用語比較
群間平方和と群内平方和の違い|F比への効き方を手計算で確認(統計検定2級)
群間平方和は、各群の平均が全体の平均からどれだけ離れているかを表す値です。群内平方和は、各群の中で、観測値が自分の群の平均からどれだけ散らばっているかを表す値です。一元配置分散分析は、この二つを比べて、群の平均に差があるかを調べます。
統計検定2級では、群の平均どうしの違いなら群間、群の中のばらつきなら群内と読み分けます。群間が群内に比べて大きいほど、F比が大きくなり、平均に差がある方向の結果になります。
このページは、分散分析の表の「要因」「残差」の行が、何を計算した数字なのか分からなくなる人向けです。分散分析とt検定の使い分けは別のページで扱い、ここでは二つの平方和の中身と、F比までのつながりに絞って比べます。
この記事の目次
この記事の根拠と出典
各セクションの見出しの下に、公式資料で確認した内容か編集部の整理かをラベルで示しています。 試験日・料金・申込条件・試験方式は変わることがあるため、申込前に公式サイトで確認してください。統計検定2級の一次情報確認日: 2026-10-09。
結論
群間平方和(SS_F)
各群の平均と全体の平均の差を二乗して、群ごとの観測数で重みづけして足した値。観測数が各群J個なら J×Σ(各群の平均−全体の平均)²。自由度は群の数Iを使って I−1。
群内平方和(SS_E)
各観測値と、その観測値が属する群の平均との差を二乗して、すべて足した値。ΣΣ(観測値−その群の平均)²。自由度は I(J−1)。
違いを表で確認
| 比較軸 | 群間平方和(SS_F) | 群内平方和(SS_E) |
|---|---|---|
| 測っているもの | 群間平方和:群の平均どうしのばらつき | 群内平方和:各群の中の観測値のばらつき |
| 何からの差か | 群間平方和:各群の平均と、全体の平均との差 | 群内平方和:各観測値と、自分の群の平均との差 |
| 計算式(各群J個、I群) | 群間平方和:SS_F = J×Σ(各群の平均−全体の平均)² | 群内平方和:SS_E = ΣΣ(観測値−各群の平均)² |
| 自由度 | 群間平方和:I−1 | 群内平方和:I(J−1) |
| 平均平方 | 群間平方和:MS_F = SS_F ÷ (I−1) | 群内平方和:MS_E = SS_E ÷ I(J−1) |
| F比での位置 | 群間平方和:分子(MS_F)になる | 群内平方和:分母(MS_E)になる |
| 大きいと何が言えるか | 群間平方和:群の平均に差がありそう(F比が大きくなる) | 群内平方和:群の中のばらつきが大きく、平均の差が見えにくい(F比が小さくなる) |
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分散分析の表の「要因」と「残差」が何か分からない人
NISTのハンドブックの一元配置の分散分析表は、「要因」の行に群間平方和、「残差」の行に群内平方和、「補正済み全体」の行に全体の平方和を載せます。統計ソフトの出力では、要因の行が群間、残差の行が群内に対応します。
平方和と平均平方を混ぜてしまう人
平方和は、ばらつきの合計です。平均平方は、平方和をその自由度で割った値です。F比に使うのは平均平方どうしの比で、平方和どうしの比ではありません。
群内平方和が大きいと、F比がどうなるか迷う人
群内平方和は分母の平均平方になります。同じ群間平方和でも、群の中のばらつきが大きいほどF比は小さくなり、平均の差があるとは言いにくくなります。
具体例で使い分ける
例 1
3群・各4個のデータで、二つの平方和を手計算する場合
A群は4,5,6,5、B群は6,7,8,7、C群は8,9,10,9の測定値で、3群の平均に差があるかを一元配置分散分析で調べる、という設問です。群の平均は5、7、9、全体の平均は7です。
- 群間平方和は、観測数J=4に、各群の平均と全体の平均の差の二乗の和をかけます。(5−7)²+(7−7)²+(9−7)²=8なので、4×8=32です。
- 群内平方和は、各観測値と自分の群の平均との差の二乗を足します。A群は(−1)²+0²+1²+0²=2で、B群とC群も同じ2なので、合計は6です。
- 自由度は、群間がI−1=2、群内がI(J−1)=3×3=9です。平均平方は、群間が32÷2=16、群内が6÷9で約0.67になります。
- F比は16÷(6÷9)=24です。この値を、自由度(2, 9)のF分布の上側確率と比べて判断します。
結論: 群間平方和は32、群内平方和は6で、F比は24です。群の中のばらつきに比べて、群の平均の差が大きいデータです。
例 2
群の平均は同じだが、群の中のばらつきが違うデータを比べる場合
同じ3群の平均5、7、9でも、群の中のばらつきが大きいデータと小さいデータでは、F比がどう変わるかを問う設問です。
- 群の平均が同じなら、群間平方和は同じ値になります。
