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用語比較

カイ二乗分布・t分布・F分布の違い(どの検定でどの分布を使うか)

カイ二乗分布・t分布・F分布は、統計検定2級の公式出題範囲表で、推測の項目に標準正規分布や分布表の活用、上側確率点とあわせて並ぶ分布です。どれも自由度で形が決まりますが、使う場面は異なります。

試験では、設問が何を調べているか(母平均、カテゴリの度数や母分散、分散の比)を先に見て、t分布・カイ二乗分布・F分布を選びます。

このページは、分布の名前と検定の名前が頭の中で対応せず、分布表をどれで引くか迷う人を対象にしています。統計量の作り方、自由度の数、形の違いまで含めて、選ぶ手順として整理します。

この記事の根拠と出典

各セクションの見出しの下に、公式資料で確認した内容か編集部の整理かをラベルで示しています。 試験日・料金・申込条件・試験方式は変わることがあるため、申込前に公式サイトで確認してください。統計検定2級の一次情報確認日: 2026-10-09。

結論

カイ二乗分布

カテゴリカルデータのカイ二乗検定や、正規母集団の母分散の推定で使う分布。自由度1つで形が決まる。

t分布

母分散が未知のときの母平均の推定・検定で使う分布。左右対称で、自由度1つで形が決まる。

F分布

2つの標本分散の比や、分散分析・回帰の分散分析表のF比が従う分布。自由度を2つ持つ。

違いを表で確認

比較軸カイ二乗分布t分布F分布
主な使い場面カテゴリカルデータのカイ二乗検定、正規母集団の母分散の区間推定母分散が未知のときの母平均の推定・検定、2標本t検定2つの母分散の比のF検定、一元配置の分散分析、回帰の分散分析表
調べる対象度数の偏りや関連、母分散母平均(の差)分散どうしの比、群間と群内のばらつきの比
自由度の数1つ(適合度検定はカテゴリ数-1、独立性の検定は(行数-1)×(列数-1))1つ(1標本なら標本サイズ-1)2つ(分子の自由度と分母の自由度)
統計量の作り方観測度数と期待度数のずれの二乗和。母分散の区間推定では(n-1)s²を使う標本平均と仮説の値の差を、標準誤差で割る2つのカイ二乗変数をそれぞれの自由度で割った比
形の特徴検定統計量は常に0以上0を中心に左右対称。自由度が大きいほど正規分布に近づく分散の比なので0以上の値を取る
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どこで迷っているかを切り分ける

01

分布の名前と検定の名前がつながらない初学者

「t検定ならt分布、カイ二乗検定ならカイ二乗分布」までは覚えていても、分散分析や回帰の分散分析表でF分布が出ると結びつきません。F分布は2つの平方和を自由度で割った平均平方の比に対応する、と統計量の作り方から覚えると、場面ごとの対応が1本の線になります。

02

分布表を引くときに自由度の数で迷う人

カイ二乗分布とt分布は自由度が1つですが、F分布は分子と分母の自由度の2つを指定して表を引きます。設問文に自由度が2つ書かれている、または2群の標本サイズが与えられているときは、F分布を疑います。

03

母平均と母分散の推定で分布を取り違える人

母平均の信頼区間は自由度n-1のt分布の臨界値を使い、母分散の信頼区間は自由度n-1のカイ二乗分布の分位点を使います。自由度は同じn-1でも、推定する対象が平均か分散かで分布が変わります。

具体例で使い分ける

例 1

標本から母平均の信頼区間を作る

正規母集団から大きさnの標本を取り、母標準偏差が未知なので標本標準偏差sを使って、母平均の信頼区間を求める場面です。

  • 調べる対象は母平均で、母分散は未知です。
  • 標本平均±t(1-α/2,n-1)×s/√nの形になり、自由度n-1のt分布の臨界値を使います。
  • 同じ標本から母分散の信頼区間を作るなら、使う分布は変わります。

結論: 母平均の区間推定は、自由度n-1のt分布を使います。

例 2

クロス集計表の関連を調べる

r行c列のクロス集計表で、2つのカテゴリ変数が独立かどうかを調べる場面です。

  • 調べる対象は平均ではなく、観測度数と期待度数のずれです。
  • 統計量はずれを二乗して合計した形で、常に0以上になります。
  • 自由度は(r-1)(c-1)で、カイ二乗分布の上側確率点と比べます。

