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第5章 仮説検定

統計検定2級のノンパラメトリック検定は出題範囲か

統計検定2級の受験者が気にしやすいのが、ウィルコクソン検定のような順位を使う検定が範囲に入っているかどうかです。公式の出題範囲表には、ノンパラメトリック検定もウィルコクソン検定も、その名前では書かれていません。

このページは、範囲表に載っている検定を整理したうえで、順位和を使う検定の考え方を小さな計算例で示します。

公式情報の確認

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試験の出題範囲・実施要項は変動するため、受験前に公式情報を確認してください。

結論

  1. 2018年12月14日付の2級出題範囲表に、「ウィルコクソン」「マン・ホイットニー」「ノンパラメトリック」「順位」の語はない
  2. 範囲表の仮説検定は、母平均・母分散・母比率の検定、母平均の差・母分散の比・母比率の差の検定、適合度検定、独立性の検定
  3. 範囲表に載っていないことは、出題されない証明にはならない。ただし対策の優先は、範囲表に載っている検定
  4. ノンパラメトリックな検定は、分布の仮定を置かず、データの順位を使う

出題範囲表に載っている検定

統計検定センターの2級出題範囲表(2018年12月14日付)で、大項目「推測」の仮説検定と、そのほかの項目に載っている検定を表にまとめました。

区分範囲表に書かれている項目
1つの母集団の母数母平均の検定、母分散の検定、母比率の検定
2つの母集団の母数母平均の差の検定(分散既知、分散未知であるが等分散、分散未知で等しいとは限らない場合)、母分散の比の検定、母比率の差の検定
度数の検定適合度検定、独立性の検定
回帰分析(線形モデル)回帰直線の傾きの推定と検定、偏回帰係数、回帰係数の検定
検定の理論仮説検定の理論、p値、帰無仮説と対立仮説、両側検定と片側検定、第1種の過誤と第2種の過誤、検出力

範囲表を確認した限り、順位を使う検定の名前はこの表のどこにもありません。それぞれの検定は、仮説検定の手順、2標本t検定、カイ二乗検定のページで計算例つきで解説しています。

一次資料: 統計検定センター「統計検定2級 出題範囲表」(grade2_hani_20181214.pdf)

ノンパラメトリック検定の考え方

t検定は、データが正規分布に従うといった仮定のもとで、平均の差を調べます。NIST公式ハンドブックは、これと対になる検定として、Mann-WhitneyのU検定を紹介しています。U検定は平均のt検定にあたるノンパラメトリックな検定で、正規性などの分布の仮定を置かず、2つの標本の順位の和を使います。

帰無仮説は「2つの母集団の代表値が同じ」、対立仮説は「代表値が同じではない」です。値そのものでなく順位を使うのが、t検定との大きな違いです。

一次資料: NIST/SEMATECH e-Handbook of Statistical Methods 7.3.5

U検定の計算例

NISTの手順は、全観測値を小さい順に並べて順位をつけ(同順位は順位の平均)、各標本の順位和 Ta・Tb から U統計量を計算する流れです。Ua = n1×n2 + 0.5×n1×(n1+1) − Ta、Ub = n1×n2 + 0.5×n2×(n2+1) − Tb で、Ua + Ub = n1×n2 になります。

計算例です(このページの架空のデータです)。A群が 12, 15, 18、B群が 9, 10, 14 だったとします。

  • 小さい順に並べる: 9(B)、10(B)、12(A)、14(B)、15(A)、18(A)。順位は 1〜6
  • A群の順位和: Ta = 3 + 5 + 6 = 14。B群の順位和: Tb = 1 + 2 + 4 = 7
  • Ua = 3×3 + 0.5×3×4 − 14 = 9 + 6 − 14 = 1
  • Ub = 9 + 6 − 7 = 8。Ua + Ub = 9 = n1×n2 で、式の確認ができる

UaとUbのどちらかが極端に小さい(または大きい)と、2群の代表値が違うと判断します。順位だけで計算するので、値が 18 から 180 に変わっても、順位が同じならUの値は変わりません。このページでは、判定に使う臨界値は示していません。この小さな標本の臨界値は、NISTのこのページでは確認していないためです。

2級の学習での扱い

範囲表にある検定は、分布の仮定のもとで統計量を作り、臨界値やp値と比べる流れで共通しています。順位を使う検定を学ぶ意味は、「なぜ分布の仮定が要るのか」を理解する補助線として使うことです。

  • 先に、範囲表の母平均の差の検定を、対応の有無と等分散の仮定で使い分けられるようにする
  • 適合度検定と独立性の検定は、度数から統計量を作る別の流れとして押さえる
  • 順位を使う検定は、名前と「分布の仮定を置かない」という特徴だけを区別できれば、範囲表の学習には足りる

この読み方は、範囲表の項目を整理した学習の目安です。出題を予想するものではありません。

よくある質問

統計検定2級に、ウィルコクソン検定やマン・ホイットニーのU検定は出ますか?

統計検定センターの2級の出題範囲表(2018年12月14日付)には、「ウィルコクソン」「マン・ホイットニー」「ノンパラメトリック」「順位」という語は書かれていません。範囲表に載っていない検定を、このサイトが「出ない」と断定することはできません。まず範囲表に載っている検定を固めるのが確実です。

適合度検定や独立性の検定は、ノンパラメトリック検定ですか?

公式の範囲表は、適合度検定と独立性の検定を仮説検定の項目に載せています。この2つがノンパラメトリック検定に分類されるかは、範囲表には書かれていません。このページでは、範囲表に載っている検定として扱います。

ノンパラメトリック検定とは、どんな検定ですか?

NIST公式ハンドブックは、Mann-WhitneyのU検定を、平均のt検定にあたるノンパラメトリックな検定と説明しています。正規性などの分布についての仮定を置かず、標本の順位の和を使います。

範囲表に載っていない検定の学習は、2級の対策として必要ですか?

範囲表に載っている検定を先に身につけるのが優先です。範囲表以外の検定に時間を使うかは、範囲表の項目がひと通り解けるようになってから決めても遅くありません。

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執筆: ミナト編集部(運営者情報を見る)