | 片側検定:p値0.0359<0.05で棄却 | 両側検定:p値0.0719>0.05で棄却できない |
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表の0.46407をそのまま確率として使ってしまう人
NISTの表は、0からzまでの面積を載せています。累積確率にするには0.5を足し、上側確率にするには0.5から引きます。
片側と両側でp値が2倍違う理由が分からない人
両側検定は、上の裾と下の裾の両方を数えます。標準正規分布は左右対称なので、上側確率を2倍にします。
臨界値1.645と1.960の使い分けで迷う人
片側5%は、右の裾が5%になる1.645です。両側5%は、片側2.5%ずつなので1.960です。
具体例で使い分ける
例 1
表から累積確率と上側確率を求める
母標準偏差が既知の母平均の検定で、検定統計量がz=1.8になりました(架空の値)。
- NISTの標準正規分布表で、1.8の行・0.00の列を読むと0.46407です。これは0からzまでの面積です。
- 累積確率は0.5+0.46407=0.96407です。
- 上側確率は1−0.96407=0.03593です。
結論: 表の値は0からの面積です。累積確率は0.96407、上側確率は0.03593と、足し引きで分けます。
例 2
有意水準5%で片側と両側を判定する
同じz=1.8で、有意水準を5%とします。
- 上側の片側検定は、臨界値1.645と比べます。1.8>1.645で棄却です。p値の0.0359<0.05とも一致します。
- 両側検定は、臨界値1.960と比べます。1.8<1.960で棄却できません。
- 両側のp値は2×0.03593≒0.0719で、0.05より大きく、同じ結論です。
結論: z=1.8は、片側5%では棄却、両側5%では棄却できません。臨界値で比べてもp値で比べても同じ結論になります。
例 3
有意水準を10%にすると両側でも棄却できる
同じz=1.8で、両側検定の有意水準を10%に変えます。
- 両側10%は、上側5%ずつです。基準は1.645です。
- 1.8>1.645なので、棄却です。
- p値の0.0719<0.10とも一致します。
結論: 棄却できるかは、zの値だけでなく、有意水準と片側・両側の選び方で決まります。
問題文から答えを選ぶ手順
- 1
検定が片側か両側かを問題文で確かめる
「大きい・小さい」と方向が決まっていれば片側、「異なる」なら両側です。
- 2
表の値が何の面積かを確かめる
0からzまでの面積なら、累積確率にするには0.5を足します。上側確率の表なら、そのまま使えます。
- 3
上側確率を求める
1から累積確率を引きます。z=1.8なら0.03593です。
- 4
片側は1倍、両側は2倍して有意水準と比べる
両側なら0.0719で、5%を超えます。
試験での見分け方
- 1p値は上側確率(または下側確率)から作る。累積確率をそのまま使わない。
- 2両側検定のp値は、片側のp値の2倍。
- 3臨界値は片側5%が1.645、両側5%が1.960。
- 4負のzの下側確率は、対称性から同じ絶対値の上側確率と等しい。
誤答しやすい選択肢
累積確率の0.96407をp値として5%と比べる
修正: p値は右の裾の0.03593です。0.96407は左から積んだ面積で、p値ではありません。
表の0.46407をそのままp値にする
修正: 表は0からzまでの面積です。上側確率にするには0.5−0.46407で0.03593です。
両側検定でも上側確率だけで判定する
修正: 両側は2倍の0.0719を使います。0.0359のままだと、5%で棄却と誤ります。
z=1.8を両側5%の臨界値1.645と比べる
修正: 両側5%は1.960です。1.645は片側5%、または両側10%の基準です。
確認問題
Q1表のz=1.8の行が0.46407のとき、P(Z≦1.8)は?
答え: 0.96407
0.5+0.46407です。
Q2P(Z>1.8)は?
答え: 0.03593
1−0.96407です。
Q3z=1.8の両側検定のp値は?
答え: 約0.0719
2×0.03593です。
Q4z=1.8は、上側の片側5%の検定で棄却できる?
答え: 棄却できる
1.8が臨界値1.645を超え、p値0.0359も0.05より小さいからです。
Q5z=−1.8のP(Z≦−1.8)は?
答え: 0.03593
対称性から、P(Z>1.8)と等しくなります。
到達チェック
- 表の値が「0からzまでの面積」だと読み取れる
- 累積確率から上側確率を求められる
- 片側と両側でp値が2倍違う理由を説明できる
- 片側5%の臨界値1.645と両側5%の臨界値1.960を使い分けられる
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よくある質問
Q標準正規分布表の0.46407は何の確率?
NISTの表は、0からzまでの面積を載せています。z=1.8の行の0.46407は、P(0≦Z≦1.8)です。累積確率は0.5を足した0.96407です。
Q両側検定のp値は、なぜ上側確率の2倍?
標準正規分布は左右対称なので、z=−1.8以下の面積も0.03593です。両側の対立仮説では、上下どちらの裾も数えるため、合計で約0.0719です。
Qz=1.8は、5%の検定で有意?
上側の片側検定なら有意です(臨界値1.645)。両側検定なら有意ではありません(臨界値1.960)。検定の向きを先に確かめます。
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執筆: ミナト編集部(運営者情報を見る)
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