結論: 独立性の検定は、自由度(r-1)(c-1)のカイ二乗分布を使います。

例 3

3群の平均に差があるかを調べる

水準数がI、各水準の観測数がJの一元配置のデータで、3群以上の平均に差があるかを調べる場面です。

  • 群間平方和SS_Fと群内平方和SS_Eを求めます。
  • それぞれの平方和を自由度I-1とI(J-1)で割った平均平方の比がF=(SS_F/(I-1))/(SS_E/[I(J-1)])です。
  • このFはF分布と比べるため、表を引くときは分子と分母の2つの自由度を指定します。

結論: 一元配置の分散分析は、分子の自由度I-1、分母の自由度I(J-1)のF分布を使います。

問題文から答えを選ぶ手順

  1. 1

    調べる対象を確認する

    母平均についての判断か、カテゴリの度数や母分散についての判断か、2つの分散の比較かを、設問の問いから先に確認します。

  2. 2

    対象から分布を選ぶ

    母分散が未知の母平均はt分布、カテゴリカルデータの検定と母分散の区間推定はカイ二乗分布、分散の比と分散分析はF分布と対応させます。

  3. 3

    自由度の数を確認する

    t分布とカイ二乗分布は自由度が1つ、F分布は分子と分母の2つです。数が合わないときは、選んだ分布を見直します。

  4. 4

    上側確率点を表から引く

    選んだ分布の自由度と有意水準から、分布表で上側確率点を引いて検定統計量と比べます。

試験での見分け方

  • 1母分散が未知の母平均の推定・検定はt分布。
  • 2カテゴリカルデータのカイ二乗検定と、正規母集団の母分散の区間推定はカイ二乗分布。
  • 32つの母分散の比の検定(F検定)と分散分析はF分布。
  • 4F分布は自由度を2つ指定して表を引く。
  • 5カイ二乗検定の統計量は常に0以上、t分布は0を中心に左右対称。

誤答しやすい選択肢

F分布の自由度を1つだけで引こうとする

修正: F分布は分子の自由度と分母の自由度の2つで形が決まるので、2つを指定して表を引きます。

母分散の区間推定にt分布を使う

修正: 母平均の区間推定はt分布ですが、母分散の区間推定は自由度n-1のカイ二乗分布の分位点を使います。

分散分析のF比を、平方和どうしの比だと思う

修正: F比は、平方和をそれぞれの自由度で割った平均平方どうしの比です。

分散分析だから分散の検定だと思う

修正: 分散分析は3群以上の平均値の差を、群間と群内のばらつきの比で調べる手法です。比較するのは平均で、検定統計量にF比を使います。

確認問題

Q12つの母分散が等しいかを調べるF検定で、検定統計量は何の比?

答え: 2標本の標本分散の比

2つの母分散が等しいかを調べるF検定では、2標本の標本分散の比をF統計量として用います。

Q2r行c列のクロス集計表の独立性の検定で、カイ二乗分布の自由度は?

答え: (r-1)(c-1)

独立性のカイ二乗検定では、カイ二乗分布の自由度を(r-1)(c-1)で求めます。

Q3母標準偏差が未知のとき、母平均の信頼区間に使う分布は?

答え: 自由度n-1のt分布

標本標準偏差sを使い、標本平均±t(1-α/2,n-1)×s/√nで求めます。

到達チェック

  • 設問が母平均・度数や母分散・分散の比のどれを調べているか言える
  • t分布・カイ二乗分布・F分布の使い場面を1つずつ挙げられる
  • F分布が自由度を2つ持つことを説明できる
  • 母平均と母分散の区間推定で使う分布の違いを説明できる
  • 分布表から上側確率点を引く手順を説明できる

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よくある質問

QF分布とは何?

A

互いに独立な2つのカイ二乗変数を、それぞれの自由度で割った比が従う分布です。自由度ν1のカイ二乗変数Uと自由度ν2のカイ二乗変数Vなら、F=(U/ν1)/(V/ν2)で、自由度を2つ持ちます。

QF分布はどの検定で使う?

A

2つの母分散が等しいかを調べるF検定、一元配置の分散分析、回帰の分散分析表のF統計量で使います。

Qt分布とカイ二乗分布の違いは?

A

t分布は母分散が未知のときの母平均の推定・検定に使い、0を中心に左右対称です。カイ二乗分布は度数のずれを使うカイ二乗検定や母分散の区間推定に使い、検定統計量は0以上の値だけを取ります。

Qt分布は自由度が大きくなるとどうなる?

A

正規分布に近づきます。NISTのハンドブックは、自由度が30を超えると近似がかなり良いと述べています。

Q3つの分布は統計検定2級の出題範囲?

A

はい。公式出題範囲表の推測の項目に、t分布・カイ二乗分布・F分布、分布表の活用、上側確率点が挙げられています。

次に見る比較

執筆: ミナト編集部(運営者情報を見る)