第1章 1変数データの記述
統計検定2級の分布の形状と平均・中央値・最頻値の順
統計検定2級の公式出題範囲は、データの分布の記述の用語に「分布の形状」を挙げています。分布の形状は、ヒストグラムの山の数と裾の伸び方で、右に裾が長い・左に裾が長い・対称・ベル型・一様・単峰・多峰のように読み分けます。
このページは、4つの形の見分け方、形ごとの平均値・中央値・最頻値の大小関係、10人分の架空データでの計算例をまとめます。
この記事の目次
公式情報の確認
試験日、料金、申込条件、試験方式など変動する情報は、公式情報を最終確認してください。 当サイトの一次情報確認日: 2026-10-09。
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結論
- 分布の形状は、公式出題範囲の用語に載っている(確認できたのは2018年12月版の表)
- 公式の括弧内は、右に裾が長い・左に裾が長い・対称・ベル型・一様・単峰・多峰の7語
- 「右に裾が長い」は、山が左寄りで右へ伸びる形。歪度は正になる
- 山が1つで右に裾が長いと、最頻値 < 中央値 < 平均値。左に裾が長いと、平均値 < 中央値 < 最頻値
- 山が1つで左右対称なら、3つの値は等しい
出題範囲での位置づけ
公式の出題範囲表は、データの分布の記述で学ぶ用語として「棒グラフ、円グラフ、幹葉図、度数分布表・ヒストグラム、累積度数グラフ、分布の形状」を並べ、分布の形状の括弧内に「右に裾が長い、左に裾が長い、対称、ベル型、一様、単峰、多峰」の7語を挙げています。
| 公式の語 | 意味 |
|---|---|
| 右に裾が長い / 左に裾が長い | 裾が伸びる向きで呼ぶ。山は反対側にある |
| 対称 | 中心を軸に左右がほぼ同じ形 |
| ベル型 | 中央が高く、左右へなだらかに下がる釣り鐘の形(当サイトの整理) |
| 一様 | どの階級も度数がほぼ同じで、山がない平らな形(当サイトの整理) |
| 単峰 / 多峰 | 山が1つか、複数か |
表の「意味」の列は、当サイトの整理です。公式の出題範囲表が挙げているのは語だけです。歪度の符号の出典は、NISTハンドブック1.3.5.11(https://www.itl.nist.gov/div898/handbook/eda/section3/eda35b.htm、2026-10-26に確認)です。平均値・中央値・最頻値の順は北海道教育大学の講義資料(http://www2.hak.hokkyodai.ac.jp/fukuda/lecture/SocialLinguistics/html/03average.html)、外れ値の影響は総務省統計局「なるほど統計学園」(https://www.stat.go.jp/naruhodo/5_tokucho/chushin.html)に拠り、どちらも2026-10-26に確認しました。
形を決めるのは、山の数と、裾が左右どちらへ長く伸びるかです。NISTハンドブックのヒストグラム解説も、ヒストグラムから読む特徴として、歪み、外れ値の有無、複数の山の有無を挙げています。
4つの形の見分け方
NISTのヒストグラム解説は、形の例として、対称、対称で二峰、右に歪む、左に歪む、外れ値をもつ対称などを示しています。上の7語は、次の4つにまとめると見分けやすくなります(当サイトの整理)。
| 形 | ヒストグラムの見た目 | 3つの代表値の順 |
|---|---|---|
| 左右対称 | 中心を軸に左右がほぼ同じ形 | 単峰で左右対称なら 平均値 = 中央値 = 最頻値 |
| 右に裾が長い(正に歪む) | 山が左寄りで、右へ長く伸びる | 最頻値 < 中央値 < 平均値 |
| 左に裾が長い(負に歪む) | 山が右寄りで、左へ長く伸びる | 平均値 < 中央値 < 最頻値 |
| 多峰(二峰を含む) | 山が2か所以上にある | 1つの山だけの順は当てはまらない(当サイトの整理) |
裾が長い方向で名前が決まります。山のある側ではありません。山が2つの二峰は、多峰の一例です。2つの正規分布を混ぜた形がNISTの例です。性質の違う2つの集団が1つのデータに混ざっていると、山が2つに分かれて見えることがあります(当サイトの整理)。たとえば、初心者と経験者の得点が同じ表に入っている場合です。 歪度の符号との対応は、NISTの定義で、負なら左の裾、正なら右の裾が相対的に長くなります。歪度そのものの計算はローレンツ曲線・ジニ係数・歪度・尖度のページで確認できます。
