用語比較
二項分布と超幾何分布の違い|統計検定2級での見分け方
二項分布と超幾何分布は、どちらも「当たりの個数」を数える離散型の確率分布ですが、試行の前提が違います。二項分布は、成功確率が各試行で一定のn回の試行で、成功の回数を数えます。超幾何分布は、有限の母集団から非復元で標本を選び、標本の中の標識のある要素の数を数えます。
統計検定2級では、選んだものを戻すか、戻さないかを問題文から読み取って選びます。非復元だと1個選ぶごとに母集団の中身が変わり、各回の成功確率が一定にならないため、二項分布の式は使えません。
このページは、「当たりの個数を数える問題」をすべて二項分布で解こうとする人を対象にしています。同じ数字の設定で、二つの式の答えがどれだけ違うかを数値例で確認します。
この記事の目次
この記事の根拠と出典
各セクションの見出しの下に、公式資料で確認した内容か編集部の整理かをラベルで示しています。 試験日・料金・申込条件・試験方式は変わることがあるため、申込前に公式サイトで確認してください。統計検定2級の一次情報確認日: 2026-10-09。
結論
二項分布
成功確率pが各試行で一定のn回の試行で、成功回数Xがxとなる確率をC(n,x)p^x(1-p)^(n-x)で求める。期待値はnp、分散はnp(1-p)。
超幾何分布
総数Mの有限母集団に標識要素がN個あり、非復元でK個選ぶとき、標識要素がL個となる確率をC(N,L)C(M-N,K-L)/C(M,K)で求める。
違いを表で確認
| 比較軸 | 二項分布 | 超幾何分布 |
|---|---|---|
| 選び方 | 各試行が同じ条件で行われる(戻して選ぶ形に相当) | 有限母集団から非復元で選ぶ |
| 成功確率 | 各試行で一定のp | 1個選ぶごとに母集団の標識要素の割合が変わり、一定にならない |
| 確率の式 | C(n,x)p^x(1-p)^(n-x) | C(N,L)C(M-N,K-L)/C(M,K) |
| 式に必要な値 | 試行回数n、成功確率p、成功回数x | 母集団の総数M、標識要素の数N、標本サイズK、標識要素の数L |
| 試験で見る語 | 毎回、独立に、成功確率が一定 | 非復元、戻さずに、有限の母集団から、袋から取り出す |
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当たりの個数を数える問題をすべて二項分布で解く人
二項分布は、成功確率が各試行で一定の場合の分布です。袋から戻さずに取り出す問題では、取り出すたびに袋の中身が変わるため、成功確率が一定になりません。この場合は超幾何分布を使います。
式のCの並びを覚えきれず、どちらの式か迷う人
二項分布の式は、C(n,x)に確率pの累乗を掛けます。超幾何分布の式は、分子にCを2つ掛け合わせ、分母にC(M,K)を置きます。分母は「全体からK個を選ぶ組合せの数」、分子は「標識要素からL個、それ以外からK-L個を選ぶ組合せの数」と読みます。
母集団の数が与えられているのに、確率pだけを探す人
問題文に母集団の総数と標識要素の数が書かれ、「戻さずに」とあれば、確率pは与えられていません。MとN、標本サイズKから超幾何分布の式で計算します。
具体例で使い分ける
例 1
10個のうち当たり4個から、戻さずに3個選ぶ
当たりが4個、外れが6個の合計10個から、戻さずに3個を選びます。当たりがちょうど1個になる確率を求めます。
- 戻さずに選ぶ非復元の設定なので、超幾何分布を使います。M=10、N=4、K=3、L=1です。
- C(4,1)=4、C(6,2)=15、C(10,3)=120です。
- 確率は4×15/120=0.5です。
結論: 非復元の場合、当たりがちょうど1個の確率は0.5です。
例 2
同じ設定で、毎回戻して3回選ぶ
同じ袋で、1個選んでは戻す操作を3回行います。当たりの回数がちょうど1回になる確率を求めます。
- 毎回戻すので、各回の当たりの確率は4/10=0.4で一定です。二項分布を使います。n=3、p=0.4、x=1です。
- C(3,1)=3、0.4、0.6²=0.36です。
- 確率は3×0.4×0.36=0.432です。
結論: 戻して選ぶ場合の確率は0.432で、非復元の0.5とは値が違います。
例 3
母集団を100個に増やして、戻さずに3個選ぶ
当たりが40個、外れが60個の合計100個から、戻さずに3個を選びます。当たりがちょうど1個になる確率を求めます。
- 非復元なので超幾何分布です。M=100、N=40、K=3、L=1です。
