用語比較
幾何分布と負の二項分布の違い
幾何分布と負の二項分布は、どちらも成功確率が一定の独立なベルヌーイ試行を繰り返す場面で使います。違いは、どこまで待つかです。幾何分布は最初の成功までを扱い、負の二項分布は第k成功を得るまでを扱います。
統計検定2級の公式出題範囲は、離散型確率分布としてベルヌーイ分布、二項分布、幾何分布、超幾何分布、ポアソン分布、負の二項分布を挙げています。成功を1回待つなら幾何分布、k回待つなら負の二項分布。k=1なら二つは一致すると覚えると、設問の条件から分布を選べます。
このページは、二項分布との区別はつくのに、幾何分布と負の二項分布の式を取り違える人を対象にしています。同じ試行を使い、確率を実際に計算して、二つの関係を確かめます。
この記事の目次
この記事の根拠と出典
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結論
幾何分布
成功確率が一定の独立なベルヌーイ試行を繰り返すとき、最初の成功までを扱う分布。最初の成功までの試行回数をTとすると、T=tとなる確率は(1-p)^(t-1)pである。
負の二項分布
同じ試行で、第k成功を得るまでの失敗回数または試行回数の分布。第k成功がx回目に起こる確率は、C(x-1,k-1)p^k(1-p)^(x-k)である。
違いを表で確認
| 比較軸 | 幾何分布 | 負の二項分布 |
|---|---|---|
| 何を待つか | 最初の成功(1回目の成功) | 第k成功(k回目の成功) |
| 確率の式(試行回数で数える場合) | (1-p)^(t-1)p | C(x-1,k-1)p^k(1-p)^(x-k) |
| パラメータ | 成功確率p | 成功確率pと、待つ成功の回数k |
| 二つの関係 | 負の二項分布のk=1の場合に当たる | k=1の場合は幾何分布に一致する |
| 数え方の注意 | 失敗回数で数える定義と試行回数で数える定義があり、後者は前者に1を加えた値 | 失敗回数で数える場合と試行回数で数える場合がある。設問の定義を確認する |
| 選択肢で探す語 | 最初の成功まで、初めて成功するまで | k回成功するまで、第k成功、2回目の成功 |
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二項分布と同じ式を使えばよいと考える人
二項分布は、試行回数nを先に決めて、その中の成功回数を数えます。幾何分布と負の二項分布は逆で、成功の回数を先に決めて、そこまでに必要な試行回数を数えます。何が決まっていて何が確率変数かを最初に読みます。
幾何分布の式の指数が t か t-1 か迷う人
最初の成功がt回目なら、それ以前のt-1回は全て失敗、t回目が成功です。失敗がt-1回で成功が1回なので、(1-p)^(t-1)pになります。
負の二項分布の式で、組合せの数をなぜ C(x-1,k-1) とするのか分からない人
第k成功がx回目に起こるので、最後の1回は必ず成功です。その前のx-1回のうち、k-1回が成功になる並べ方がC(x-1,k-1)通りです。
具体例で使い分ける
例 1
さいころで最初の6の目が3回目に出る確率
さいころを繰り返し投げ、6の目が最初に出るまでの回数を数えます。成功確率はp=1/6です。
- 最初の成功がt=3回目なので、(1-p)^(t-1)pに代入します。
- (5/6)²×(1/6)=25/216で、約0.116です。
- 1回目と2回目が6以外、3回目が6の場合の確率を、そのまま掛けた値です。
結論: 最初の成功までを数えるので、幾何分布で、確率は25/216(約0.116)です。
例 2
コインで2回目の表が4回目に出る確率
表が出る確率が1/2のコインを繰り返し投げ、2回目の表が出るまでの回数を数えます。k=2、p=1/2です。
- 第2成功がx=4回目なので、C(x-1,k-1)p^k(1-p)^(x-k)に代入します。
- C(3,1)×(1/2)²×(1/2)²=3×1/16=3/16で、0.1875です。
- 4回目が表で、1回目から3回目のうち1回が表になる並べ方が3通りです。
結論: 第2成功までを数えるので、負の二項分布で、確率は3/16(0.1875)です。
例 3
負の二項分布でk=1とおいた場合
さいころの例で、k=1、p=1/6、x=3として負の二項分布の式に代入します。
