用語比較
決定係数と相関係数の違い|単回帰では2乗の関係、符号が消える(統計検定2級)
相関係数rは、2つの変数の直線的な関係の強さと向きを表す値です。決定係数R²は、回帰モデルが目的変数のばらつきをどれだけ説明しているかを表す割合です。
切片を含む単回帰では、R²は相関係数rの2乗に等しくなります。このため、R²から分かるのは関係の強さだけで、正の関係か負の関係かという向きは分かりません。
このページは、決定係数と相関係数が単回帰の出力に並んで出てきて、どちらをどう読むか迷う人を対象にしています。同じデータの計算例で、二つの値の関係を確認します。
この記事の目次
この記事の根拠と出典
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結論
相関係数r
2変数の共分散を、それぞれの標準偏差の積で割った値。-1以上1以下で、単位を持たず、符号が関係の向きを表す。
決定係数R²
回帰平方和SSR÷全平方和SST、または1-誤差平方和SSE÷全平方和SST。切片を含む回帰では0以上1以下で、目的変数の変動のうちモデルで説明できる割合を表す。
単回帰での関係
切片を含む単回帰では、R²は相関係数rの2乗に等しい。説明変数を加えた重回帰では、R²は重相関係数の2乗になる。
違いを表で確認
| 比較軸 | 相関係数r | 決定係数R² |
|---|---|---|
| 表すもの | 2変数の直線的な関係の強さと向き | 回帰モデルが説明できる目的変数の変動の割合 |
| 値の範囲 | -1以上1以下 | 切片を含む回帰では0以上1以下 |
| 符号 | あり(正の相関・負の相関) | なし(向きは分からない) |
| 式 | 共分散÷(xの標準偏差×yの標準偏差) | SSR/SST、または1-SSE/SST |
| 使える場面 | 2変数の関係の把握(回帰モデルは不要) | 回帰モデルの当てはまりの評価(説明変数が複数でも使える) |
| 試験で見る語 | 散布図、共分散、-1から1、正の相関、負の相関 | 回帰平方和、全平方和、変動の分解、説明される割合 |
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決定係数が0.9なら、相関係数も0.9だと考える人
単回帰ではR²=r²なので、R²が0.9ならrは約±0.95です。0.9ではありません。相関係数の2乗が決定係数だと覚えておくと、取り違えを防げます。
決定係数から、関係が正か負かを読もうとする人
決定係数は相関係数を2乗した値なので、符号が消えます。正の関係でも負の関係でも、強さが同じならR²は同じ値になります。向きは回帰係数の符号か、相関係数の符号で確認します。
重回帰でも決定係数を相関係数の2乗だと考える人
説明変数が複数のときは、R²は重相関係数の2乗です。特定の1つの説明変数と目的変数の相関係数の2乗とは限りません。
具体例で使い分ける
例 1
x=1〜5、y=2,3,5,6,9の単回帰
xが1,2,3,4,5、yが2,3,5,6,9のデータで、相関係数と決定係数を求めます。
- xの平均は3、yの平均は5です。偏差の積の和は17、xの偏差平方和は10、yの偏差平方和は30です。
- 相関係数は17/√(10×30)=17/√300で、約0.981です。
- 回帰直線の傾きは17/10=1.7です。回帰平方和SSRは1.7²×10=28.9、全平方和SSTは30なので、R²=28.9/30で約0.963です。
- 相関係数を2乗すると、17²/300=289/300で約0.963になり、R²と一致します。
結論: 単回帰では、決定係数は相関係数の2乗に等しくなります。
例 2
yの並びを逆にして、負の相関にする
同じxに対して、yを9,6,5,3,2と逆の並びにします。
- 偏差の積の和は-17になり、相関係数は-17/√300で、約-0.981です。
- 回帰直線の傾きは-1.7です。SSRは(-1.7)²×10=28.9で、変わりません。
- R²=28.9/30で、約0.963です。
結論: 相関係数は負になりますが、決定係数は同じ約0.963です。決定係数からは向きが読めません。
問題文から答えを選ぶ手順
- 1
問われているのが関係の向きか、説明の割合かを読む
「正の相関か負の相関か」なら相関係数、「回帰で説明できる割合」なら決定係数です。
- 2
単回帰か重回帰かを確認する
切片を含む単回帰なら、R²=r²で相互に換算できます。重回帰では、R²は重相関係数の2乗です。
- 3
相関係数から決定係数に換算する
rが与えられたら2乗します。r=-0.8ならR²=0.64です。
- 4
決定係数から相関係数に換算する
R²の平方根が|r|です。符号は回帰係数の符号、または散布図の向きで決めます。
試験での見分け方
- 1相関係数は2変数の直線的な関係の強さと向きを表し、-1以上1以下。
- 2決定係数は回帰モデルが説明できる目的変数の変動の割合を表し、切片を含む回帰では0以上1以下。
- 3切片を含む単回帰では、決定係数は相関係数の2乗に等しい。
- 4決定係数には符号がないので、関係の向きは回帰係数か相関係数の符号で読む。
- 5決定係数から相関係数を求めるときは、平方根の絶対値に、回帰係数の符号をつける。
誤答しやすい選択肢
決定係数と相関係数を同じ値として扱う
修正: 単回帰でも、R²はrの2乗なので値が異なります。r=0.9ならR²=0.81です。
決定係数が大きいので、正の相関だと答える
修正: R²に符号はありません。R²が大きくても、負の相関のことがあります。向きは相関係数や回帰係数の符号で判断します。
決定係数が高いので、因果関係があると判断する
修正: 決定係数は手元のデータでの説明の割合で、原因と結果の関係を示す値ではありません。
重回帰のR²を、1つの説明変数の相関係数の2乗とみなす
修正: 重回帰のR²は、複数の説明変数をまとめたモデルの説明の割合で、重相関係数の2乗です。
確認問題
Q1単回帰で相関係数が-0.8のとき、決定係数はいくつ?
答え: 0.64
切片を含む単回帰ではR²=r²なので、(-0.8)²=0.64です。
Q2単回帰で決定係数が0.81のとき、相関係数はいくつ?
答え: 0.9または-0.9
R²の平方根が|r|で、√0.81=0.9です。符号は回帰係数や散布図の向きで決めます。
Q3回帰平方和が28.9、全平方和が30のとき、決定係数はいくつ?
答え: 約0.963
R²=SSR/SSTなので、28.9/30で約0.963です。
Q4決定係数を見て分かるのは、関係の強さと向きのどちらか?
答え: 強さだけ
決定係数は相関係数の2乗に当たり、符号が消えるため、向きは分かりません。
到達チェック
- 相関係数を、2変数の直線的な関係の強さと向きを表す値として説明できる
- 決定係数を、回帰モデルが説明できる目的変数の変動の割合として説明できる
- 切片を含む単回帰でR²=r²になることを説明できる
- 相関係数と決定係数を、相互に換算できる
- 決定係数から関係の向きが読めない理由を説明できる
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よくある質問
Q決定係数と相関係数は、どちらも関係の強さを表すのでは?
どちらも強さを表しますが、相関係数は向きも表し、決定係数は説明できる割合として表します。単回帰ではR²=r²の関係があります。
Q相関係数が0.5のとき、決定係数はいくつ?
切片を含む単回帰なら、0.5²=0.25です。
Q決定係数は負になることがある?
切片を含む線形回帰では0以上1以下です。このページの範囲では、切片を含む回帰を前提にしています。
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執筆: ミナト編集部(運営者情報を見る)
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