用語比較
無相関と独立の違い|相関係数0でも独立とは限らない例(統計検定2級)
独立ならば無相関ですが、無相関でも独立とは限りません。無相関は共分散(相関係数)が0という1つの数値の条件で、独立はすべての値の組で同時確率が周辺確率の積になるという、より強い条件だからです。
統計検定2級では、「相関係数が0」と書かれていても独立とは言えないという点が問われます。直線的な関係がないことと、関係が何もないことは別です。
このページは、相関係数が0と出たときに「関係がない」と言い切ってよいのか迷う人を対象にしています。Y=X²という1つの例で、無相関なのに独立でない場合と、独立で無相関になる場合を並べて確かめます。
この記事の目次
この記事の根拠と出典
各セクションの見出しの下に、公式資料で確認した内容か編集部の整理かをラベルで示しています。 試験日・料金・申込条件・試験方式は変わることがあるため、申込前に公式サイトで確認してください。統計検定2級の一次情報確認日: 2026-10-09。
結論
無相関
共分散Cov(X, Y)が0(相関係数が定義できるときは0)であること。直線的な関係の強さだけを見ており、曲線的な関係は拾わない。
独立
すべてのx, yでP(X=x, Y=y)=P(X=x)P(Y=y)が成り立つこと。一方の値が分かっても、もう一方の確率が変わらない状態を指す。
2つの関係
独立ならば無相関。逆は成り立たず、無相関でも独立とは限らない。
違いを表で確認
| 比較軸 | 無相関 | 独立 |
|---|---|---|
| 条件の中身 | 共分散が0という1つの数値の条件 | すべての値の組で同時確率が積になるという分布全体の条件 |
| 拾える関係 | 直線的な関係だけ | 直線的でも曲線的でも、あらゆる関係 |
| 強さ | 弱い条件。独立の結果として出る | 強い条件。独立なら無相関が導ける |
| 確かめ方 | Cov(X, Y)=E[XY]−E[X]E[Y]が0かを計算する | 表の全マスで同時確率と周辺確率の積を比べる |
| 逆向きの推論 | 無相関から独立は導けない | 独立から無相関は導ける |
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相関係数が0と出て、「XとYは関係がない」と書いてしまう人
相関係数は直線的な関係の強さを測る数値です。Y=X²のような曲線の関係があっても、対称な形なら相関係数は0になります。
「独立」と「無相関」を同じ言葉の言い換えと思っている人
2つの命題は同値ではありません。独立の方が強い条件で、独立から無相関は言えますが、無相関から独立は言えません。
共分散が0であることを確かめて、独立を示したつもりになる人
独立を示すには、すべての値の組で同時確率が周辺確率の積になることを確かめます。共分散が0なだけでは足りません。
具体例で使い分ける
例 1
Y=X²で、無相関なのに独立でない例
Xは−1・0・1を同じ確率1/3でとり、Y=X²とします(架空の例)。同時確率は、(X, Y)=(−1, 1)・(0, 0)・(1, 1)の3通りがそれぞれ1/3で、ほかは0です。
- E[X]=(−1+0+1)/3=0です。E[XY]=E[X³]=(−1+0+1)/3=0なので、Cov(X, Y)=E[XY]−E[X]E[Y]=0−0=0で、無相関です。
- 独立かどうかは、1マスで確かめられます。P(X=0, Y=0)=1/3ですが、P(X=0)=1/3、P(Y=0)=1/3なので積は1/9で、一致しません。
- Yの値はXで完全に決まっているので、独立でないのは当然です。それでも相関係数が0になるのは、Xが正でも負でもYが同じ向きに動くため、直線的な傾きが打ち消し合うからです。
結論: 共分散が0でも、同時確率が積にならなければ独立ではありません。関係が曲線のときは、相関係数が0でも強い従属関係があり得ます。
例 2
独立なので無相関になる例
Xは0か1で確率0.4・0.6、Yは0か1で確率0.5・0.5、独立とします(架空の例)。同時確率は積で、(0, 0)=0.2、(0, 1)=0.2、(1, 0)=0.3、(1, 1)=0.3です。
- E[X]=0.6、E[Y]=0.5です。E[XY]はX=1かつY=1のときだけ1なので、E[XY]=P(1, 1)=0.3です。
