企業のAI資格制度
社会情報サービスの統計検定2級の取り組み:社内勉強会からeラーニングへ、社員の約1割が2級取得
「統計検定2級を部署で推奨したいが、集合研修をする余裕はない」「勉強会を始めても、人が入れ替わると続かない」。このページは、そうした部門責任者や人事・育成担当者が、実際の社内学習の形を知るための整理です。
統計検定の公式サイトに掲載された取組事例(2024年8月30日掲載)によると、医療製薬業界の調査を行う社会情報サービスでは、アルバイトや派遣を含めて社員が約140名、調査事業部門が約80名で、部門内の2級合格者は13名です。会社全体では約1割が2級を取得している計算になります。
注目したいのは人数よりも、続け方です。最初は毎週1時間集まる勉強会でしたが、現在は各自のタイミングで学べるeラーニングに変えています。勉強会は同じ場所に集まる形のままにせず、働き方に合わせて形を変えて運用していると読めます。
以下では、公式の取組事例に書かれた範囲だけを根拠に、始まり方、学習時間の扱い、eラーニングへの移行、新入社員への進め方を分けて説明します。数字は取材時点のものなので、現在の状況とは限らない点も合わせて扱います。
この記事の目次
先に押さえること
始まりは、すでに合格した社員が講師になる小さな勉強会
取組事例では、約10年前に統計解析ソフトの販売部門の社員が統計検定に合格し、調査部門でも統計の知識を持つ人を育てるため、社内で5、6人を集めて勉強会を始めたと説明されています。初期は、先に2級を取得していた販売部門の3名が講師を務めました。
合格者が講師になる、社内で完結する小さな形です。自社でも、すでに合格している社員が一人でもいれば、この形を試せます。
初期の勉強会は業務時間内に学べ、合格後に検定費の補助がある
担当者は、勉強する時間を業務時間内に取れることを「いい動き」と述べ、合格すれば検定費は補助されるとも話しています。時間の確保と費用の補助が、そろっていた形です。
受験料の補助だけでは学習時間が残らず、時間の確保だけでは受験の負担が残ります。学習支援を作るときは、時間と費用のどちらが社員の壁になっているかを、先に確認してください。
集合の勉強会から、各自のペースで進むeラーニングへ
当初は毎週1時間集まり、半年かけて2級合格を目指す日程でした。現在は集合ではなく、社内用のeラーニング形式に変わり、各自が好きなタイミングで学習しています。担当者は、社員のほとんどが中途採用で入社時期もスキルもばらばらなので、集合して行うより各自のペースの方がよいと説明しています。
eラーニングは自社開発に近いもので、過去問題を交えて作られています。入社の時期がそろわない会社ほど、この考え方が当てはまります。
新入社員は初期研修で、学習サイトを1日に1項目ずつ読む
新入社員への教育を担う担当者は、初期研修の期間に、統計を学ぶ自社のサイトを1日に1項目ずつ読んでもらっていると述べています。難しい言葉が少なく分かりやすいサイトで、担当者自身もこのサイトで2級を目指せたと話しています。
直近で調査部門に入った社員は、ほとんどが2級の学習を進めている状況だと説明されています。初期研修の期間に、量の少ない読み物を毎日続ける設計です。
進め方
- 1
必要な業務の場面を一つ決める
社会情報サービスは、クライアントから統計解析の依頼があったときに対応できる人を育てる、という目的で勉強会を始めています。統計検定は、体系的に学んだ知識を示す指標としても有用だと、担当者は述べています。
自社でも、何のために2級を使うのかを、依頼対応や分析の説明といった業務の場面で一つ決めます。目的が決まっていると、対象者と到達の目安を決めやすくなります。
- 2
対象者を部門単位で区切る
同社は、まず調査事業部門のスタッフに2級を目指してもらっています。全社員ではなく、統計の知識が仕事に直接関わる部門から始める形です。
自社でも、対象を最初から全社に広げず、分析や集計を担当する部門に絞ります。後から対象を広げるかどうかは、学習が続いたかどうかを見て決められます。
- 3
合格者を講師にして小さな勉強会を始める
初期の勉強会は、社内で5、6人を集め、先に合格した人が教える形でした。初期は、毎週1時間、半年かけて2級合格を目指す日程だったとされています。
社内に合格者がいない場合は、外部の教材を使った輪読から始める方法もあります。この場合も、頻度と期間を先に決めて案内します。
- 4
勉強する時間と費用の扱いを決めて伝える
業務時間内に勉強できるか、合格後に検定費を補助するかは、案内の前に決めます。担当者は、初期の勉強会について、業務時間内に勉強できる点と、合格後に検定費が補助される点に触れています。
時間と費用の扱いを文書にして、上司にも共有します。上司が内容を知らないと、現場で学習時間が削られます。
- 5
集合の形が合わなくなったら、各自で進める形に移す
入社時期やスキルがばらばらな職場では、集合の勉強会は日程の調整が負担になります。同社は、過去問題を交えた社内用のeラーニングに切り替え、各自のタイミングで学べるようにしました。
