第6章 カテゴリカルデータと回帰分析
統計検定2級のカイ二乗検定(適合度検定と独立性の検定の計算手順)
統計検定2級の公式出題範囲には、カテゴリカルデータの分析として、適合度検定と独立性の検定が並んでいます。2つの検定は、期待度数を求め、カイ二乗統計量を計算し、自由度を決めて臨界値と比べる、という同じ流れで解けます。違うのは、期待度数の求め方と自由度です。
このページは、サイコロの適合度検定と、2×2のクロス集計表の独立性の検定を、数字を追いながら計算します。
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結論
- カイ二乗統計量は、各セルの (観測度数 − 期待度数)² ÷ 期待度数 を全セルで合計する
- 独立性の検定の期待度数は、行合計 × 列合計 ÷ 総度数で求める
- 独立性の検定の自由度は、r行c列の表で (r − 1)(c − 1)
- 統計量が臨界値を超えたら、帰無仮説を棄却する
- 適合度検定は「1つの変数が理論の比率に合うか」、独立性の検定は「2つの変数に関連があるか」を調べる
4ステップの流れ
| ステップ | 内容 |
|---|---|
| 1. 期待度数を求める | 帰無仮説が正しいと仮定したときの度数。適合度検定は 総度数N × 理論確率、独立性の検定は 行合計 × 列合計 ÷ 総度数 |
| 2. カイ二乗統計量を求める | 各セルの (観測度数 − 期待度数)² ÷ 期待度数 を、全セルで合計する |
| 3. 自由度を決める | 独立性の検定は r行c列で (r − 1)(c − 1)。適合度検定は、理論確率を先に決めてあるときカテゴリ数 − 1 |
| 4. 臨界値と比べる | 統計量が有意水準に対応する臨界値を超えたら、帰無仮説を棄却する |
一次資料: 統計検定センター「統計検定2級 出題範囲」、NIST/SEMATECH e-Handbook of Statistical Methods
適合度検定の計算例
NISTのカイ二乗適合度検定では、カテゴリiの観測度数をO、期待度数をEとし、χ²=Σ(O−E)²/Eを全カテゴリで合計します。総度数Nに対して各カテゴリの理論確率がpなら、期待度数はE=Npです。
計算例です(このページの架空のデータです)。サイコロを60回振り、1から6の目が 8, 12, 9, 14, 7, 10回出たとします。目が公平なら各目の理論確率は1/6で、期待度数は60×1/6=10回ずつです。
| 目 | 観測度数 O | 期待度数 E | (O − E)² ÷ E |
|---|---|---|---|
| 1 | 8 | 10 | 0.4 |
| 2 | 12 | 10 | 0.4 |
| 3 | 9 | 10 | 0.1 |
| 4 | 14 | 10 | 1.6 |
| 5 | 7 | 10 | 0.9 |
| 6 | 10 | 10 | 0.0 |
合計は 0.4+0.4+0.1+1.6+0.9+0.0 = 3.4です。理論確率を先に決めてあるので、自由度は6−1=5になります。NISTのカイ二乗分布の表では、自由度5で「臨界値より小さい確率」が0.95になる値は11.070です。3.4は11.070より小さいので、公平なサイコロという帰無仮説は棄却されません。棄却されないのは「公平でないとは言えない」という意味で、公平だと証明されたわけではありません。
独立性の検定の計算例
帰無仮説は「行の分類と列の分類は独立」です。独立なら各セルの確率は行の確率と列の確率の積になり、期待度数は 行合計×列合計÷総度数 で求まります。
計算例です(このページの架空のデータです)。受験者100人を学習方法A・Bの50人ずつに分け、合格と不合格を数えたとします。Aは合格30・不合格20、Bは合格20・不合格30です。合格の列合計は50、不合格の列合計も50なので、4つのセルの期待度数はどれも 50×50÷100=25です。
- A・合格: (30−25)²÷25 = 1
- A・不合格: (20−25)²÷25 = 1
- B・合格: (20−25)²÷25 = 1
- B・不合格: (30−25)²÷25 = 1
合計は4.0です。2行2列なので自由度は(2−1)(2−1)=1で、NISTの表では自由度1の0.95の値は3.841です。4.0は3.841を超えるので、有意水準5%で「学習方法と合否は独立」という帰無仮説を棄却します。用語は期待度数とクロス集計表の用語集で確認できます。
2つの検定の違い
どちらもカイ二乗分布を使い、統計量の作り方も似ています。違いは、何を調べるかです。適合度検定は、1つの変数のデータが理論上の分布や比率に当てはまるかを調べます。独立性の検定は、クロス集計表で2つの変数が独立かどうかを調べます。
- 適合度検定: 期待度数は理論の比率から決まる。表は1行(1つの変数)
- 独立性の検定: 期待度数は行合計と列合計から決まる。表は2つの変数のクロス集計
観点を並べた比較は適合度検定と独立性の検定を比べたページにまとめています。分布の表の読み方は統計数値表のページで練習できます。
問題文から読み取る
問題文の言い回しから、どちらの検定か、何を計算するかを読み取れます。このページの計算例から導いた読み方で、出題を予想するものではありません。
- 「各カテゴリの割合が理論どおりか」「サイコロが公平か」とあれば、適合度検定
- 「2つの属性に関連があるか」「クロス集計表で独立か」とあれば、独立性の検定
- 表の行合計・列合計・総度数が与えられていれば、期待度数は 行合計×列合計÷総度数
- 「3行4列の表」とあれば、自由度は(3−1)(4−1)=6
- 「統計量が臨界値より小さい」なら、帰無仮説は棄却されない
- 「棄却されなかったので、帰無仮説が正しいと証明された」という文は、先の説明のとおり成り立たない
統計検定2級の学習に使う書籍(Amazon)
試験範囲を通して読むときの1冊です。読んだ章は、このサイトの章別問題で確かめられます。
よくある質問
カイ二乗検定は、統計検定2級の公式出題範囲にありますか?
あります。統計検定センターの2級の出題範囲は、カテゴリカルデータの分析として、適合度検定と独立性の検定を挙げています。
期待度数は、観測度数と同じ合計になりますか?
このページのサイコロの例では、観測度数の合計が60、期待度数の合計も10×6=60で一致します。2×2の例も、期待度数は25が4つで合計100と、総度数に一致します。
カイ二乗統計量が大きいとは、どういう意味ですか?
観測度数が、帰無仮説のもとで期待される度数から離れているという意味です。表の臨界値を超えるほど離れていれば、帰無仮説を棄却します。
2×2の表の自由度は、なぜ1ですか?
独立性の検定の自由度は(行数−1)×(列数−1)です。2行2列なら(2−1)×(2−1)=1になります。
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