用語比較
z検定とt検定の違い|母標準偏差が分かるかで選ぶ(統計検定2級)
母平均の検定で、z検定とt検定のどちらを使うかは、母標準偏差が分かっているかどうかで決まります。母標準偏差が既知ならz検定、標本から推定した標本標準偏差を使うならt検定です(母集団が正規分布に従う場合を前提にした整理です)。
統計検定2級では、問題文に「母標準偏差は5と分かっている」と書かれているか、「標本標準偏差は5」と書かれているかを読み取って、検定統計量の式と臨界値の表を選びます。
このページは、母平均の検定を「とりあえずt検定」や「とりあえず1.96」で処理している人を対象にしています。同じ数値でも、どちらの検定を使うかで結論が変わる例を確認します。
この記事の目次
この記事の根拠と出典
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結論
z検定
母標準偏差σが既知のとき、z=(標本平均-帰無仮説の母平均)/(σ/√n)を標準正規分布と比べる。5%の両側検定の臨界値は1.96。
t検定
母標準偏差が未知のとき、σを標本標準偏差sに置き換えたt=(標本平均-帰無仮説の母平均)/(s/√n)を、自由度n-1のt分布と比べる。
違いを表で確認
| 比較軸 | z検定 | t検定 |
|---|---|---|
| 母標準偏差 | 既知として扱う | 未知で、標本標準偏差sで推定する |
| 検定統計量の分母 | σ/√n | s/√n |
| 比べる分布 | 標準正規分布 | 自由度n-1のt分布 |
| 5%両側の臨界値 | 1.96(自由度に依存しない) | 自由度24なら2.064(自由度で変わる) |
| 試験で見る語 | 母標準偏差は既知、母分散は〜と分かっている | 標本標準偏差、不偏分散から、母分散は未知 |
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母平均の検定をすべてt検定で処理する人
問題文に母標準偏差が既知と書かれていれば、z検定です。このときt分布の表を引くと、臨界値が正しくありません。分母がσ/√nの式と、標準正規分布の臨界値を使います。
臨界値は1.96と暗記していて、標本標準偏差の問題でも使う人
1.96は標準正規分布の値です。標本標準偏差sを使うt検定では、自由度に応じたt分布の値を使います。自由度が小さいほど臨界値は大きくなります。
σとsのどちらが問題文の値か、迷う人
「母標準偏差」「母集団の標準偏差が分かっている」とあればσ、「標本から計算した」「標本標準偏差」「不偏分散」とあればsです。値が同じでも、ここで検定が分かれます。
具体例で使い分ける
例 1
母標準偏差が5と分かっている場合(z検定)
標本サイズ25、標本平均52、帰無仮説の母平均50、母標準偏差5が既知です。5%の両側検定を行います。
- 母標準偏差が既知なので、z検定です。
- z=(52-50)/(5/√25)=2/1=2です。
- 標準正規分布の両側5%の臨界値1.96と比べると、2は1.96より大きくなります。
結論: 5%の有意水準で帰無仮説を棄却します。
例 2
同じ数値で、5が標本標準偏差の場合(t検定)
標本サイズ25、標本平均52、帰無仮説の母平均50で、5は標本から計算した標本標準偏差です。5%の両側検定を行います。
- 母標準偏差が未知なので、t検定です。自由度はn-1=24です。
- t=(52-50)/(5/√25)=2で、値はzと同じです。
- 自由度24のt分布の両側5%の臨界値は2.064です。2は2.064より小さくなります。
結論: 5%の有意水準では帰無仮説を棄却できません。検定統計量の値が同じでも、臨界値が違うため結論が分かれます。
問題文から答えを選ぶ手順
- 1
何を検定するかを確認する
1つの母集団の母平均についての検定かを確認します。対象が母平均なら、母標準偏差が分かるかどうかで分かれます。
- 2
問題文の標準偏差が母のものか標本のものかを読む
「母標準偏差」「既知」とあればσ、「標本標準偏差」「不偏分散」とあればsです。
- 3
検定統計量を計算する
既知ならz=(標本平均-帰無仮説の値)/(σ/√n)、未知ならt=(標本平均-帰無仮説の値)/(s/√n)で求めます。
- 4
対応する分布の臨界値と比べる
zは標準正規分布の値(5%の両側なら1.96)と比べます。tは自由度n-1のt分布の表で臨界値を引きます。
試験での見分け方
- 1母標準偏差が既知ならz検定、未知で標本標準偏差を使うならt検定。
- 2z検定の検定統計量の分母はσ/√n、t検定の分母はs/√n。
- 3zは標準正規分布、tは自由度n-1のt分布と比べる。
- 45%の両側検定でのz検定の臨界値は1.96。t検定の臨界値は自由度で変わる。
- 5検定統計量の値が同じでも、比べる臨界値が違えば結論が変わることがある。
誤答しやすい選択肢
標本標準偏差が与えられているのに1.96と比べる
修正: 標本標準偏差sを使う場合は、t統計量を自由度n-1のt分布の臨界値と比べます。自由度24の両側5%の臨界値は2.064で、1.96より大きくなります。
母標準偏差が既知なのに、t分布の表を引く
修正: 母標準偏差が既知ならz検定です。標準正規分布の値を使います。
自由度をnとしてしまう
修正: 標本標準偏差を使う1標本のt検定の自由度は、標本サイズnから1を引いたn-1です。
検定統計量の分母に、√nで割る前の標準偏差だけを使う
修正: 標本平均の標準偏差にあたる、σ/√nまたはs/√nを分母にします。
確認問題
Q1母標準偏差が既知で、n=25、標本平均52、帰無仮説の母平均50、σ=5。zはいくつ?
答え: 2
z=(52-50)/(5/√25)=2です。
Q2上の問題で、5%の両側検定の結論は?
答え: 帰無仮説を棄却する
2は標準正規分布の臨界値1.96より大きいためです。
Q3同じ数値で、5が標本標準偏差のとき、5%の両側検定の結論は?
答え: 帰無仮説を棄却できない
t=2は、自由度24のt分布の臨界値2.064より小さいためです。
Q4標本標準偏差を使う1標本のt検定で、標本サイズが25のときの自由度は?
答え: 24
自由度はn-1=24です。
到達チェック
- z検定とt検定の使い分けを、母標準偏差が既知かどうかで説明できる
- z統計量とt統計量の式を、分母の違いとともに書ける
- 標準正規分布の1.96と、t分布の臨界値が自由度で変わることを説明できる
- 同じ数値で結論が分かれる理由を説明できる
- 問題文の「母標準偏差」と「標本標準偏差」を読み分けられる
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よくある質問
Qz検定とt検定は、何で使い分ける?
母標準偏差が既知かどうかで使い分けます。既知ならz検定、標本標準偏差で推定するならt検定です。
Qt検定の臨界値は、なぜ自由度で変わる?
t分布の形が自由度で変わるためです。自由度24の両側5%の臨界値は2.064で、標準正規分布の1.96より大きくなります。
Q検定統計量の値が同じなら、結論も同じ?
同じとは限りません。本ページの例では、zもtも2ですが、1.96と比べると棄却、2.064と比べると棄却できません。
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執筆: ミナト編集部(運営者情報を見る)
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