法律とシラバスの関係
AI新法と生成AIパスポート(罰則なしの推進法・全4章28条)
生成AIパスポートのシラバスには、2026年2月の適用分から「AI新法」が載っています。正式名称が長く、規制の法律なのか推進の法律なのかも名前からは分かりにくいため、何を覚えればよいのか迷う受験者が多い項目です。AI新法は罰則のない推進法で、本則は全4章28条です。試験対策では、公布と施行の日付、活用事業者と国民の責務の違い、AI事業者ガイドラインとの役割分担の3点を押さえれば足ります。
このページは、e-Gov法令検索の条文と内閣府の公式ページ、AI事業者ガイドライン、公式シラバスの記載の範囲で、押さえる点を並べています。試験での出題を予想するものではありません。
この記事の目次
公式情報の確認
試験日、料金、申込条件、試験方式など変動する情報は、公式情報を最終確認してください。 当サイトの一次情報確認日: 2026-08-31。
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結論
- AI新法は2025年6月4日に公布され、同年9月1日に全面施行された、全4章28条の法律
- 罰則の規定がなく、規制ではなく研究開発と活用の推進を軸にした推進法(基本法型)
- 活用事業者は国などの施策に「協力しなければならない」、国民は「協力するよう努める」と、責務の書き方が違う
- 法律は基本的な枠組み、AI事業者ガイドラインは罰則のない非拘束的な指針で、役割が分かれている
公布日・施行日・構成
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | 人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律(令和7年法律第53号)。AI新法、AI推進法、AI法とも呼ばれる |
| 公布と施行 | 2025年6月4日に公布され一部が施行、同年9月1日に全面施行された |
| 構成 | 本則は全4章28条と附則。第1章 総則(1〜10条)、第2章 基本的施策(11〜17条)、第3章 人工知能基本計画(18条)、第4章 人工知能戦略本部(19〜28条) |
| 性格 | 罰則の規定がない推進法(基本法型)。規制よりも研究開発と活用の推進を主眼にしている |
| 司令塔 | 内閣に人工知能戦略本部を置く(19条)。本部長は内閣総理大臣、副本部長は内閣官房長官と人工知能戦略担当大臣、本部員はその他の全ての国務大臣 |
| 基本計画 | 人工知能基本計画は政府が策定する(18条)。最初の計画は2025年12月23日、新しい計画は2026年7月14日に閣議決定された |
制定の背景は、日本のAIの研究開発と活用が国際的に遅れているという課題と、AIに対する国民の不安の両方です。イノベーションの促進とリスクへの対応を両立させることが、この法律の狙いだと内閣府は説明しています。
誰にどんな責務があるか
| 主体(条) | 条文の内容 |
|---|---|
| 国(4条) | 基本理念にのっとり、AI関連技術の研究開発と活用の推進に関する施策を総合的かつ計画的に策定し、実施する立場 |
| 活用事業者(7条) | AIを事業活動で活用しようとする者。自ら積極的に活用して事業の効率化・高度化と新産業の創出に努めるとともに、国や地方公共団体の施策に協力しなければならない |
| 国民(8条) | AIへの理解と関心を深め、国や地方公共団体の施策に協力するよう努める。協力は努力義務の書き方で、活用事業者の「協力しなければならない」とは文言が違う |
基本理念(3条)には、AIの不正利用が犯罪への利用、個人情報の漏えい、著作権の侵害などを助長するおそれがあることに鑑み、過程の透明性の確保その他の必要な施策を求める趣旨も含まれています。個人情報の側は、令和8年改正個人情報保護法と試験の関係で別に整理しています。
AI事業者ガイドラインとの関係
総務省と経済産業省の「AI事業者ガイドライン」(第1.2版、令和8年3月31日)は、AI新法を踏まえてAIガバナンスの統一的な指針を示すものと位置づけられています。ガイドラインは、非拘束的なソフトローの考え方で、目的の達成へ導くゴールベースで作られたと述べています。ソフトローとは、法的な強制力を持たず、事業者の自主的な取り組みを促す指針のことです。
