用語比較
分散分析(F検定)とt検定の違い
分散分析とt検定は、どちらも平均の違いを調べる方法です。違いは、比べる群の数にあります。t検定は2つの群の平均を比べます。一元配置の分散分析は、3群以上の平均値の差を一度に調べます。
統計検定2級では、設問の条件から比べる群が2つならt検定、3群以上なら分散分析と読み分けます。分散分析の検定統計量はF比で、群間の平均平方を群内の平均平方で割って求めます。
このページでは、群の数、検定統計量、3群以上でペアごとの検定を繰り返せない理由という三つの軸で比較します。章別の問題は第2章と第5章で確認できます。
この記事の目次
この記事の根拠と出典
各セクションの見出しの下に、公式資料で確認した内容か編集部の整理かをラベルで示しています。 試験日・料金・申込条件・試験方式は変わることがあるため、申込前に公式サイトで確認してください。統計検定2級の一次情報確認日: 2026-10-09。
- 公式一次資料と照合した内容
- 3群以上の平均値の差(分散分析)とF比が公式出題範囲にあること、一元配置分散分析の平方和・自由度・F比の定義、ペアごとの比較を繰り返しても全体の有意水準が指定した水準にならないこと、F検定が棄却したあとにどの群が違うかは多重比較で調べることは、統計検定2級の公式出題範囲表とNIST公式ハンドブックへ2026-10-12に照合しています。
- 編集部が学習用に整理した内容
- 群の数から判定する手順と使い分けの目安は編集部の学習上の整理です。
資格ごとの公式資料の一覧
結論
公式一次資料と照合:用語の定義は公式一次資料と照合しています。
t検定
2つの群の平均を比べる検定。対応のないデータでは、標本平均の差を、各標本の不偏分散を標本サイズで割った値の和の平方根で割ってt統計量を求める。
分散分析(一元配置)
3群以上の平均値の差を調べる方法。ばらつきを群間と群内に分け、それぞれの平均平方の比であるF比を検定統計量にする。
違いを表で確認
| 比較軸 | t検定 | 分散分析(一元配置) |
|---|---|---|
| 比べる群の数 | 2つの群 | 3群以上 |
| 検定統計量 | t統計量(平均の差を標準誤差で割る) | F比(群間の平均平方を群内の平均平方で割る) |
| ばらつきの扱い | 各標本の不偏分散から標準誤差を求める | 全体の変動を群間平方和と群内平方和に分ける |
| 自由度 | t分布の自由度で判定する | 群間自由度 I-1 と群内自由度 I(J-1) の二つで判定する |
| 棄却したときにわかること | 2つの平均に差があること | 平均がすべて等しいとはいえないこと(どの群が違うかはわからない) |
| 選択肢で探すキーワード | 2標本、対応のある・ない、t統計量 | 3群以上、一元配置、平方和、平均平方、F比 |
公式一次資料と照合:統計検定2級: 2026-10-09に一次資料で確認一次資料の一覧を見る →
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3群あるのに、t検定を組み合わせの数だけ繰り返せばよいと思っている人
NIST公式ハンドブックは、すべての組についてペアごとの比較を何度も行っても、全体の有意水準が1組の比較で指定した水準にならないため、一般にうまくいかないと述べます。3群以上では、まず分散分析で全体を一度に検定します。
分散分析で帰無仮説を棄却すれば、どの群が違うかもわかると思っている人
NIST公式ハンドブックは、等しいという帰無仮説が棄却された時点でわかるのは、等しくないということだけで、不等式の形まではわからないと述べます。どの平均が違うかを調べるには、多重比較の手続きが別に必要です。
分散分析は『分散の違い』を調べる方法だと思っている人
分散分析という名前でも、調べているのは3群以上の平均値の差です。ばらつきを群間平方和と群内平方和に分け、その比で平均の差を判定します。
具体例で使い分ける
編集部の整理
例 1
『3つの処理群の平均に差があるかを調べる』設問が出た場合
処理群が3つあり、各群の平均値に差があるかを検定する場面です。
- 統計検定2級の公式出題範囲は、実験計画の概念として一元配置実験、3群以上の平均値の差(分散分析)、F比を挙げています。
- 比べる群が3つなので、2標本のt検定ではなく分散分析の場面です。
- 検定統計量はF比で、群間の平均平方を群内の平均平方で割って求めます。
結論: 3群以上の平均の差は、分散分析のF比で検定します。
例 2
『2つの標本の平均の差を、標準誤差で割る』計算が出た場合
対応のない2標本の標本平均の差を、各標本の不偏分散と標本サイズから求めた値で割っています。
- 標本平均の差を、各標本の不偏分散を各標本サイズで割った値の和の平方根で割る形は、2標本のt統計量です。
- 比べる群は2つで、F比のように平方和を自由度で割った平均平方の比ではありません。
