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用語比較

重回帰のt値とF値の違い(個々の偏回帰係数の検定と、モデル全体の検定)

重回帰分析の出力には、t値とF値の両方が出てきます。t値は説明変数ごとの偏回帰係数の検定に、F値はすべての偏回帰係数が0かどうかというモデル全体の検定に使います。見ている問いが違うため、p値の読み方も変わります。

統計検定2級の公式出題範囲表は、回帰分析の項目として偏回帰係数と回帰係数の検定を、単回帰と予測の項目として分散分析表を、統計ソフトウェアの活用の項目として計算出力の活用を挙げています。t値は1つの係数について、F値はモデル全体について、帰無仮説を検定すると分けて読むと、出力表のどこを見ればよいかが決まります。

このページは、出力表を見て、t値のp値とF値のp値のどちらで何を判断するのかが曖昧な人を対象にしています。見るのは、帰無仮説、検定の対象、自由度、結論の言い方の4点です。数値は、ページ内の例だけで計算して確かめられるものに絞っています。

この記事の根拠と出典

各セクションの見出しの下に、公式資料で確認した内容か編集部の整理かをラベルで示しています。 試験日・料金・申込条件・試験方式は変わることがあるため、申込前に公式サイトで確認してください。統計検定2級の一次情報確認日: 2026-10-09。

結論

t値(偏回帰係数の検定)

1つの偏回帰係数について、その係数が0かどうかを調べます。Penn Stateの講義は、ほかの説明変数の影響を調整したうえで、その説明変数が目的変数と線形の関係をもつかを調べる検定だと説明しています。

F値(モデル全体の検定)

すべての傾きの係数が同時に0かどうかを調べます。Penn Stateの講義は、帰無仮説をβ1=…=0、対立仮説を「少なくとも1つの係数が0でない」と置き、少なくとも1つの説明変数が役に立つかを問うものとして扱っています。

違いを表で確認

比較軸t値(偏回帰係数の検定)F値(モデル全体の検定)
帰無仮説1つの偏回帰係数が0(βk=0)すべての傾きの係数が0(β1=…=0)
答えが出る問いその説明変数は、ほかの説明変数を調整しても必要か少なくとも1つの説明変数は予測に役立つか(Penn Stateの講義)
検定統計量の作り方推定値÷標準誤差回帰の平均平方÷誤差の平均平方(分散分析表)
自由度誤差の自由度n-p(切片を含む係数の個数をp)回帰の自由度(説明変数の個数)と誤差の自由度n-pの2つ
出力表で見る場所係数表の説明変数ごとの行(推定値・標準誤差・t値・p値)分散分析表のF値・p値(Rのsummary.lmでは最終行のF-statistic)
結論の言い方「その説明変数の係数は0でない」「少なくとも1つの係数は0でない」
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どこで迷っているかを切り分ける

01

出力表のt値とF値のどちらを見るか迷う人

1つの説明変数の効果を聞かれたらt値、回帰式全体が役に立つかを聞かれたらF値です。

02

F値が有意なら、すべての説明変数が必要と考える人

F値が有意でわかるのは、少なくとも1つの係数が0でないことだけです。どの説明変数が必要かは、変数ごとのt値で見ます。

03

t値とF値が自由度の数でも混乱する人

t値の自由度は1つで、誤差の自由度n-pです。F値は、分子が回帰の自由度、分母が誤差の自由度n-pの2つを使います。

具体例で使い分ける

例 1

1つの偏回帰係数を検定する

標本数20、説明変数2つの重回帰で、x1の偏回帰係数の推定値が2.4、標準誤差が0.8でした。

  • t値は、推定値÷標準誤差で、2.4÷0.8=3です。
  • 切片を含む係数は3個なので、誤差の自由度は20-3=17です。
  • このt値で調べるのは、x1の係数が0かどうかです。

結論: t値は、x1の係数が0かを検定する値です。自由度17のt分布で判断します。

例 2

モデル全体を検定する

同じ回帰の分散分析表で、回帰の平均平方が60、誤差の平均平方が4でした。

  • F値は、回帰の平均平方÷誤差の平均平方で、60÷4=15です。
  • 自由度は、分子が説明変数の個数の2、分母が誤差の17です。
  • 帰無仮説は、x1とx2の傾きがどちらも0であることです。