- C(40,1)=40、C(60,2)=1770、C(100,3)=161700です。
- 確率は40×1770/161700で、約0.438です。
結論: 母集団を大きくすると、非復元の確率は約0.438になり、戻して選ぶ場合の0.432に近づきます。ただし、試験では問題文の復元か非復元かに従って式を選びます。
問題文から答えを選ぶ手順
- 1
何を数える問題かを確認する
標識のある要素(当たり、不良品など)の個数を数える問題かを確認します。個数を数える問題なら、二項分布と超幾何分布が候補になります。
- 2
選び方が復元か非復元かを読む
「戻して」「毎回独立に」とあれば二項分布、「戻さずに」「取り出した品は戻さない」とあれば超幾何分布です。
- 3
与えられた値を確認する
成功確率pと試行回数nが与えられていれば二項分布です。母集団の総数と標識要素の数、標本サイズが与えられていれば超幾何分布です。
- 4
式に代入して組合せの数を計算する
二項分布はC(n,x)p^x(1-p)^(n-x)、超幾何分布はC(N,L)C(M-N,K-L)/C(M,K)に代入します。
試験での見分け方
- 1成功確率が各試行で一定なら二項分布。
- 2有限母集団から非復元で標本を選ぶなら超幾何分布。
- 3二項分布の確率はC(n,x)p^x(1-p)^(n-x)で求める。
- 4超幾何分布の確率はC(N,L)C(M-N,K-L)/C(M,K)で求める。
- 5問題文に確率pが書かれず、母集団の総数と標識要素の数が書かれていれば、超幾何分布を疑う。
誤答しやすい選択肢
戻さずに選ぶ問題を二項分布で計算する
修正: 非復元では、1個選ぶごとに母集団の標識要素の割合が変わります。各回の成功確率が一定にならないため、超幾何分布の式で求めます。
毎回戻す問題を超幾何分布で計算する
修正: 戻して選ぶ場合、各回の成功確率は一定です。n、p、xを使う二項分布の式で求めます。
超幾何分布の分母をC(M-N,K)などとする
修正: 分母は、母集団の総数MからK個を選ぶ組合せの数C(M,K)です。標識要素の数や、それ以外の数だけを使いません。
分子のC(M-N,K-L)の「K-L」を落とす
修正: 標本K個のうち標識要素がL個なら、標識のない要素はK-L個です。母集団のM-N個からK-L個を選ぶ組合せの数を掛けます。
確認問題
Q1当たり4個・外れ6個の袋から、戻さずに3個選ぶ。当たりがちょうど1個の確率は?
答え: 0.5
非復元なので超幾何分布で、4×15/120=0.5です。
Q2同じ袋から、毎回戻して3回選ぶ。当たりがちょうど1回の確率は?
答え: 0.432
各回の当たりの確率は0.4で一定なので二項分布で、3×0.4×0.6²=0.432です。
Q3超幾何分布の式の分母C(M,K)は、何の組合せの数?
答え: 総数M個からK個を選ぶ組合せの数
標本の選び方の全体の数にあたり、分子の選び方の数をこれで割ると確率になります。
Q4成功確率0.4の二項分布でn=3のとき、期待値はいくつ?
答え: 1.2
二項分布の期待値はnpなので、3×0.4=1.2です。
到達チェック
- 二項分布を、成功確率が各試行で一定のn回の試行での成功回数の分布として説明できる
- 超幾何分布を、有限母集団から非復元で選ぶ標本の中の標識要素数の分布として説明できる
- 非復元で成功確率が一定にならない理由を説明できる
- 二項分布と超幾何分布の確率を、式に代入して計算できる
- 問題文の「戻して」「戻さずに」から、使う分布を選べる
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よくある質問
Q二項分布と超幾何分布は、どちらを使うか何で決める?
選んだものを戻すか戻さないかで決めます。戻して各回の成功確率が一定なら二項分布、戻さず有限母集団から選ぶなら超幾何分布です。
Q超幾何分布で、成功確率pは使う?
式にpは使いません。母集団の総数M、標識要素の数N、標本サイズK、標本中の標識要素の数Lで計算します。
Q母集団が大きいと、二つの分布の値は近くなる?
本ページの数値例では、母集団10個で0.5と0.432、100個で約0.438と0.432でした。ただし試験では、問題文の復元か非復元かに従って式を選びます。
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執筆: ミナト編集部(運営者情報を見る)
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