結論: 2群の平均の差を標準誤差で割る形は、t検定と判断します。
例 3
『分散分析で有意となった。次に何をするか』を問われた場合
F検定で帰無仮説が棄却されましたが、どの群が違うかはまだ示されていません。
- NIST公式ハンドブックは、F検定が帰無仮説を棄却したあとにわかるのは等しくないことだけだと述べます。
- どの平均が互いに、または基準と異なるかは、多重比較の手続きで調べます。
- 同じハンドブックは、F検定を、調査を続けるべきかを知らせる予備的な検定と位置づけています。
結論: 有意になったあとは、多重比較でどの群が違うかを調べます。
問題文から答えを選ぶ手順
編集部の整理:群の数から判定する手順と使い分けの目安は編集部の学習上の整理です。
- 1
比べる群の数を数える
群が2つならt検定、3群以上なら分散分析を選びます。
- 2
検定統計量の形を確認する
平均の差を標準誤差で割る形はt統計量、群間と群内の平均平方の比はF比です。
- 3
自由度を確認する
分散分析では、群間自由度 I-1 と群内自由度 I(J-1) の二つを使います。Iは水準数、Jは各水準の観測数です。
- 4
棄却したあとの問いを確認する
どの群が違うかを問われたら、F検定だけでは答えられず、多重比較が必要です。
試験での見分け方
編集部の整理
- 1t検定は2つの群の平均を比べ、一元配置の分散分析は3群以上の平均値の差を調べる。
- 2分散分析では、全体の変動を群間平方和と群内平方和に分け、各平方和を自由度で割った平均平方の比F比を検定統計量にする。
- 3各水準の観測数が等しくJ個、水準数がI個のとき、群間自由度はI-1、群内自由度はI(J-1)である。
- 43群以上でペアごとの比較を繰り返しても、全体の有意水準が指定した水準にならないため、一般にうまくいかない。
- 5分散分析で帰無仮説を棄却してわかるのは等しくないことだけで、どの群が違うかは多重比較で調べる。
誤答しやすい選択肢
3群以上でも、t検定を繰り返せば同じ結論になると考える
修正: ペアごとの比較を繰り返すと、全体の有意水準が1組の比較で指定した水準になりません。3群以上はまず分散分析で全体を検定します。
分散分析で有意になれば、すべての群の平均が違うと考える
修正: わかるのは平均が等しくないことだけです。どの群が違うかは多重比較で調べます。
F比を、群間の平方和と群内の平方和の比だと考える
修正: F比は、平方和ではなく、各平方和を対応する自由度で割った平均平方の比です。
群間自由度を I(J-1) だと考える
修正: 群間自由度は I-1、群内自由度が I(J-1) です。取り違えるとF比の計算が合いません。
確認問題
Q13群以上の平均値の差を一度に調べる方法は何ですか?
答え: 分散分析(一元配置)
統計検定2級の公式出題範囲は、3群以上の平均値の差(分散分析)とF比を挙げています。
Q2一元配置の分散分析で、水準数が I、各水準の観測数が J のとき、群間自由度と群内自由度はそれぞれいくつですか?
答え: 群間自由度は I-1、群内自由度は I(J-1)
各平方和を対応する自由度で割った平均平方の比が、F比です。
Q3分散分析のF検定で帰無仮説が棄却されました。この時点でわかることは何ですか?
答え: 平均が等しくないということだけで、どの群が違うかはわからない
NIST公式ハンドブックは、棄却された時点では不等式の形まではわからず、多重比較の手続きが必要だと述べています。
到達チェック
- t検定が2群、分散分析が3群以上の平均を比べると言える
- F比が群間と群内の平均平方の比であることを説明できる
- 群間自由度 I-1 と群内自由度 I(J-1) を書ける
- 3群以上でペアごとの検定を繰り返せない理由を説明できる
- 分散分析で棄却したあとに多重比較が必要な理由を説明できる
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よくある質問
Q分散分析とt検定の最大の違いは何ですか?
比べる群の数です。t検定は2つの群、一元配置の分散分析は3群以上の平均を比べます。
Q3群をt検定で2群ずつ比べてはいけないのですか?
NIST公式ハンドブックは、すべての組でペアごとの比較を繰り返しても、全体の有意水準が指定した水準にならず、一般にうまくいかないと述べます。まず分散分析を使います。
QF比はどのように求めますか?
群間平方和を群間自由度で割った平均平方を、群内平方和を群内自由度で割った平均平方で割って求めます。
Q分散分析で有意になったら、次は何をしますか?
どの群が違うかを調べるため、多重比較の手続きを使います。F検定だけでは、等しくないことしかわかりません。
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執筆: ミナト編集部(運営者情報を見る)
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