用語比較
標準化回帰係数と回帰係数の違い|どの説明変数の影響が大きいかを比べる方法(重回帰)
回帰係数は説明変数が1単位増えたときの目的変数の変化量で、単位に左右されます。標準化回帰係数は標準偏差を単位にした値で、単位の違う説明変数の影響の大きさを比べるときに使います。
標準化回帰係数は、回帰係数bに「説明変数の標準偏差÷目的変数の標準偏差」を掛けて求めます。単回帰では、この値が相関係数に一致します。
このページは、重回帰の出力で係数の大きさを比べて、どの変数が効いているかを判断したい人を対象にしています。広さ(㎡)と駅徒歩(分)の例で、読み違えが起きる理由を確認します。
この記事の目次
この記事の根拠と出典
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結論
回帰係数 b
説明変数が1単位増えたときの目的変数の変化量。単位つきの値で、単位を変えると大きさも変わる。
標準化回帰係数 β
標準偏差1つ分の変化に対する、目的変数の標準偏差の変化。単位を持たず、変数どうしを比べやすい。ソフトでは「Beta」と表示されることがある。
換算
β = b × (説明変数の標準偏差 ÷ 目的変数の標準偏差)。単回帰ではβは相関係数rに等しい。
違いを表で確認
| 比較軸 | 回帰係数 b | 標準化回帰係数 β |
|---|---|---|
| 意味 | 説明変数が1単位増えたときの変化量 | 説明変数が標準偏差1つ分増えたときの、目的変数の標準偏差単位での変化 |
| 単位 | あり(例:万円/㎡) | なし |
| 変数どうしの比較 | 単位が違うと比べられない | 単位に左右されず比べやすい |
| 予測式への使い方 | 元のデータの値を代入して予測できる | 標準化した値を代入する形になり、そのままでは予測に使いにくい |
| 注意点 | 単位の取り方で大きさが変わる | 標本の標準偏差に依存し、標本のばらつきの特性を反映する |
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回帰係数の絶対値が大きい変数ほど影響が大きいと考える人
回帰係数は単位に依存します。「分」単位の変数と「㎡」単位の変数では、係数の大きさをそのまま比べられません。
標準化回帰係数で、予測値を直接計算しようとする人
標準化回帰係数は標準化した変数に対する係数です。元の値で予測するときは、元の回帰係数bと切片を使います。
単回帰の標準化回帰係数を、傾きと別物だと思っている人
単回帰では、標準化回帰係数は相関係数rと一致します。傾きbにsx/syを掛けた値です。
具体例で使い分ける
例 1
単回帰で標準化回帰係数が相関係数に一致する
xが1〜5、yが2・4・5・4・5の5点データです(架空のデータ)。Σ(x−3)²=10、Σ(y−4)²=6、Σ(x−3)(y−4)=6です。
- 傾きはb=6/10=0.6です。標準偏差は、s_x=√(10/4)≒1.581、s_y=√(6/4)≒1.225です。
- 標準化回帰係数はβ=0.6×1.581/1.225≒0.775です。
- 相関係数は、6/√(10×6)≒0.775で、βと一致します。
結論: 単回帰の標準化回帰係数は、相関係数と同じ値です。傾き0.6は単位つき、0.775は単位なしです。
例 2
重回帰で「大きい係数」と「効いている変数」がずれる
家賃(万円)を、広さ(㎡)と駅徒歩(分)で説明する重回帰を考えます(架空の数値)。広さの偏回帰係数は0.2万円/㎡、標準偏差は20㎡。駅徒歩は−0.5万円/分、標準偏差は4分。家賃の標準偏差は10万円です。
- 回帰係数の絶対値は、広さ0.2、駅徒歩0.5で、駅徒歩の方が大きく見えます。ただし単位が「㎡」と「分」で違うので、この比較に意味はありません。
- 標準化回帰係数は、広さが0.2×20/10=0.4、駅徒歩が−0.5×4/10=−0.2です。
- 標準偏差1つ分の変化で比べると、広さの方が家賃への影響が大きいと読めます。駅徒歩は符号が負で、遠いほど家賃が下がる向きです。