- C(2,0)×(1/6)¹×(5/6)²=1×(1/6)×(25/36)=25/216です。
- 最初の例の幾何分布の確率と同じ値になります。
- k=1の負の二項分布は、幾何分布に一致するという関係を、数値で確かめられます。
結論: k=1なら負の二項分布と幾何分布は同じ分布です。
問題文から答えを選ぶ手順
- 1
何を数えているかを読む
成功までの回数を数えているなら、幾何分布か負の二項分布です。試行回数が固定で成功回数を数えるなら二項分布です。
- 2
待つ成功の回数を確認する
最初の成功までなら幾何分布、第k成功まで(k≧2)なら負の二項分布です。
- 3
数え方を確認する
失敗回数で数えているか、試行回数で数えているかを読みます。試行回数はt、失敗回数はt-1です。
- 4
式に代入する
幾何分布は(1-p)^(t-1)p、負の二項分布はC(x-1,k-1)p^k(1-p)^(x-k)に代入します。
試験での見分け方
- 1幾何分布は、最初の成功までを扱う。
- 2負の二項分布は、第k成功を得るまでを扱う。
- 3負の二項分布でk=1とおくと、幾何分布に一致する。
- 4試行回数で数える幾何分布では、T=tとなる確率は(1-p)^(t-1)pである。
- 5第k成功がx回目に起こる負の二項分布の確率は、C(x-1,k-1)p^k(1-p)^(x-k)である。
- 6失敗回数で数える定義と試行回数で数える定義があるので、設問の定義を確認する。
誤答しやすい選択肢
幾何分布の確率を、p^(t-1)(1-p) と書く
修正: 成功と失敗が逆です。最初のt-1回が失敗で、t回目が成功なので、(1-p)^(t-1)pです。
負の二項分布の組合せの数を、C(x,k) と書く
修正: 最後の1回は必ず成功なので、並べ方を数えるのは、その前のx-1回のうち成功k-1回です。C(x-1,k-1)になります。
幾何分布と負の二項分布は、全く別の分布だと考える
修正: 負の二項分布でk=1とおくと、幾何分布に一致します。幾何分布は、負の二項分布の特別な場合です。
試行回数で数える場合と失敗回数で数える場合を区別しない
修正: 最初の成功までの試行回数は、失敗回数に1を加えた値です。設問がどちらで数えているかを確認します。
確認問題
Q1成功確率pの独立試行で、最初の成功が3回目に起こる確率は?
答え: (1-p)²p
幾何分布で、T=tとなる確率は(1-p)^(t-1)pです。t=3を代入すると(1-p)²pです。
Q2負の二項分布でk=1とおくと、どの分布に一致しますか?
答え: 幾何分布
第1成功までを扱うので、最初の成功までを扱う幾何分布に一致します。
Q3p=1/2のコインで、2回目の表が3回目に出る確率は?
答え: 1/4
C(2,1)×(1/2)²×(1/2)¹=2×1/8=1/4です。3回目が表で、1回目と2回目のうち1回が表になる並べ方が2通りです。
到達チェック
- 幾何分布が最初の成功までを扱うと説明できる
- 負の二項分布が第k成功までを扱うと説明できる
- k=1のとき二つが一致する理由を言える
- 二つの確率の式を、数え方つきで書ける
- 二項分布との違いを、確率変数の面から説明できる
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よくある質問
Q幾何分布と負の二項分布の一番短い違いは?
幾何分布は最初の成功まで、負の二項分布は第k成功までを扱います。k=1なら一致します。
Q幾何分布は、負の二項分布の特別な場合ですか?
はい。負の二項分布でk=1とおくと、幾何分布に一致します。
Q幾何分布には、複数の定義がありますか?
あります。最初の成功までの失敗回数を数える定義と、試行回数を数える定義があり、後者は前者に1を加えた値になります。設問の定義を確認してください。
Q二項分布とは何が違いますか?
二項分布は試行回数nを決めて成功回数を数えます。幾何分布と負の二項分布は、成功の回数を決めて、そこまでの試行回数または失敗回数を数えます。
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執筆: ミナト編集部(運営者情報を見る)
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