第4章 統計・推定・検定(統計数理基礎)
DS検定の確率の基礎(順列・組合せ・条件付き確率・期待値)
DS検定(リテラシーレベル)の公式スキルチェックリストには、統計数理基礎の最初の項目として、順列と組合せの式を使い分けることと、確率・条件付き確率・期待値・独立の意味を説明することがあります。このページは、5人から3人を選ぶ数え上げ、資格保有者の表、くじの期待値という小さな数字を使って、順列・組合せと、条件付き確率・独立・期待値を順に計算します。式を暗記するより、数字を入れて一度計算してみるほうが、問題文の言い回しと結びつきます。
高校の数学Aの内容が久しぶりで、順列と組合せや条件付き確率の区別があいまいな人向けの内容です。
人数・金額・本数はすべて架空です。出題を予想するものではありません。
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結論
- 順番や役割を区別して選ぶなら順列、区別せず選ぶだけなら組合せ。同じ顔ぶれの順列は組合せのr!倍になる
- 条件付き確率P(B|A)は、Aが起きた場合だけを分母にして、Bも起きる割合を求める
- P(A∩B) = P(A) × P(B)が成り立つとき、AとBは独立。同時に起きないこと(排反)とは別の関係
- 期待値は、値と確率の積を全部足したもの。1回の結果ではなく、繰り返したときの平均の目安
順列と組合せの計算
公式スキルチェックリストは、順列や組合せの式nPr、nCrを理解し、適切に使い分けられることを★1つ星の項目としています。文部科学省の高等学校学習指導要領解説 数学編でも、数学Aで具体的な事象をもとに順列と組合せの意味を理解し、総数を求めることが挙げられています。
順列は、選んだものを順に並べる数え方です。1番目はn通り、2番目は残りのn−1通り、というように掛けていき、r個並べるまで続けます(積の法則)。組合せは、同じ顔ぶれを1通りとして数えるので、順列をr個の並べ方の数r!で割ります。NIST公式ハンドブックの二項分布で使う組合せの式は、n! ÷ (x! × (n−x)!) です。n = 5、x = 3で確かめます。
- 5! = 120、3! = 6、(5−3)! = 2! = 2
- 120 ÷ (6 × 2) = 10
- 順列60通りを3! = 6で割った10と一致する
| 種類 | 場面 | 計算 |
|---|---|---|
| 順列 | 5人から3人を選んで1位・2位・3位に並べる | 5 × 4 × 3 = 60通り |
| 組合せ | 5人から3人を選ぶ(順番は問わない) | 60 ÷ (3 × 2 × 1) = 10通り |
| 順列 | 10人から会長・副会長・書記を決める | 10 × 9 × 8 = 720通り |
| 組合せ | 10人から委員3人を選ぶ | 720 ÷ 6 = 120通り |
1位・2位・3位や会長・副会長・書記のように役割が分かれるなら順列、選ぶだけなら組合せです。同じ10人から3人でも、役割を決めるなら720通り、委員として選ぶだけなら120通りと、6倍の差が出ます。
条件付き確率の計算
次の項目は、確率、条件付き確率、期待値、独立といった基本概念の意味を説明できることです。条件付き確率について、NIST公式ハンドブックは、P(A|B) = P(A,B) ÷ P(B) と書いています。文部科学省の解説にある乗法定理の形では、P(A∩B) = P(A) × P(B|A) です。
100人の社員について、資格Aと資格Bを持つ人数を調べた表で考えます。
| 区分 | 人数 |
|---|---|
| 資格Aと資格Bの両方を持つ | 10人 |
| 資格Aだけを持つ | 30人 |
| 資格Bだけを持つ | 15人 |
| どちらも持たない | 45人 |
資格Aを持つのは10 + 30 = 40人、資格Bを持つのは10 + 15 = 25人です。
- P(A) = 40 ÷ 100 = 0.4、P(B) = 25 ÷ 100 = 0.25、P(A∩B) = 10 ÷ 100 = 0.1
- Aを持つ人のうち、Bも持つ割合 P(B|A) = 0.1 ÷ 0.4 = 0.25(10人 ÷ 40人と同じ)
- Bを持つ人のうち、Aも持つ割合 P(A|B) = 0.1 ÷ 0.25 = 0.4(10人 ÷ 25人と同じ)
P(B|A)とP(A|B)は、条件にする集団が違うので、一般には別の値です。分母が「Aを持つ40人」か「Bを持つ25人」かを見れば、どちらの条件付き確率かを取り違えません。
独立かどうかの確かめ方
文部科学省の解説は、独立な試行を、二つの試行の結果がお互いに影響を及ぼし合わない試行として説明し、その確率が積で表せる(乗法定理)としています。事象の関係では、P(A∩B) = P(A) × P(B) が成り立てば独立と判定できます。
