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第4章 統計・推定・検定(推定・検定)

DS検定の推定・検定(信頼区間・p値・過誤・片側と両側)

DS検定(リテラシーレベル)の公式スキルチェックリストには、推定・検定として、点推定と区間推定、帰無仮説と対立仮説、過誤とp値・有意水準、片側検定と両側検定、検定手法の選択の5項目があります。このページは、標本平均50の信頼区間や広告バナーの比較など小さな数字で、5項目を順に計算します。用語を並べて覚えるより、p値と有意水準で棄却するかを一度判断してみるほうが、問題文を読み取りやすくなります。

統計が久しぶりで、帰無仮説や第1種の過誤の言葉がすぐに結びつかない人向けの内容です。

標本の数値・クリック率・z値はすべて架空です。出題を予想するものではありません。

公式情報の確認

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結論

  1. 点推定は1つの値で推定し、区間推定は幅をつけて推定する。幅が不確実性の大きさを表す
  2. 帰無仮説は「差が無い」という仮説、対立仮説は「差がある」という仮説
  3. p値が有意水準より小さければ帰無仮説を棄却する。棄却しないことは、帰無仮説が真だという証明ではない
  4. 第1種の過誤は、帰無仮説が真なのに棄却すること。第2種の過誤は、偽なのに棄却しないこと
  5. 同じz値でも、片側検定のp値は両側検定の半分。方向は検定の前に決める

点推定と区間推定の計算

公式スキルチェックリストは、点推定と区間推定(信頼区間など)の違いを理解し、推定の不確実性を評価する上で区間推定が重要なことを説明できることを★1つ星の項目としています。

ある商品の1回あたりの購入額を100人に聞き、標本平均が50(単位は百円)だったとします。母標準偏差は10と分かっている前提にします。標本平均の50が点推定で、母平均を1つの値で推定したものです。

NIST公式ハンドブックは、母標準偏差σが既知の正規母集団で、母平均の信頼区間を「標本平均 ± z × σ ÷ √N」としています。95%両側ではzに、標準正規分布の97.5%点である約1.96を使います。

  1. σ ÷ √N = 10 ÷ √100 = 10 ÷ 10 = 1
  2. 幅は 1.96 × 1 = 1.96
  3. 区間は 50 ± 1.96 = 48.04 以上 51.96 以下

標本を400人に増やすと、σ ÷ √N = 10 ÷ 20 = 0.5、幅は1.96 × 0.5 = 0.98で、区間は49.02以上50.98以下になります。標本の大きさを4倍にすると、区間の幅は半分になります。点推定の50は同じでも、区間推定から不確実性の小さくなり方が分かります。

帰無仮説と対立仮説の立て方

次の項目は、統計的仮説検定で帰無仮説と対立仮説の違いを説明できることです。

広告バナーを新しいものに変え、クリック率が変わったかを調べる場面で考えます。

  • 帰無仮説:新旧のバナーでクリック率に差が無い
  • 対立仮説:新旧のバナーでクリック率に差がある

検定は、帰無仮説が真だと仮定したときに、手元のデータがどれだけ珍しいかを調べる手順です。珍しすぎるときに帰無仮説を捨て、対立仮説を採ります。

p値・有意水準・2種類の過誤

この項目は、検定の判断の誤り(第1種の過誤、第2種の過誤)と、p値、有意水準の意味、これらの関係を説明できることです。NIST公式ハンドブックによると、p値は帰無仮説が真だとしたとき、観測した検定統計量以上に極端な値が出る確率です。有意水準αは検定の前に決め、α = 0.05は、帰無仮説が実際に真のときに、その5%で棄却することを意味します。

有意水準を0.05として、p値が2通りだった場合の判断です。

p値判断
0.030.03 < 0.05 なので帰無仮説を棄却し、差があると判断する
0.200.20 ≧ 0.05 なので帰無仮説を棄却しない。差が無いと証明されたわけではない

判断の誤りは、本当の状態と判断の組み合わせで2種類に分かれます。

本当の状態帰無仮説を棄却した棄却しなかった
帰無仮説が真(本当は差が無い)第1種の過誤(差があると誤判断)正しい判断
帰無仮説が偽(本当は差がある)正しい判断第2種の過誤(差を見逃す)

