第4章 統計・推定・検定(統計数理基礎)
DS検定の標本平均・不偏分散・標準正規分布
DS検定(リテラシーレベル)の統計数理基礎には、母平均と標本平均の違い、不偏分散と標本分散の違い、標準正規分布の平均と分散を問う項目があります。このページでは、5つの数字から2つを取り出す25通りの全部を計算して、nで割る分散は小さく出ること、n−1で割ると母集団の分散に一致することを確かめます。標本から母集団の分散を推定するときは、n−1で割る不偏分散を使います。
このページは試験の学習用の整理です。数値はすべて説明用の架空の例です。
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結論
- 母平均は集団全体の平均、標本平均は取り出した一部の平均。標本平均は取り出し方で値が変わる
- 分散を、取り出した標本の中だけで計算すると、母集団の分散より小さく出やすい
- 不偏分散は、偏差の二乗の合計を n−1 で割る。標本分散は n で割る
- この例では、25通りの平均が、nで割ると4、n−1で割ると8になり、8が母分散と一致する
- 標準正規分布は、平均0・分散1。二項分布は試行回数を増やすと正規分布に近づく
母集団の5つの数字
母集団が、2・4・6・8・10の5つの数字だけでできているとします。母集団の平均(母平均)は、合計30を5で割って6です。母集団の分散(母分散)は、各値と6の差の二乗を足して5で割ります。差は−4・−2・0・2・4なので、二乗は16・4・0・4・16、合計40、割って8です。
実際の調査では、母集団の全部は調べられず、一部(標本)から母平均や母分散を推測します。母平均と母分散は、集団全体で決まる1つの値です。標本から計算した値は、取り出し方で変わります。
2つ取り出す25通りを計算する
5つの数字から、同じ値を重ねて選ぶことも認めて2つ取り出すと、5×5=25通りです。標本平均は、2つの平均です。標本分散は、2つの値と標本平均との差の二乗を足して、2で割ります(nで割る)。不偏分散は、同じ合計を1で割ります(n−1で割る)。4つの取り出し方で計算してみます。
| 取り出した2つ | 標本平均 | 標本分散(nで割る) | 不偏分散(n−1で割る) |
|---|---|---|---|
| (2, 6) | 4 | 4 | 8 |
| (4, 4) | 4 | 0 | 0 |
| (2, 10) | 6 | 16 | 32 |
| (6, 8) | 7 | 1 | 2 |
たとえば(2, 6)は、標本平均が4、差は−2と2で、二乗の合計が8です。8を2で割って標本分散4、1で割って不偏分散8になります。標本平均が母平均の6と違っていても、取り出し方が違えば当然の差です。次に、25通りすべての平均を求めます。
n−1で割る理由
2つの値の差を d とすると、標本分散(nで割る)は d の二乗÷4、不偏分散は d の二乗÷2です。25通りを差の大きさでまとめると、次の表になります。
| 2つの値の差の大きさ | 該当する取り出し方 | 差の二乗 |
|---|---|---|
| 0(同じ値を2回) | 5通り | 0 |
| 2 | 8通り | 4 |
| 4 | 6通り | 16 |
| 6 | 4通り | 36 |
| 8 | 2通り | 64 |
差の二乗の合計は、5×0+8×4+6×16+4×36+2×64=32+96+144+128=400です。25で割ると平均は16です。nで割る標本分散の平均は16÷4=4、n−1で割る不偏分散の平均は16÷2=8になります。
母分散は8でした。n−1で割った不偏分散は、たくさんの標本を平均すると母分散に一致します。2つ取り出すこの例でnで割ると、母分散8の半分の4にしかなりません。理由は、標本の中の散らばりを、標本平均を中心にして測っているためです。標本平均は標本の値に寄っているので、母平均を中心に測るより差が小さく出ます。その分をn−1で割って補います。標本の大きさが大きくなるほど、nとn−1の差は小さくなります。
標準正規分布の平均と分散
公式の★1つ星は、標準正規分布の平均と分散の値を知っていることです。標準正規分布は、平均が0、分散が1(標準偏差も1)の正規分布です。
一般の正規分布は、各値から平均を引いて標準偏差で割る標準化で、標準正規分布の値に直せます。たとえば、平均60点・標準偏差10点の試験で80点なら、(80−60)÷10=2です。標準化した値が2なので、平均より標準偏差2つぶん上に位置します。標準化した値は、平均より標準偏差の何個ぶん離れているかを表します。
同じ項目群には、二項分布が試行回数の増加で正規分布に近づくことも含まれます。コインを100回投げて表が出る回数は、平均が100×0.5=50、分散が100×0.5×0.5=25(標準偏差5)の二項分布で、形が正規分布に近くなります。
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試験範囲を通して読むときの1冊です。読んだ章は、このサイトの章別問題で確かめられます。
よくある質問
DS検定で、母平均と標本平均の違いはどこまで問われますか?
公式スキルチェックリスト(data_science.csv)の★1つ星は、母(集団)平均と標本平均、不偏分散と標本分散がそれぞれ異なることを説明できることです。母平均は集団全体の平均、標本平均は取り出した一部の平均で、別の値になります。母集団の分布を仮定した推定や検定の計算は、別の項目です。
標本分散と不偏分散は、どちらがよく使われますか?
標本から母集団の分散を推定する場面では、不偏分散(n−1で割る)を使います。nで割る標本分散は、取り出した標本そのものの散らばりを表す値です。表計算ソフトやプログラムの関数には両方があり、既定がどちらかは製品ごとに違うため、関数の説明を確認します。
標準正規分布の平均と分散は、いくつですか?
平均は0、分散は1(標準偏差も1)です。公式の★1つ星は、この2つの値を知っていることです。一般の正規分布は、平均を引いて標準偏差で割る標準化で、標準正規分布に直せます。
二項分布は、試行回数を増やすとどの分布に近づきますか?
正規分布に近づきます。公式の★1つ星に「二項分布は試行回数が増えていくとどのような分布に近似されるかを知っている」という項目があります。コインを100回投げたときの表の回数なら、平均50・分散25の正規分布に近い形になります。