- 群の中のばらつきが大きいと、群内平方和が大きくなり、分母の平均平方が大きくなります。
- 分子が同じで分母が大きくなるので、F比は小さくなります。
結論: 群間平方和が同じでも、群内平方和が大きいほどF比は小さくなります。
例 3
全体の平方和が、群間と群内に分かれる関係を問われる場合
全体の平方和と、群間平方和・群内平方和の関係を答える設問です。
- NISTの分散分析表は、補正済み全体の平方和を、各観測値と全体の平均との差の二乗の和としています。
- 手計算の例では、全体の平方和は38で、群間の32と群内の6の和に一致します。
- 自由度も同様に、全体のIJ−1=11は、群間の2と群内の9の和になります。
結論: 全体の平方和は、群間平方和と群内平方和の和です。自由度も同じ関係になります。
問題文から答えを選ぶ手順
- 1
何の差かを確認する
群の平均と全体の平均の差なら群間、観測値と自分の群の平均の差なら群内です。
- 2
自由度を確認する
群の数をI、各群の観測数をJとすると、群間はI−1、群内はI(J−1)です。
- 3
平均平方にする
各平方和を、対応する自由度で割ります。群間の平均平方が分子、群内の平均平方が分母です。
- 4
F比を読む
F比が大きいほど、群の中のばらつきに比べて平均の差が大きいことを示します。判断はF分布の上側確率で行います。
試験での見分け方
- 1群の平均と全体の平均の差なら、群間平方和。
- 2観測値と自分の群の平均の差なら、群内平方和。
- 3F比の分子は群間の平均平方、分母は群内の平均平方。
- 4平均平方は、平方和を自由度で割った値。
- 5全体の平方和は、群間平方和と群内平方和の和になる。
誤答しやすい選択肢
F比を、群間平方和÷群内平方和で求める
修正: F比は平均平方の比です。それぞれの平方和を、自由度で割ってから比べます。
群間の自由度を、観測数の合計から1を引いた値と考える
修正: 群間の自由度はI−1、群内の自由度はI(J−1)です。観測数の合計から1を引いた値IJ−1は、全体の自由度です。
群内平方和は、群の平均の差を測ると考える
修正: 群内平方和が測るのは、各群の中のばらつきです。群の平均の差を測るのは、群間平方和です。
F比が大きければ、どの群の間にも差があると考える
修正: F検定で分かるのは、群の平均が全部等しいとは言えないことまでです。どの群の間に差があるかは、多重比較で調べます。
確認問題
Q1各群の平均と全体の平均の差にもとづく平方和を何というか。
答え: 群間平方和
各群の平均が全体の平均からどれだけ離れているかを表す平方和です。
Q23群、各群4個の一元配置で、群間平方和の自由度と群内平方和の自由度はいくつか。
答え: 群間は2、群内は9
群間はI−1=3−1=2、群内はI(J−1)=3×(4−1)=9です。
Q3群間平方和が32、群内平方和が6、3群・各群4個のとき、F比はいくつか。
答え: 24
群間の平均平方は32÷2=16、群内の平均平方は6÷9です。F比は16÷(6÷9)=24です。
Q4群の平均が同じとき、群内のばらつきが大きくなると、F比はどう変わるか。
答え: 小さくなる
群間平方和は変わらず、群内の平均平方が大きくなって分母が増えるためです。
到達チェック
- 群間平方和と群内平方和の違いを一言で言える
- 二つの平方和の計算式を書ける
- 群間と群内の自由度を求められる
- 平均平方とF比のつくり方を説明できる
- 全体の平方和が二つの和になることを言える
関連ページで確認する
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よくある質問
Q群間平方和と群内平方和の違いは何ですか?
群間平方和は各群の平均が全体の平均からどれだけ離れているか、群内平方和は各群の中で観測値がどれだけ散らばっているかを表します。分散分析は、この二つの平均平方の比であるF比で、群の平均に差があるかを調べます。
Q群内平方和は、残差の平方和と同じですか?
一元配置では同じ意味です。NISTのハンドブックは、分散分析表の残差の行に、各観測値と自分の群の平均との差の二乗の和を載せています。
Q自由度はどう求めますか?
群の数をI、各群の観測数をJとすると、群間はI−1、群内はI(J−1)、全体はIJ−1です。群間と群内の自由度を足すと、全体の自由度になります。
QF比が大きいとき、何が言えますか?
群の中のばらつきに比べて、群の平均の差が大きいと言えます。F分布の上側確率が小さければ、群の平均が全部等しいとは言えないと判断します。どの群の間に差があるかまでは、F検定だけでは分かりません。
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執筆: ミナト編集部(運営者情報を見る)
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