有意水準は、第1種の過誤を起こしてよい確率の上限を、検定の前に決めたものです。有意水準を0.01に下げると第1種の過誤は減りますが、差があっても棄却しにくくなります。

片側検定と両側検定のp値

公式スキルチェックリストは、片側検定と両側検定の違いを理解し、適切に使い分けられることを挙げています。バナーの例では、「差があるか」を見るなら両側、「新しいバナーのほうが高いか」だけを見るなら片側です。

検定統計量がz値で、標準正規分布に従う場合で比べます。標準正規分布でzが2.0以上になる確率は約0.0228、1.8以上になる確率は約0.0359です。両側検定では、反対側の端も数えるので2倍になります。

検定統計量両側検定のp値片側検定のp値
z = 2.02 × 0.02275 = 0.0455(0.05未満で棄却)0.0228(0.05未満で棄却)
z = 1.82 × 0.03593 = 0.0719(0.05以上で棄却しない)0.0359(0.05未満で棄却)

z = 1.8は、片側なら棄却、両側なら棄却しない境目の例です。結果を見てから片側に切り替えると有意になりやすくなるため、どちらを使うかは検定の前に決めます。

対応の有無と検定手法の選び方

最後の項目は、検定する対象のデータの対応の有無を考慮して、適切な検定手法(t検定、z検定など)を選び適用できることです。

  • 対応あり:同じ10人の、研修の前と後の点数を比べる。1人ごとに前後の組ができる
  • 対応なし:Aグループ10人とBグループ10人の点数を比べる。人が別々で、組にならない

同じ対象を2回測ったデータは対応あり、別々の対象を比べるデータは対応なしです。検定手法は、この区別に加えて、母標準偏差が分かっているか(分かっていればz検定、標本から求めるならt検定が一般的)で選びます。このページの区間推定の例のように、母標準偏差が既知という前提を置いた計算はz値を使います。

問題文から読み取る

このページの計算例から導いた読み方です。出題を予想するものではありません。

  • 「幅をつけて」「95%」「不確実性」とあれば、区間推定(標本が大きいほど幅は狭い)
  • 「差が無い」と置く仮説は帰無仮説、「差がある」と置く仮説は対立仮説
  • 「p値が有意水準より小さい」とあれば棄却。「大きい」は棄却しないで、帰無仮説が真の証明ではない
  • 「真なのに棄却」は第1種の過誤、「偽なのに棄却しない」は第2種の過誤
  • 「大きくなったか」だけなら片側、「差があるか」なら両側。同じ統計量なら片側のp値は両側の半分
  • 「同じ対象の前後」とあれば、対応のあるデータ

よくある質問

DS検定で推定・検定はどこまで必要ですか?

公式スキルチェックリストの推定・検定は、★1つ星が5項目です。点推定と区間推定の違い、帰無仮説と対立仮説の違い、第1種・第2種の過誤とp値・有意水準の関係、片側検定と両側検定の使い分け、データの対応の有無を踏まえたt検定やz検定などの選択が挙げられています。このページの程度の計算を手で追えるかが目安です。

p値が0.05より大きいとき、帰無仮説は正しいといえますか?

いえません。NIST公式ハンドブックの判断例では、p値が有意水準より小さいときに帰無仮説を棄却します。棄却しないことは、帰無仮説が真だと証明することではなく、差があると言い切れる材料が足りないという意味です。

有意水準0.05とは、どういう意味ですか?

NIST公式ハンドブックは、α = 0.05は、帰無仮説が実際に真のとき、その5%で帰無仮説を棄却することを意味すると説明しています。つまり、第1種の過誤を起こす確率の上限を、検定の前に5%と決めておくことです。

片側検定と両側検定は、どう使い分けますか?

「差があるか」を見るなら両側、「大きくなったか」のように一方向だけを問うなら片側です。同じデータでも、片側のp値は両側のおよそ半分になります。結果を見てから片側に切り替えると有意になりやすくなるため、方向は検定の前に決めます。

信頼区間の幅は、何で決まりますか?

標本の大きさと、データのばらつきです。NIST公式ハンドブックの母標準偏差が既知の場合の式では、標本平均 ± z × σ ÷ √N が区間になります。標本の大きさNを4倍にすると、√Nは2倍になり、幅は半分になります。

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執筆: ミナト編集部(運営者情報を見る)