用語比較
母比率の検定と区間推定の違い(標準誤差の式と使い分け)
母比率の検定と区間推定は、どちらも標本比率を使って母比率について判断しますが、目的が違います。検定は「母比率がある値と言えるか」を判断し、区間推定は「母比率が入る範囲」を求めます。
式の違いで間違えやすいのが、標準誤差の中の比率です。検定では帰無仮説の比率p0を使い、区間推定では標本比率p̂を使います。NIST公式ハンドブックの式でも、検定はsqrt(p0(1-p0)/n)、区間推定はsqrt(p̂(1-p̂)/n)です。
統計検定2級の公式出題範囲は、母比率の検定と、母平均・母比率の区間推定を含みます。このページでは、同じ数値で両方を計算し、使い分けを整理します。
この記事の目次
この記事の根拠と出典
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結論
母比率の検定
母比率がp0であるという帰無仮説を、z=(p̂-p0)/sqrt(p0(1-p0)/n)で判断する。標準誤差にはp0を使う。
母比率の区間推定
母比率が入る範囲を、p̂±臨界値×sqrt(p̂(1-p̂)/n)で求める。標準誤差には標本比率p̂を使う。
違いを表で確認
| 比較軸 | 母比率の検定 | 母比率の区間推定 |
|---|---|---|
| 目的 | 母比率が帰無仮説の値と言えるかを判断する | 母比率が入る範囲を求める |
| 結果 | 帰無仮説を棄却するかしないか | 下限と上限の区間 |
| 標準誤差の比率 | 帰無仮説の比率p0 | 標本比率p̂ |
| 式 | z=(p̂-p0)/sqrt(p0(1-p0)/n) | p̂±z×sqrt(p̂(1-p̂)/n) |
| 5%・95%の基準 | |z|が1.96を超えたら棄却(両側検定) | 95%区間の臨界値は1.96 |
| 正規近似の目安 | min{n×p0, n×(1-p0)}が5以上 | 標本サイズが大きく、p̂が0や1に近くない |
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どちらも標準誤差にp̂を使えばよいと考える人
区間推定ではp̂を使いますが、検定では帰無仮説が正しいと仮定して計算するので、p0を使います。式の中の比率が違うことを押さえます。
検定と区間推定が、同じ問題で別の結論になると不安な人
このページの例では、同じ数値で両方を計算すると結論がそろいます。ただし標準誤差の比率が違うので、計算結果は少し異なります。
問題文の「判断せよ」と「範囲を求めよ」の違いが分からない人
「~と言えるか」「有意水準で」と書かれていれば検定、「信頼区間」「推定せよ」と書かれていれば区間推定です。
具体例で使い分ける
例 1
n=400・賛成220人での母比率の検定
n=400人のうち220人が賛成でした。母比率が0.5だと言えるかを、有意水準5%の両側検定で判断します。
- 標本比率は220÷400=0.55です。
- 帰無仮説の比率p0=0.5を使うと、標準誤差はsqrt(0.5×0.5÷400)=sqrt(0.000625)=0.025です。
- z=(0.55-0.5)÷0.025=2.0です。
- |z|=2.0は、両側5%の臨界値1.96を超えます。
結論: 帰無仮説を棄却します。母比率が0.5だとは言えません。
例 2
同じ数値での母比率の95%区間推定
同じn=400、標本比率0.55で、母比率の95%信頼区間を求めます。
- 標本比率p̂=0.55を使うと、標準誤差はsqrt(0.55×0.45÷400)=sqrt(0.00061875)≒0.02487です。
- 1.96×0.02487≒0.0488です。
- 区間は0.55±0.0488で、約0.501から0.599です。
結論: 95%区間は約(0.501, 0.599)です。0.5は区間の外にあり、検定の結論と合います。
例 3
標準誤差の比率を取り違える