移す際は、教材の範囲、進捗の確認方法、質問先を決めておきます。学習サイトを新たに作らなくても、公式の過去問題や既存の演習を使う方法があります。
- 6
新入社員の初期研修に、毎日の短い読み物を組み込む
初期研修で1日に1項目ずつ読む形は、短時間で続けやすい方法です。量を絞ると、学習の入り口に立ちやすくなると考えられます。
取組事例には、担当者自身が学生時代の数学の基礎から学び直した経験も語られています。基礎の差が大きい前提で、最初の教材を選んでください。
確認できている企業の制度
| 企業 | 制度の内容 | 出典 |
|---|---|---|
| 社会情報サービス | アルバイトや派遣を含めて社員は約140名で、そのうち調査事業部門は約80名。部門内で統計検定2級に合格しているのは13名で、会社全体で見ると約1割が2級取得者にあたる。約10年前に統計解析ソフト販売部門の社員が統計検定に合格し、その後、先に2級を取得していた同部門の3名が講師となって社内で5、6人を集めた勉強会が始まった。初期は毎週1時間集まり半年で2級合格を目指す日程だったとされ、担当者は初期の勉強会について、業務時間内に勉強できる点と、合格すれば検定費が補助される点に触れている。現在は集合ではなく、過去問題を交えて自社開発に近い形で作った社内用のeラーニング形式に切り替え、各自のタイミングで学習している。新入社員には初期研修期間に、公開の学習サイトを1日に1項目ずつ読んでもらうと、統計検定公式の取組事例(2024年8月30日掲載)で紹介されている | 統計検定公式(社会情報サービスの取組事例) |
やりがちな失敗
×約1割という数字をそのまま自社の目標にする
→約140名、2級合格13名という数字は、取材時点の同社の状況です。業種、対象部門、入社の時期が違えば前提がそろいません。自社の対象者の人数と、開始時点の知識を基準に目標を決めます。
×集合の勉強会を、環境が変わっても続ける
→人の入れ替わりや中途入社が多い職場では、日程をそろえること自体が負担になります。参加率が下がった時点で、各自のペースで進める形への移行を検討してください。
×受験料の補助だけを用意して、学習時間を確保しない
→同社の初期の勉強会は、業務時間内の学習と合格後の補助が両方語られています。費用だけでは時間の壁が残ります。繁忙期に学習時間を確保できない部署があるかを確認し、期間をずらすなどの対応を決めます。
×初心者に最初から難しい教材を渡す
→担当者は、難しい言葉が少ない教材が学びやすいと述べています。基礎の差が大きい職場では、用語の説明が平易なものを最初に選び、段階的に進めます。
×公開された取組を最新の制度と受け取る
→この記事の数字と制度は、2024年8月30日掲載の取組事例によるものです。現在の運用は変わっている可能性があるため、引用する場合は掲載日を併記してください。
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よくある質問
Q社会情報サービスでは、統計検定2級を全社員に義務づけていますか?
取組事例では、まず調査事業部門のスタッフに2級を目指してもらっていると説明されています。全社員への義務づけは書かれていません。同社の体制は、統計の知識が仕事に直接関わる部門から始める形です。
Q勉強会は今も毎週開かれていますか?
取組事例によると、初期は毎週1時間集まる形でしたが、現在は集合ではなく、社内用のeラーニング形式の勉強会になっています。各自が好きなタイミングで学ぶ形です。この記事は2024年8月30日掲載の内容に基づくため、最新の運用は公式の掲載ページで確認してください。
Q合格すると、検定費の補助はありますか?
担当者の発言として、合格したら検定費は補助してもらえると紹介されています。補助の上限や手続きの詳細は取組事例に書かれていないため、自社で同様の制度を作る場合は、社内の規程で決めてください。
Q数学が苦手でも、2級を目指せますか?
担当者自身が、学生時代の数学の基礎から学び直し、公開されている学習サイト「統計学の時間」で2級を目指せたと話しています。個人差はあるため、一般論としては保証できません。基礎の確認から入れる教材を選ぶと、入口の負担を下げられます。
Q学習サイトは社外の人も使えますか?
取組事例では、勉強会の内容をもとにした統計学のコンテンツが、社内に限らず広く統計を学んでほしいという思いで公開されていると説明されています。一方、2級の合格を目指す社内用のeラーニングは社内向けです。
Qこの記事の情報は、社会情報サービスの公式な説明ですか?
統計検定公式サイトに掲載された企業・団体インタビューを一次情報として、当サイトが独自に整理したものです。同社や統計検定センターと提携・承認の関係はありません。最新の制度は、同社と公式の掲載ページで確認してください。
一次情報の確認について
企業の制度・試験の仕様は変更されることがあります。参照した一次情報のうち、最も古い確認日: 2026-10-20。最新の情報は、以下の一次情報を確認してください。
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