結論: F値15は、2つの傾きが同時に0かを検定する値で、自由度は(2, 17)です。

例 3

t値のp値が大きいときの解釈を選ぶ

設問に、x1のt値のp値が有意水準より大きいので、回帰式全体は予測に役立たないという選択肢があります。

  • t値のp値が答えるのは、x1の係数が0かどうかだけです。
  • 回帰式全体の有用性は、F値のp値で見ます。
  • x2など、ほかの説明変数が役に立つ可能性は残ります。

結論: その選択肢は誤りです。x1のt値だけでは、モデル全体の有用性は判断できません。

問題文から答えを選ぶ手順

  1. 1

    問われている対象を確認する

    1つの説明変数の効果ならt値、回帰式全体の有用性ならF値です。

  2. 2

    帰無仮説を書き出す

    1つの係数が0ならt値、すべての傾きが同時に0ならF値の検定です。

  3. 3

    自由度の数で確かめる

    自由度が1つならt値、分子と分母の2つならF値です。誤差の自由度はどちらもn-pです。

  4. 4

    結論の範囲を合わせる

    t値の結論は、その1つの係数についてだけです。F値の結論は、少なくとも1つの係数が0でないという範囲に留めます。

試験での見分け方

  • 1t値は、1つの偏回帰係数が0かどうかの検定。
  • 2F値は、すべての傾きの係数が同時に0かどうかの検定。
  • 3t値は推定値÷標準誤差、F値は回帰の平均平方÷誤差の平均平方。
  • 4F値が有意でも、すべての説明変数が必要とは限らない。
  • 5t値のp値が大きくても、ほかの説明変数が役に立つ可能性は残る。

誤答しやすい選択肢

t値のp値でモデル全体の有用性を判断する

修正: t値が検定するのは、その1つの係数だけです。モデル全体はF値のp値で判断します。

F値が有意なら、すべての説明変数に効果があると結論する

修正: 対立仮説は「少なくとも1つの係数が0でない」です。どの説明変数が効くかは、変数ごとのt値で調べます。

F値の自由度を1つだけ答える

修正: F値は、回帰の自由度と誤差の自由度の2つを使います。上の例では(2, 17)です。

切片の検定とモデル全体の検定を同じものと考える

修正: モデル全体のF値の帰無仮説は、切片を除く傾きの係数がすべて0であることです。切片のt値は別の行に出ます。

確認問題

Q1標準誤差0.5、推定値が2.0の偏回帰係数のt値は?

答え: 4

t値は推定値÷標準誤差なので、2.0÷0.5=4です。

Q2回帰の平均平方が30、誤差の平均平方が5のとき、F値は?

答え: 6

F値は回帰の平均平方÷誤差の平均平方なので、30÷5=6です。

Q3標本数が30、説明変数が3つの重回帰で、F値の自由度は?

答え: (3, 26)

分子は説明変数の個数の3、分母は誤差の自由度で、切片を含む係数が4個なので30-4=26です。

到達チェック

  • t値は1つの係数、F値はモデル全体の検定だと説明できる
  • それぞれの帰無仮説を書ける
  • t値とF値を、推定値・平均平方から計算できる
  • F値の自由度が2つになる理由を説明できる

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よくある質問

Q重回帰のt値とF値は何が違う?

A

t値は1つの偏回帰係数が0かを、F値はすべての傾きの係数が同時に0かを検定します。

QF値はどのように求める?

A

分散分析表で、回帰(モデル)の平均平方を誤差の平均平方で割って求めます。平均平方は、平方和を対応する自由度で割った値です。

QF値が有意のとき、何が言える?

A

少なくとも1つの傾きの係数が0でないと言えます。どの説明変数かは、t値で個別に調べます。

Qt値のp値は、出力のどこにある?

A

Rのsummary.lmが返す係数表に、推定値、標準誤差、t値、両側p値が含まれます。

Q統計検定2級ではこの内容を扱う?

A

公式出題範囲表に、回帰係数の検定、分散分析表、統計ソフトウェアの計算出力の活用が挙がっています。

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執筆: ミナト編集部(運営者情報を見る)