先ほどの表で確かめます。
- P(A) × P(B) = 0.4 × 0.25 = 0.1
- P(A∩B) = 0.1 なので、両者は一致し、AとBは独立
- P(A|B) = 0.4 は P(A) = 0.4 と同じで、Bが分かってもAの確率は変わらない
両方を持つ人が10人でなく15人だったとします。A、Bの人数はそのままで、P(A∩B) = 0.15となり、P(A) × P(B) = 0.1とは一致しません。このときP(A|B) = 15 ÷ 25 = 0.6でP(A) = 0.4と違い、AとBは独立ではありません。
別の例として、コインを投げて表が出る確率1/2と、サイコロを振って6の目が出る確率1/6は、互いに影響しないので独立です。両方が起きる確率は 1/2 × 1/6 = 1/12 です。独立は積が成り立つ関係、排反は同時に起きない関係で、別のものです。この表では両方を持つ人がいるので排反ではありませんが、独立でした。
期待値の計算
文部科学省の解説は、数学Aの確率で期待値を求めることを扱うと示しています。期待値は、起こりうる値に、その値が起こる確率を掛けて、すべて足した値です。
100本のくじで、1等の1000円が1本、2等の100円が10本、残りは外れで0円とします。
- 1等:1000 × 1/100 = 10
- 2等:100 × 10/100 = 10
- 外れ:0 × 89/100 = 0
- 合計 10 + 10 + 0 = 20円
期待値の20円は、1回の結果ではなく、何度も引いたときの1回あたりの平均の目安です。1回で受け取るのは1000円・100円・0円のどれかで、20円になることはありません。
同じ「値 × 確率の合計」の考え方は、二項分布の平均にも使えます。NIST公式ハンドブックは、試行回数n・成功確率pの二項分布の平均をnpとしています。コインを3回投げて表が出る回数Xで確かめます。
- 確率は X = 0、1、2、3 の順に 1/8、3/8、3/8、1/8(組合せ3C0、3C1、3C2、3C3を8で割る)
- 期待値は 0 × 1/8 + 1 × 3/8 + 2 × 3/8 + 3 × 1/8 = 12/8 = 1.5
- np = 3 × 0.5 = 1.5 と一致する
問題文から読み取る
このページの計算例から導いた読み方です。出題を予想するものではありません。
- 「順番に」「1位・2位」「役割を決める」とあれば順列、「選ぶだけ」「グループ分け」なら組合せ
- 「〜であった人のうち」「〜という条件のもとで」とあれば、その集団を分母にする条件付き確率
- P(A|B)とP(B|A)は分母が違う。どちらが条件かを先に決める
- 「互いに影響しない」「P(A∩B) = P(A)P(B)」は独立。「同時に起きない」は排反
- 「平均して」「1回あたり」「期待される金額」とあれば、値 × 確率の合計
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試験範囲を通して読むときの1冊です。読んだ章は、このサイトの章別問題で確かめられます。
よくある質問
DS検定で確率はどこまで必要ですか?
公式スキルチェックリストでは、順列nPrと組合せnCrの式を理解して使い分けること、確率・条件付き確率・期待値・独立といった基本概念の意味を説明できることが、★1つ星の項目です。このページの程度の数え上げと、表からの確率の計算を手で追えるかが目安です。
順列と組合せは、どう見分けますか?
選んだ人に順番や役割の違いがあるかで決めます。1位・2位・3位や会長・副会長・書記のように役割が分かれるなら順列、委員3人のように選ぶだけなら組合せです。同じ顔ぶれでも、順列は並べ方の違いを別々に数えるため、組合せの3 × 2 × 1 = 6倍になります。
条件付き確率P(B|A)とP(A|B)は同じ値ですか?
一般には同じになりません。このページの表では、P(B|A)は10 ÷ 40 = 0.25、P(A|B)は10 ÷ 25 = 0.4です。分母が「Aを持つ人」か「Bを持つ人」かで変わります。どちらが条件かを、分母から確認します。
独立と排反は同じ意味ですか?
違います。独立は、一方が起きても他方の確率が変わらない関係で、P(A∩B) = P(A) × P(B)が成り立ちます。排反は、2つが同時に起きない関係です。このページの表のように両方を持つ人が10人いるなら、2つの事象は排反ではありません。
期待値は、実際に得られる金額と同じですか?
同じではありません。期待値は、1回ごとの結果ではなく、同じ条件を何度も繰り返したときの1回あたりの平均の目安です。くじの例では期待値が20円でも、1回で受け取るのは1000円・100円・0円のどれかです。
