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用語比較

類似性と依拠性の違い(AI生成物が著作権侵害になる2つの要件)

類似性は、生成物と既存の著作物で創作的表現が共通していることです。依拠性は、既存の著作物をもとに創作したことです。AI生成物を公表・販売して著作権侵害になるかは、この2つがそろい、さらに権利制限規定の対象外であるかで決まります。

文化庁の文化審議会が示した『AIと著作権に関する考え方について』の概要資料は、これを「著作権侵害の要件」と位置づけています。類似性と依拠性のどちらかが欠ければ、既存の著作物の著作権侵害にはならないため、選択肢では「どちらが欠けているか」を読み分けます。

生成AIパスポートの公式シラバスは、類似性・依拠性という語までは明記していません。

このページは、AIの学習段階と生成・利用段階の違いは分かったが、生成物が侵害になる条件の中身で迷う人向けです。学習段階の著作権法第30条の4は別のページで扱い、ここでは生成・利用段階の2つの要件の違いと、依拠性の推認に絞って比べます。

この記事の根拠と出典

各セクションの見出しの下に、公式資料で確認した内容か編集部の整理かをラベルで示しています。 試験日・料金・申込条件・試験方式は変わることがあるため、申込前に公式サイトで確認してください。生成AIパスポートの一次情報確認日: 2026-08-31。

結論

類似性

生成された画像等に、既存の著作物と創作的表現が共通していること。生成物と既存の著作物を見比べて判断する。

依拠性

既存の著作物をもとに創作したこと。生成物の見た目だけでなく、AI利用者が既存の著作物にアクセスできたか、学習されていたかといった事情から推認される。

違いを表で確認

比較軸類似性依拠性
意味類似性:創作的表現が共通していること依拠性:既存の著作物をもとに創作したこと
何を見て判断するか類似性:生成物と既存の著作物の表現を見比べる依拠性:既存の著作物へのアクセス可能性、生成物との高度な類似性、学習データに含まれていたかなどの事情
片方が欠けた場合類似性がない:既存の著作物の著作権侵害にならない依拠性がない:既存の著作物の著作権侵害にならない
AI利用者が既存の著作物を知らなかった場合類似性:この場面の論点ではない。表現が共通しているかを見比べて判断する依拠性:学習されていたと立証できれば、利用者が認識していなくても通常は依拠性があったと推認される
選択肢で探すキーワード類似性:創作的表現が共通、高度な類似依拠性:もとにして創作、アクセス可能、学習データに含まれる

どこで迷っているかを切り分ける

01

似ていれば、それだけで侵害だと思っている人

生成物が既存の著作物に似ていても、依拠性が認められなければ著作権侵害にはなりません。文化庁の概要資料は、類似性または依拠性が認められない場合は、著作権者の許諾なく著作物を利用できるとしています。

02

既存の著作物を知らなかったので問題ないと思っている人

AI利用者が既存の著作物を認識していなくても、生成AIの学習段階でその著作物が学習されていたと立証できる場合は、通常、依拠性があったと推認されます。「知らなかった」だけでは依拠性は否定されません。

03

学習データに含まれているか分からないと、依拠性は立証できないと思っている人

概要資料は、学習データに含まれているか不明でも、権利者が「AI利用者が既存の著作物にアクセス可能であったこと」や「生成物に既存の著作物との高度な類似性があること」などを立証すれば、依拠性ありと推認させられるとしています。

具体例で使い分ける

例 1

既存のイラストと表現が共通する画像を生成して、SNSに公表する場合

AIで生成した画像が、既存のイラストと創作的表現を共通にしており、投稿者はそのイラストを見たことがある、という設問です。

  • 生成物と既存のイラストで創作的表現が共通しているので、類似性が認められます。
  • 投稿者がそのイラストにアクセス可能であったことは、依拠性を推認させる事情になります。
  • 設問では、SNSへの公表は権利制限規定の対象外という前提で考えます。

結論: 類似性と依拠性がそろい、権利制限規定の対象外という前提なので、著作権侵害となります。

例 2

既存の作品と偶然似たが、表現が共通していない場合

生成した画像が既存の作品の雰囲気に近いと言われたが、創作的表現そのものは共通していない、という設問です。

  • 創作的表現が共通していないので、類似性は認められません。
  • 類似性が欠けているので、依拠性を検討するまでもなく、既存の著作物の著作権侵害にはなりません。
  • 概要資料も、類似性または依拠性のどちらかが認められなければ侵害にならないと説明しています。

