用語比較
外れ値の見つけ方と扱い方(箱ひげ図・四分位範囲・平均と中央値への影響)
外れ値は、ほかの観測値から大きく離れた値です。見つけ方の代表が箱ひげ図で、四分位範囲IQ(Q3−Q1)を使い、Q1−1.5×IQより小さい値、Q3+1.5×IQより大きい値を外れ値の候補にします。
見つけたあとの扱いは別の問題です。米国標準技術研究所(NIST)のハンドブックは、外れ値を除く可能性を考える前に、なぜ現れたか、同様の値が今後も現れそうかを理解するよう述べています。
統計検定2級の公式出題範囲は、散らばりなどの指標として四分位数、箱ひげ図、四分位範囲、外れ値を挙げています(当サイトの事実リストで確認)。1.5×の境界はNISTの箱ひげ図の作図規則で、教科書流の一例です。1.5×という値を公式が定めているかは確認できていないため、問題文に基準が書かれていればそれに従ってください。
この記事の目次
この記事の根拠と出典
各セクションの見出しの下に、公式資料で確認した内容か編集部の整理かをラベルで示しています。 試験日・料金・申込条件・試験方式は変わることがあるため、申込前に公式サイトで確認してください。統計検定2級の一次情報確認日: 2026-10-09。
結論
見つけ方
箱ひげ図の境界(Q1−1.5×IQ、Q3+1.5×IQ)を越えた観測値を、外れ値の候補にする。
扱い方
候補は直ちに誤りとは限らない。なぜ現れたかを調べてから、残すか除くかを決める。
違いを表で確認
| 比較軸 | 見つけ方 | 扱い方 |
|---|---|---|
| 目的 | ほかの観測値から大きく離れた値を見つける | 見つけた値を残すか、除くか、別に分析するかを決める |
| 使う基準 | NISTの箱ひげ図では、内側の境界はQ1−1.5×IQとQ3+1.5×IQ。外側の境界はQ1−3×IQとQ3+3×IQ | NISTは、除く可能性を考える前に、なぜ現れたか、同様の値が今後も現れそうかを理解するよう述べる |
| 結果の性質 | 境界を越えた点は外れ値の候補。内側の境界を越えると軽度の外れ値、外側の境界を越えると極端な外れ値とされる | NISTは、外れ値が調べている過程やデータの記録方法に関する貴重な情報を含むことが多いと述べる一方、誤ったデータであることも多いとする |
| 使う図 | 箱ひげ図。NISTは、ヒストグラムも外れ値の有無を示すとする | 図だけで決めず、データの記録や測定の経緯も確認する |
| 平均と中央値への影響(当サイトの計算例) | 10個のデータ12, 13, 14, 15, 15, 16, 17, 18, 19, 60 では、平均が19.9、中央値が15.5で、差が大きい | 60を除くと、平均は約15.4、中央値は15になる。平均は約4.5動き、中央値は0.5しか動かない |
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外れ値は必ず削除するものだと思っている人
境界を越えた点は「候補」です。当サイトの用語集も、直ちに誤りとは限らないとしています。NISTも、除く前に理由を理解するよう述べています。
箱ひげ図の線が平均だと思っている人
総務省統計局の『なるほど統計学園』は、箱ひげ図の中央の線は中央値で、平均値ではないと説明しています。分布に偏りがある場合、平均は箱の外側にあることもあります。
平均と中央値の差で外れ値の影響を判断したい人
外れ値があると平均は動きやすく、中央値は動きにくくなります。2つの値が大きく離れているときは、外れ値や分布の偏りがないかを確認します。
具体例で使い分ける
例 1
NISTのハンドブックの例(90個のデータ)
NISTは、N = 90 の順序づけられたデータで外れ値を調べています。
- 中央値は559.5、下側四分位数は429.75、上側四分位数は742.25で、四分位範囲IQは312.5です。
- 下側の内側の境界は429.75 − 1.5×312.5 = −39.0、上側の内側の境界は742.25 + 1.5×312.5 = 1211.0です。
- データの最大値1441は上側の内側の境界を越えています。外側の境界は1679.75なので、これは越えていません。
結論: 1441は軽度の外れ値で、極端な外れ値はありません。
例 2
当サイトの10個のデータで境界を求める
12, 13, 14, 15, 15, 16, 17, 18, 19, 60 の外れ値を調べます。
- NISTの例と同じ方法((N+1)×割合の順位の値を使う)で、Q1は13.75、Q3は18.25、IQは4.5です。
- 下側の境界は13.75 − 1.5×4.5 = 7.0、上側の境界は18.25 + 1.5×4.5 = 25.0です。