結論: 係数の絶対値は単位に左右されます。変数どうしを比べるなら、標準化回帰係数を見ます。
問題文から答えを選ぶ手順
- 1
何をしたいのかを決める
予測値を出したいなら回帰係数b、説明変数どうしの影響の大きさを比べたいなら標準化回帰係数βを使います。
- 2
説明変数の単位をそろえて見る
単位が違う変数の回帰係数は、そのままでは比べません。
- 3
換算式で標準化する
β=b×(説明変数の標準偏差÷目的変数の標準偏差)で求めます。
- 4
絶対値で大きさ、符号で向きを読む
大きさは絶対値で比べ、正負は影響の向きを表します。
試験での見分け方
- 1回帰係数bは単位つき、標準化回帰係数βは単位なし。
- 2β=b×(sx/sy)。説明変数と目的変数の標準偏差の比を掛ける。
- 3説明変数どうしの影響の大きさを比べるときは、標準化回帰係数を使う。
- 4予測式に元のデータの値を代入するときは、回帰係数bと切片を使う。
- 5単回帰では、標準化回帰係数は相関係数rに等しい。
誤答しやすい選択肢
回帰係数の絶対値だけで、影響の大きさを比べる
修正: 単位が違えば係数の大きさも変わります。比べるときは標準偏差で換算した標準化回帰係数を見ます。
標準化回帰係数に元の変数の値を代入して予測する
修正: 標準化回帰係数は標準化した変数に対する係数です。元の値で予測するときは、元の回帰係数と切片を使います。
標準偏差の比を、逆(sy/sx)にして掛ける
修正: β=b×(sx/sy)です。説明変数の標準偏差が分子、目的変数の標準偏差が分母になります。
標準化回帰係数が大きければ、因果として影響が大きいと断定する
修正: 標準化は標本の標準偏差に依存します。標本のばらつきの特性を反映するので、因果の強さとは別に読みます。
確認問題
Q1b=0.2、説明変数の標準偏差20、目的変数の標準偏差10のとき、標準化回帰係数はいくつ?
答え: 0.4
β=0.2×20/10=0.4です。
Q2b=−0.5、説明変数の標準偏差4、目的変数の標準偏差10のとき、標準化回帰係数はいくつ?
答え: −0.2
β=−0.5×4/10=−0.2です。符号は回帰係数と同じです。
Q3単回帰で傾き0.6、sx≒1.581、sy≒1.225のとき、相関係数はいくつ?
答え: 約0.775
単回帰では標準化回帰係数が相関係数に一致します。0.6×1.581/1.225≒0.775です。
Q4単位の違う2つの説明変数の影響の大きさを比べるとき、見るのは回帰係数と標準化回帰係数のどちら?
答え: 標準化回帰係数
標準化回帰係数は単位を持たないので、単位の違う変数どうしを比べるのに向いています。
到達チェック
- 回帰係数が単位に依存することを説明できる
- β=b×(sx/sy)で標準化回帰係数を計算できる
- 説明変数どうしの影響を比べるときに標準化回帰係数を使うと説明できる
- 予測には元の回帰係数と切片を使うと説明できる
- 単回帰の標準化回帰係数が相関係数に等しいことを使える
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よくある質問
Q標準化回帰係数と回帰係数は、何が違う?
回帰係数は説明変数が1単位増えたときの変化量で単位に依存し、標準化回帰係数は標準偏差を単位にした値で、説明変数どうしを比べるのに使います。
Q標準化回帰係数は、どう計算する?
回帰係数bに、説明変数の標準偏差を目的変数の標準偏差で割った値を掛けます。b=0.2、sx=20、sy=10なら0.2×20/10=0.4です。
Q単回帰の標準化回帰係数は、相関係数と同じ?
単回帰では一致します。本ページの5点データでは、どちらも約0.775です。
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執筆: ミナト編集部(運営者情報を見る)
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