結論: 類似性が認められないため、著作権侵害にはなりません。

例 3

学習に使われた著作物の創作的表現が出力される状態になっていない場合

既存の著作物が学習されていたが、その生成AIでは、学習した著作物の創作的表現が生成時に出力される状態になっていない、という設問です。

  • 学習されていた場合、通常は依拠性があったと推認されます。
  • ただし概要資料は、学習に用いられた著作物の創作的表現が生成・利用段階で出力される状態になっていない場合は、AI利用者がその事情を主張・立証して、依拠性がないと判断され得ると説明しています。
  • 推認はくつがえせる、という点が設問のポイントです。

結論: 学習されていても、出力される状態になっていない事情を立証できれば、依拠性なしと判断され得ます。

問題文から答えを選ぶ手順

  1. 1

    場面を確認する

    AI生成物をSNSへ公表する、複製物を販売するといった生成・利用段階の話かを確認します。学習データの収集なら、別の整理(著作権法第30条の4)になります。

  2. 2

    類似性を確認する

    生成物と既存の著作物で、創作的表現が共通しているかを見ます。共通していなければ、ここで侵害にならないと判断できます。

  3. 3

    依拠性を確認する

    既存の著作物をもとに創作したといえるかを見ます。アクセス可能であったこと、高度な類似性、学習データに含まれていたことが、推認の材料になります。

  4. 4

    権利制限規定を確認する

    2つがそろっていても、個人的に生成して鑑賞する行為(私的使用のための複製)のように権利制限規定の対象なら、許諾は不要です。

試験での見分け方

  • 1AI生成物の公表・販売は、通常の著作権侵害と同じ基準で判断される。
  • 2侵害になるのは、類似性と依拠性が認められ、かつ権利制限規定の対象外のとき。
  • 3類似性か依拠性のどちらかが認められなければ、既存の著作物の著作権侵害にならない。
  • 4学習されていたと立証できれば、利用者が認識していなくても、通常は依拠性があったと推認される。
  • 5生成が適法でも、アップロード等の利用は場面ごとに適法性を判断する。

誤答しやすい選択肢

似ているだけで著作権侵害になると考える

修正: 侵害には依拠性も必要です。類似性だけがあって依拠性が認められなければ、侵害にはなりません。

依拠性は、利用者が既存の著作物を知っていた場合だけだと考える

修正: 学習されていたと立証できる場合は、利用者が認識していなくても、通常は依拠性があったと推認されます。

学習データに含まれているか不明なら、依拠性は成立しないと考える

修正: 不明でも、アクセス可能であったことや高度な類似性などが立証されれば、依拠性ありと推認させることができます。

類似性と依拠性がそろえば、必ず侵害になると考える

修正: 権利制限規定の対象外であることも要件です。個人的に生成して鑑賞する行為などは、許諾が不要です。

確認問題

Q1生成物に既存の著作物との類似性は認められるが、依拠性が認められない場合、著作権侵害になりますか?

答え: ならない

類似性と依拠性の両方が必要です。どちらかが認められなければ、既存の著作物の著作権侵害にはなりません。

Q2既存の著作物が生成AIの学習に使われていたと立証できる場合、利用者がその著作物を知らなくても依拠性は推認されますか?

答え: 通常は推認される

AI利用者が既存の著作物を認識していない場合でも、学習されていたと立証できれば、通常は依拠性があったと推認されます。

Q3「既存の著作物をもとに創作したこと」は、類似性と依拠性のどちらですか?

答え: 依拠性

創作的表現が共通していることが類似性、既存の著作物をもとに創作したことが依拠性です。

到達チェック

  • 類似性と依拠性の意味を、それぞれ一言で言える
  • 片方が欠けたときに侵害にならないと説明できる
  • 依拠性が推認される場面を挙げられる
  • 学習されていても依拠性なしと判断され得る例外を説明できる
  • 権利制限規定の対象になる行為の例を挙げられる

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よくある質問

Q類似性と依拠性の最大の違いは何ですか?

A

類似性は生成物と既存の著作物で創作的表現が共通していること、依拠性は既存の著作物をもとに創作したことです。侵害が成立するには、この両方が必要です。

Qどちらか一方でも欠けるとどうなりますか?

A

文化庁の概要資料によれば、類似性または依拠性が認められない場合、既存の著作物の著作権侵害にはなりません。

Q利用者が既存の作品を知らなければ依拠性はありませんか?

A

学習されていたと立証できる場合は、利用者が認識していなくても、通常は依拠性があったと推認されます。

Q個人で生成して見るだけでも侵害になりますか?

A

個人的に画像を生成して鑑賞する行為は、私的使用のための複製などの権利制限規定の対象になり、許諾は不要とされています。

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執筆: ミナト編集部(運営者情報を見る)