- 60は上側の境界25.0を越えています。外側の境界は18.25 + 3×4.5 = 31.75で、60はこれも越えています。
結論: 60が外れ値の候補です。ほかの9個は境界の内側にあります。
例 3
外れ値の候補を前に、どうするか決める
上のデータで60が見つかりました。除くかどうかを決める場面です。
- NISTは、除く可能性を考える前に、なぜ現れたか、同様の値が今後も現れそうかを理解するよう述べています。
- 入力の誤りなら訂正します。誤りでなければ、データの正しい一部として扱います。
- 代表値は、平均が19.9、中央値が15.5です。外れ値の影響を受けにくい中央値の方が、データの中心の感覚に近いと言えます。
結論: 原因を確認してから、残すか除くかを決めます。
問題文から答えを選ぶ手順
- 1
四分位数を求める
データを小さい順に並べ、第1四分位数Q1と第3四分位数Q3を求めます。
- 2
四分位範囲を求める
IQ = Q3 − Q1 を計算します。
- 3
境界を求めて比べる
Q1 − 1.5×IQ と Q3 + 1.5×IQ を求め、これを越える値を外れ値の候補にします。
- 4
扱いを決める
候補の原因を確認します。入力の誤りなら訂正し、そうでなければ残して、中央値や四分位範囲のような影響を受けにくい指標も併用します。
試験での見分け方
- 1外れ値の候補は、Q1−1.5×IQより小さい値、Q3+1.5×IQより大きい値。
- 2四分位範囲IQ = Q3 − Q1。
- 3候補は直ちに誤りとは限らないので、除く前に原因を確認する。
- 4外れ値があると、平均は動きやすく、中央値は動きにくい。
- 5箱ひげ図の中央の線は、平均ではなく中央値。
誤答しやすい選択肢
境界を越えた値を、自動的に削除してよいと考える
修正: 越えた値は候補です。NISTは、除く前になぜ現れたかを理解するよう述べています。
境界を Q1 − 1.5×IQ ではなく、Q1 − 1.5 と覚える
修正: 1.5に掛けるのは四分位範囲IQです。IQ = Q3 − Q1 を先に求めます。
箱ひげ図の中央の線を平均だと考える
修正: 中央の線は中央値です。総務省統計局の『なるほど統計学園』も、平均値ではないので注意するよう述べています。
1.5×IQの基準を、すべての外れ値判定に共通のものだと考える
修正: 1.5×IQは箱ひげ図の作図規則の一例です。NISTも、何を異常とみなすかは分析者の判断や合意に任される部分があると述べています。
確認問題
Q1Q1 = 13.75、Q3 = 18.25 のとき、四分位範囲IQは?
答え: 4.5
IQ = Q3 − Q1 = 18.25 − 13.75 = 4.5 です。
Q2Q3 = 18.25、IQ = 4.5 のとき、箱ひげ図の上側の境界(内側)は?
答え: 25.0
Q3 + 1.5×IQ = 18.25 + 6.75 = 25.0 です。この値を越える観測値は外れ値の候補です。
Q3外れ値の候補を見つけたとき、除く前に最初にすることは?
答え: なぜその値が現れたかを確認する
NISTは、除く可能性を考える前に、なぜ現れたか、同様の値が今後も現れそうかを理解するよう述べています。
到達チェック
- 四分位範囲IQをQ3−Q1で求められる
- 箱ひげ図の境界 Q1−1.5×IQ と Q3+1.5×IQ を計算できる
- 境界を越えた値が「候補」であることを説明できる
- 外れ値があるとき、平均と中央値のどちらが動きやすいか説明できる
- 箱ひげ図の中央の線が中央値だと説明できる
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よくある質問
Q外れ値とは?
ほかの観測値から大きく離れた値です。NISTは、何を異常とみなすかは分析者や合意に任される部分があると述べています。
Q箱ひげ図で外れ値を見つける基準は?
NISTの箱ひげ図では、四分位範囲IQ = Q3 − Q1 を使い、Q1−1.5×IQより小さい値とQ3+1.5×IQより大きい値を外れ値の候補とします。
Q外れ値は削除すべきですか?
直ちに削除するものではありません。NISTは、除く前になぜ現れたかを理解するよう述べています。入力の誤りなら訂正します。
Q外れ値があると平均と中央値はどうなりますか?
平均は動きやすく、中央値は動きにくくなります。当サイトの計算例(12〜19と60の10個)では、60を除くと平均は19.9から約15.4へ動き、中央値は15.5から15へ動きます。
Q外れ値は統計検定2級の範囲ですか?
はい。当サイトの事実リストでは、公式出題範囲の散らばりなどの指標に、四分位数、箱ひげ図、四分位範囲とともに外れ値が挙がっています。
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