用語比較
標本誤差と非標本誤差の違い
標本誤差は、母集団の一部(標本)だけを調べることで生じる誤差です。非標本誤差は、回答の誤りや無回答、集計の誤りなど、調査の途中で生じる誤差です。違いは、標本の大きさを増やすと小さくなるかどうかにあります。
統計検定2級の公式出題範囲には、標本誤差と非標本誤差がキーワードとして並びます。標本を増やすと減るのが標本誤差で、標準誤差σ/√nで大きさを表せる。標本を増やしても残るのが非標本誤差と整理すると、設問の語で判定できます。
このページは、標本誤差と非標本誤差の言葉は覚えたものの、標本を増やしたときにどちらが変わるかが曖昧な人向けです。全数調査と標本調査の違いは別のページで扱い、ここでは標本の大きさと誤差の関係に絞って比べます。
この記事の目次
この記事の根拠と出典
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結論
標本誤差
標本を抽出したことで生じる誤差。標本の大きさnを増やすと小さくなり、標本平均の標準誤差はσ/√nで表せる(単純無作為抽出で、母集団の標準偏差をσとする場合)。
非標本誤差
誤回答、未回答、標本が母集団の縮図になっていないこと、集計の誤りなど、調査の途中で生じる誤差。全数調査でも生じうる。
違いを表で確認
| 比較軸 | 標本誤差 | 非標本誤差 |
|---|---|---|
| 生じる原因 | 標本誤差:調査されなかった対象があること(標本調査) | 非標本誤差:誤回答、未回答、集計の誤りなど、調査の途中の誤り |
| 全数調査での有無 | 標本誤差:全数調査では生じない | 非標本誤差:全数調査でも生じる可能性がある |
| 標本を増やしたとき | 標本誤差:標準誤差σ/√nが小さくなる | 非標本誤差:標準誤差の式では表せない。調査の設計と品質管理で抑える |
| 大きさの表し方 | 標本誤差:標準誤差や標準誤差率で表せる | 非標本誤差:どの程度生じているか数字で評価できない |
| 選択肢で探すキーワード | 標本誤差:標準誤差、σ/√n、標準誤差率、無作為抽出 | 非標本誤差:誤回答、無回答、集計の誤り、入力誤り、標本の偏り |
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標本を増やせば、誤差は全部なくなると思っている人
標本を増やして小さくなるのは標本誤差です。国土交通省は、全数調査であっても回答者の回答誤りや未回答による誤差(非標本誤差)が生じている可能性があると説明しています。標本をどれだけ増やしても、調査票の記入誤りや集計の誤りは別の問題として残ります。
標準誤差の式は覚えたが、何を表すか曖昧な人
標本平均の標準誤差σ/√nは、標本を抽出するたびに標本平均がゆれる大きさを表します。つまり標本誤差の大きさの目安です。非標本誤差は、この式では表せません。統計局の家計調査の説明も、非標本誤差は標本誤差と異なり、どの程度の誤差が生じているか数字で評価できないとしています。
非標本誤差を、標本調査だけの問題だと思っている人
非標本誤差は、全数調査でも標本調査でも生じえます。統計図書館のミニトピックスは、統計の誤差を標本誤差と調査誤差(非標本誤差)に分け、回答者の不注意や記憶誤り、調査する側の分類格付け誤りや入力誤りなどを挙げています。
具体例で使い分ける
例 1
標本の大きさを4倍にした場合
母集団の標準偏差がσ=10のとき、標本の大きさn=25の標本平均の標準誤差と、nを4倍の100にしたときの標準誤差を比べる設問です。
- n=25のとき、標準誤差はσ/√n=10/5=2です。
- n=100のとき、標準誤差は10/10=1です。
- 標本の大きさを4倍にすると、標準誤差は半分になります。誤差の大きさは、標本の大きさの平方根に反比例して小さくなります。
結論: 標本を4倍にしても標準誤差は半分にしかなりません。標本誤差を半分にするには、標本を4倍にします。
例 2
『調査票の記入ミスによる誤差』という説明の場合
標本の大きさを増やしても、この誤差は小さくならないかどうかを問う設問です。
- 記入ミスは、標本を抽出したことで生じる誤差ではなく、調査の途中で生じる誤りです。
- 標準誤差σ/√nは標本の偏りによるゆれを表す式で、記入ミスの大きさは表しません。
- 非標本誤差は、質問の分かりやすさの改善や、入力の確認といった調査設計と品質管理で抑えます。