検定で、標準誤差を標本比率p̂=0.55から求めて、sqrt(0.55×0.45÷400)≒0.02487としてしまいました。
- 検定では帰無仮説を正しいと仮定するので、標準誤差にはp0=0.5を使います。
- p̂を使うと、z=0.05÷0.02487≒2.01となり、正しい2.0とずれます。
結論: 検定の標準誤差にはp0を使います。p̂を使うのは区間推定の方です。
問題文から答えを選ぶ手順
- 1
目的を見る
「母比率が~と言えるか」なら検定、「母比率が入る範囲」なら区間推定です。
- 2
標準誤差の比率を選ぶ
検定なら帰無仮説の比率p0、区間推定なら標本比率p̂を使います。
- 3
式に代入する
検定ならz=(p̂-p0)÷標準誤差、区間推定ならp̂±臨界値×標準誤差です。
- 4
基準と比べる
検定は|z|を臨界値(5%両側で1.96)と比べます。区間推定は、求めた区間に注目する値が入るかを見ます。
試験での見分け方
- 1母比率の検定の標準誤差は、帰無仮説の比率p0で計算する。
- 2母比率の区間推定の標準誤差は、標本比率p̂で計算する。
- 3検定は、5%有意水準の両側検定で、|z|が1.96を超えたら棄却。
- 4正規近似は、検定ならmin{n×p0, n×(1-p0)}が5以上を目安にする。
- 5区間推定の正規近似は、標本サイズが大きく、p̂が0や1に近くないときに使う。
誤答しやすい選択肢
検定の標準誤差に標本比率p̂を使う
修正: 検定は帰無仮説のもとで計算するので、p0を使います。区間推定との違いはここです。
区間推定の標準誤差に帰無仮説の比率を使う
修正: 区間推定には帰無仮説がありません。標本比率p̂から標準誤差を求めます。
母平均の検定の式をそのまま使う
修正: 母比率の標準誤差は、sqrt(比率×(1-比率)÷n)で、標本標準偏差sは使いません。
標本サイズの条件を確かめない
修正: 正規近似を使う前に、n×p0と n×(1-p0)が5以上かどうかを確認します。
確認問題
Q1母比率の検定で、標準誤差に使う比率は何ですか?
答え: 帰無仮説の比率p0
帰無仮説が正しいと仮定して、sqrt(p0(1-p0)/n)を使います。
Q2n=400、標本比率0.55のとき、p0=0.5の検定統計量zはいくつですか?
答え: 2.0
標準誤差はsqrt(0.5×0.5÷400)=0.025なので、z=(0.55-0.5)÷0.025=2.0です。
Q3母比率の区間推定の標準誤差に使う比率は何ですか?
答え: 標本比率p̂
区間は、p̂±臨界値×sqrt(p̂(1-p̂)/n)で求めます。
到達チェック
- 母比率の検定と区間推定の目的の違いを説明できる
- 検定ではp0、区間推定ではp̂を標準誤差に使うことを説明できる
- n=400、標本比率0.55の例で、zと95%区間を計算できる
- 正規近似を使う条件を言える
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よくある質問
Q母比率の検定と区間推定の違いは何ですか?
検定は母比率がある値と言えるかを判断し、区間推定は母比率が入る範囲を求めます。標準誤差の比率も違い、検定はp0、区間推定は標本比率p̂を使います。
Q母比率の検定統計量の式は何ですか?
標本比率をp̂、帰無仮説の比率をp0、標本サイズをnとして、z=(p̂-p0)÷sqrt(p0(1-p0)÷n)です(NIST公式ハンドブック)。
Q母比率の信頼区間の式は何ですか?
標本比率p̂、標本サイズnとして、p̂±臨界値×sqrt(p̂(1-p̂)÷n)です。95%の臨界値は1.96です。
Q統計検定2級では母比率を問われますか?
公式出題範囲に、母比率の検定と、母平均・母比率の区間推定が含まれます。
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執筆: ミナト編集部(運営者情報を見る)
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