- Cov(X, Y)=0.3−0.6×0.5=0.3−0.3=0なので、無相関です。
結論: 独立なら、E[XY]=E[X]E[Y]が成り立つので共分散は必ず0になります。この向きの推論は、いつでも使えます。
問題文から答えを選ぶ手順
- 1
問われている条件を読む
「相関係数が0」「共分散が0」なら無相関、「同時確率が積になる」「一方が分かっても他方の確率が変わらない」なら独立です。
- 2
無相関なら共分散を計算する
Cov(X, Y)=E[XY]−E[X]E[Y]を計算し、0かどうかを確かめます。
- 3
独立なら表の全マスを比べる
同時確率とそれぞれの周辺確率の積を、全マスで比べます。1マスでも一致しなければ、独立ではありません。
- 4
結論の向きを確かめる
「独立だから無相関」は言えます。「無相関だから独立」と書いてあれば、反例がないかを疑います。
試験での見分け方
- 1独立ならば無相関(Cov(X, Y)=0)。
- 2無相関でも独立とは限らない。Xが原点について対称な分布でY=X²の場合が代表的な反例。
- 3独立を示すには、すべてのx, yでP(X=x, Y=y)=P(X=x)P(Y=y)を確かめる。
- 4独立でないことを示すには、積にならないマスを1つ見つければよい。
- 5XとYが二変量正規分布に従うときに限り、無相関と独立は同値になる(一般の分布では成り立たない)。
誤答しやすい選択肢
相関係数が0だから独立と答える
修正: 相関係数が0は無相関を表すだけで、独立の証明にはなりません。本ページのY=X²の例が反例です。
独立だから相関係数が正になると考える
修正: 独立なら共分散は0で、相関係数も0です。正や負になるのは、従属で直線的な関係があるときです。
無相関を「まったく関係がない」と読む
修正: 無相関は直線的な関係がないことだけを表します。曲線の関係は、相関係数に現れません。
独立を確かめるのに共分散だけを計算する
修正: 共分散の計算は無相関の確認です。独立は、表の全マスで同時確率と周辺確率の積を比べます。
確認問題
Q1XとYが独立のとき、Cov(X, Y)はいくつ?
答え: 0
独立ならE[XY]=E[X]E[Y]が成り立つので、Cov(X, Y)=E[XY]−E[X]E[Y]=0です。
Q2Cov(X, Y)=0のとき、XとYは必ず独立と言える?
答え: 言えない
無相関は独立より弱い条件です。本ページのY=X²の例は、Cov(X, Y)=0でも独立ではありません。
Q3本ページのY=X²の例で、P(X=0)P(Y=0)はいくつ?
答え: 1/9
P(X=0)=1/3、P(Y=0)=1/3なので積は1/9です。同時確率P(X=0, Y=0)=1/3と一致しないため、独立ではありません。
Q4二変量正規分布に従うXとYで、相関係数が0のとき独立と言える?
答え: 言える
二変量正規分布に限っては、無相関と独立が同値になります。一般の分布では言えません。
到達チェック
- 無相関を、共分散(相関係数)が0という条件として説明できる
- 独立を、すべての値の組で同時確率が周辺確率の積になる条件として説明できる
- 「独立ならば無相関」で、逆が成り立たないことを説明できる
- Y=X²の例で、無相関なのに独立でない理由を説明できる
- 二変量正規分布では無相関と独立が同値になる点を区別できる
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よくある質問
Q独立と無相関は、どちらが強い条件?
独立の方が強い条件です。独立ならば無相関ですが、無相関でも独立とは限りません。
Q相関係数が0なら、XとYに関係はないと言える?
言えません。相関係数が測るのは直線的な関係だけです。Y=X²のように、曲線の関係があっても相関係数が0になることがあります。
Q無相関と独立が同じになる場合はある?
XとYが二変量正規分布に従うときは、無相関と独立が同値になります。一般の分布ではこの同値は成り立たないので、問題文の前提を確かめます。
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執筆: ミナト編集部(運営者情報を見る)
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