結論: 記入ミスは非標本誤差です。標本を増やしても、それだけでは小さくなるとは限りません。
例 3
『全数調査を行えば誤差はない』という説明の場合
全数調査の結果には誤差が生じないと述べる選択肢の正誤を問う設問です。
- 全数調査には標本の抽出がないので、標本誤差は生じません。
- しかし、回答者の回答誤りや未回答、集計の際の誤りによる非標本誤差は生じる可能性があります。
- 『誤差はない』という言い切りは、非標本誤差を見落としています。
結論: 全数調査でも、標本誤差が生じないだけで、非標本誤差は残ります。この選択肢は誤りです。
問題文から答えを選ぶ手順
- 1
誤差の原因を確認する
標本を一部だけ抽出したことが原因なら標本誤差、回答や集計など調査の途中の誤りが原因なら非標本誤差です。
- 2
全数調査でも生じるかを確認する
全数調査では生じないなら標本誤差、全数調査でも生じうるなら非標本誤差です。
- 3
標本の大きさとの関係を確認する
nを増やすと小さくなるなら標本誤差です。標本平均なら標準誤差σ/√nで計算します。
- 4
数字で表せるかを確認する
標準誤差や標準誤差率で大きさを表せるなら標本誤差、数字で評価できないなら非標本誤差です。
試験での見分け方
- 1標本を一部抽出したことによる誤差は標本誤差。
- 2標本平均の標準誤差は、母集団の標準偏差をσ、標本の大きさをnとして、σ/√n。
- 3標本の大きさを4倍にすると、標準誤差は半分になる。
- 4全数調査では標本誤差は生じないが、非標本誤差は生じる可能性がある。
- 5非標本誤差は、標本誤差と違い、どの程度生じているか数字で評価できない。
誤答しやすい選択肢
標本を2倍にすれば、標準誤差も半分になると思う
修正: 標準誤差はσ/√nなので、nを2倍にしても標準誤差は1/√2倍にしかなりません。半分にするにはnを4倍にします。
標本を増やせば、あらゆる誤差が消えると思う
修正: 標本を増やして小さくなるのは標本誤差です。誤回答、未回答、集計の誤りなどの非標本誤差は、標本の大きさとは別の要因です。
全数調査なら、標本の大きさが十分だから誤差は出ないと思う
修正: 全数調査には標本誤差は生じませんが、国土交通省が説明するとおり、回答の誤りや未回答による非標本誤差が生じている可能性があります。
非標本誤差を、標準誤差で表せると思う
修正: 標準誤差や標準誤差率は標本誤差の大きさを表す尺度です。非標本誤差は、どの程度生じているか数字で評価できません。
確認問題
Q1母標準偏差が12のとき、標本の大きさ36の標本平均の標準誤差はいくつですか?
答え: 2
標準誤差はσ/√n=12/6=2です。
Q2標本の大きさを9倍にすると、標本平均の標準誤差は何倍になりますか?
答え: 1/3倍
標準誤差はnの平方根に反比例するので、nを9倍にすると1/√9=1/3倍になります。
Q3回答者の誤記入による誤差は、標本誤差と非標本誤差のどちらですか?
答え: 非標本誤差
標本を抽出したことによる誤差ではなく、調査の途中で生じる誤りです。全数調査でも生じる可能性があります。
到達チェック
- 標本誤差と非標本誤差の原因の違いを説明できる
- 標準誤差σ/√nを計算できる
- 標本の大きさを4倍にすると標準誤差が半分になることを説明できる
- 全数調査でも非標本誤差が生じうると説明できる
- 非標本誤差が数字で評価できない理由を言える
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よくある質問
Q標本誤差と非標本誤差の最大の違いは何ですか?
原因です。標本誤差は標本を一部だけ抽出したことで生じ、非標本誤差は回答の誤りや集計の誤りなど調査の途中で生じます。
Q標本を増やすと小さくなるのはどちらですか?
標本誤差です。標本平均の標準誤差はσ/√nで、nを4倍にすると半分になります。
Q全数調査に誤差はありますか?
標本誤差は生じませんが、回答の誤りや未回答、集計の誤りによる非標本誤差が生じる可能性があります。
Q試験中に二つを最短で見分ける方法は?
『標準誤差』『σ/√n』『標本の大きさを増やす』が出れば標本誤差、『誤回答』『無回答』『集計の誤り』が出れば非標本誤差と判定します。
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執筆: ミナト編集部(運営者情報を見る)
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