整理すると、AI新法が罰則のない基本的な枠組みを定め、ガイドラインが事業者の実際の取り組みの手がかりを示す関係です。法第13条は、国が国際的な規範の趣旨に即した指針の整備などの施策を講じると定めており、2025年12月19日に人工知能戦略本部が決定した適正性確保の指針がこれにあたると、ガイドラインは言及しています。
シラバスとの対応
| 対象の試験 | AI新法に関する記載 |
|---|---|
| 2026年2月〜の現行シラバス | 第4章に「AI新法」が新規項目として追加された。人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律、AI新法の必要性・基本構造・内容、AI事業者ガイドラインとの関連などがキーワードに載る |
| 2027年2月試験からの新シラバス | 中項目「AI法・国際ルール・AI安全保障」が置かれ、AI法の制定の背景と基本構造、AI基本計画と国・事業者・利用者の役割、AI法・ガイドライン・既存法令の関係、G7広島AIプロセス、EU AI Actなどを学ぶ項目になる |
どちらの回を受けるかで章立てが変わります。章の対応と追加項目は、2027年2月試験の新シラバスと2026年シラバス改訂で確認できます。
取り違えやすい点
「規制法」ではなく「推進法」
e-Govで本則28条を検索すると、罰則を定める条文は出てきません。権利利益の侵害が生じた事案があれば、国が分析と対策の検討を行い、その結果にもとづいて研究開発機関や活用事業者に指導、助言、情報の提供などの措置を講じる(16条)、という作りです。罰則で縛る法律か、推進を軸にした法律かを問う選択肢では、推進法の側が正解になります。
活用事業者と国民では、協力の書き方が違う
活用事業者は国などの施策に「協力しなければならない」、国民は「協力するよう努めるものとする」と条文に書かれています。主体ごとの責務の強さを並べて覚えておくと、責務の対応づけを問う設問で迷いません。ただし、どちらにも罰則はありません。
法律とガイドラインは役割が違う
AI新法は基本的な枠組みを定める法律です。AI事業者ガイドラインは、罰則のない非拘束的な指針として、事業者が実際に何をするかを具体的に示す側にあります。「法律が詳しい実施基準を定める」と読む選択肢は、役割が逆です。
日付の取り違え
公布の2025年6月4日と、全面施行の2025年9月1日は別の日付です。人工知能基本計画の最初の閣議決定は2025年12月23日で、法律の施行より後になります。2026年7月14日には新しい計画が閣議決定されているため、設問が指す計画の時点にも注意します。三つの日付を一つの表にまとめて覚えると、年月日を問う設問で混ざりません。
用語ごとの定義は用語集のAI新法で確認できます。ガイドライン側の定義は用語集のAI事業者ガイドラインです。第4章の問題を解くと、責務や日付がどう問われるかを確かめられます。
よくある質問
AI新法は生成AIパスポートで出題される?
2026年2月から適用されたシラバスに「AI新法」が新規項目として載っており、2027年2月試験からの新シラバスにも「AI法・国際ルール・AI安全保障」の中項目があります。出題範囲に含まれる項目ですが、個別の設問の内容や数は公表されていないため、このページは出題を予想するものではありません。
AI新法に違反すると罰則はある?
ありません。e-Gov法令検索で本則28条を調べると、罰を定める条文は含まれていません。国が権利利益の侵害事案を分析し、事業者などに指導、助言、情報の提供を行う仕組み(16条)が置かれています。
AI新法とEUのAI規制は同じ種類の法律?
同じではありません。AI新法は罰則のない推進法です。EU AI Act(EU AI規則)は、新シラバスの項目名に挙がる海外の規制動向の一つで、リスクの大きさに応じて扱いを変えるリスクベース・アプローチがキーワードに載っています。対比して覚えるときは、日本は推進を軸に非拘束的なソフトローで補う側、と整理します。
AI新法を勉強するには、条文を全部読む必要がある?
全文は不要です。構成(全4章28条)、罰則がないこと、活用事業者と国民の責務の違い、人工知能戦略本部と基本計画、AI事業者ガイドラインとの関係の5点を押さえれば、シラバスのキーワードに対応できます。条文は、e-Gov法令検索の公式の全文で確認してください。