平均・中央値・最頻値の順
北海道教育大学の講義資料は、平均値・中央値・最頻値の位置を、分布の形ごとに次のように整理しています。
- 左右対称の分布(単峰の場合): 平均値 = 中央値 = 最頻値
- 正に歪んだ分布(右に裾が長い): 最頻値 < 中央値 < 平均値
- 負に歪んだ分布(左に裾が長い): 平均値 < 中央値 < 最頻値
平均値は、長い裾の側へ引っ張られます。総務省統計局の解説は、外れ値の影響が平均値で最も大きく、最頻値はまず受けないと述べています。裾の先にある大きな値が平均を押し上げるため、右に裾が長い分布では平均値が最も右に来ます。
平均値と中央値の使い分けは、平均値と中央値の比較のページで確認できます。
右に裾が長い例
当サイトが作った架空の、1週間の学習時間(10人・時間)です。試験問題ではありません。
小さい順のデータ: 1、2、2、2、3、3、4、5、8、20
- 平均値: 合計50 ÷ 10 = 5時間
- 中央値: 5番目と6番目がどちらも3なので3時間
- 最頻値: 2が3回出るので2時間
2 < 3 < 5 で、最頻値 < 中央値 < 平均値の順になっています。20時間という大きな値が1つあるだけで、平均値は中央値より2時間大きくなります。ヒストグラムにすると、山は1〜3時間付近にあり、右へ細く伸びる形です。
左に裾が長い例
こちらも架空の、テスト得点(10人・点)です。
小さい順のデータ: 40、70、78、80、85、88、88、90、92、95
- 平均値: 合計806 ÷ 10 = 80.6点
- 中央値: 5番目85と6番目88の平均で86.5点
- 最頻値: 88が2回出るので88点
80.6 < 86.5 < 88 で、平均値 < 中央値 < 最頻値の順です。40点という低い値が平均値だけを下へ引っ張っています。山は80点台にあり、左へ伸びる形です。
つまずきやすい点
次の4点は、上の整理から導いた注意です。出題を予想するものではありません。
- 「右に裾が長い」を「山が右にある」と取り違える。山は反対側(左)にある
- 山が1つの分布では、中央値は平均値と最頻値の間に入る。3つの並びで真ん中になるのは中央値
- 最頻値は階級の取り方で変わる。ヒストグラムから読むときは、度数が最も多い階級の階級値で答える(統計局の解説に沿った整理)
- 多峰の分布では、平均値だけでは2つの山を説明できない。山ごとに分けて見る
図が与えられたら、山の位置、裾の向き、山の数の順に見ます。数値だけが与えられたら、平均値と中央値を比べます。平均値が中央値より大きければ右に裾が長い形、小さければ左に裾が長い形と推測できます。ただし少数のデータでは例外もあるため、ヒストグラムで確かめる習慣をつけておくと安全です(当サイトの整理)。
統計検定2級の学習に使う書籍(Amazon)
試験範囲を通して読むときの1冊です。読んだ章は、このサイトの章別問題で確かめられます。
よくある質問
分布の形状は、統計検定2級の出題範囲に載っていますか?
載っています。公式の出題範囲表は、データの分布の記述の用語に「分布の形状」を挙げています。確認できたのは2018年12月版の表です。
「右に裾が長い」とは、山が右にあるという意味ですか?
反対です。右に裾が長い分布は、山が左寄りにあり、右側へ長く伸びる形です。NISTの定義では、歪度が正なら右の裾が相対的に長くなります。
平均値・中央値・最頻値は、どの順に大きくなりますか?
北海道教育大学の資料は、正に歪んだ分布を「最頻値<中央値<平均値」、負に歪んだ分布を「平均値<中央値<最頻値」、左右対称の分布を3つとも等しいと整理しています。
山が2つある分布は、どう呼びますか?
二峰の分布と呼びます。NISTのヒストグラム解説は、ヒストグラムから読む特徴に複数の山の有無を挙げ、2つの正規分布の混合を二峰の例として示しています。
![日本統計学会公式認定 統計検定2級 公式問題集[CBT対応版] の表紙](/_next/image?url=https%3A%2F%2Fm.media-amazon.com%2Fimages%2FP%2F4788920476.09._SCLZZZZZZZ_.jpg&w=256&q=75)