第4章 統計・推定・検定(統計数理基礎)
DS検定の平均・中央値・分散・標準偏差・四分位の計算
DS検定(リテラシーレベル)の公式スキルチェックリストには、統計数理基礎として、平均・中央値・最頻値の違い、分散・標準偏差・四分位・パーセンタイルの使い分け、不偏分散と標本分散の違いがあります。このページは、8個のデータを使って、代表値、外れ値の影響、分散と標準偏差、四分位を順に計算します。用語を並べて覚えるより、同じデータで平均と中央値を並べて計算したほうが、使い分けの理由が分かります。
統計の用語が久しぶりで、不偏分散と標本分散の違いがあいまいな人向けの内容です。
データの数値はすべて架空です。出題を予想するものではありません。
この記事の目次
公式情報の確認
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結論
- 平均は全部の合計 ÷ 個数、中央値は並べたときの真ん中、最頻値は最も多く出る値
- 外れ値が入ると平均は大きく動くが、中央値は順位にもとづくので動きにくい
- 分散は偏差の2乗の合計を割ったもの。標本から母集団を推定する不偏分散はN−1で割る
- 標準偏差は分散の平方根で、元のデータと単位がそろう
- 四分位は25%点と75%点。その差の四分位範囲は、中央の50%のデータの幅
平均・中央値・最頻値の計算
公式スキルチェックリストは、平均、中央値、最頻値の算出方法の違いを説明できることを★1つ星の項目としています。8人のテストの点数が、小さい順に 2, 3, 3, 4, 5, 6, 7, 8 だったとします。
- 平均:合計 38 ÷ 個数 8 = 4.75
- 中央値:個数が偶数なので、4番目と5番目の平均。(4 + 5) ÷ 2 = 4.5
- 最頻値:3が2回で最も多い。3
個数が奇数なら、中央値は真ん中の1つの値です。偶数のときは、真ん中の2つの値の平均を使います。
外れ値が入ったときの変化
最大の8点を、極端に高い30点に置き換えて、代表値の動きを比べます。
| データ | 平均 | 中央値 | 最頻値 |
|---|---|---|---|
| 元のデータ(8個) 2, 3, 3, 4, 5, 6, 7, 8 | 38 ÷ 8 = 4.75 | (4 + 5) ÷ 2 = 4.5 | 3 |
| 最大値を8から30に変えたデータ 2, 3, 3, 4, 5, 6, 7, 30 | 60 ÷ 8 = 7.5 | (4 + 5) ÷ 2 = 4.5 | 3 |
平均は4.75から7.5へ動きましたが、中央値は4.5のままでした。NIST公式ハンドブックは、データの端の極端な値は平均をゆがめるが、中央値は順位にもとづくのでゆがまないと説明しています。外れ値があるデータでは、中央値のほうが位置の推定に適するという位置づけです。
分散と標準偏差の計算
次の項目は、母(集団)平均と標本平均、不偏分散と標本分散がそれぞれ異なることを説明できることです。NIST公式ハンドブックは、標本分散を、各値と平均の差(偏差)を2乗して合計し、N−1で割ったものと定義し、標準偏差をその平方根としています。
8個のデータ 2, 4, 4, 4, 5, 5, 7, 9 で計算します。平均は 40 ÷ 8 = 5 です。
| 値 | 平均5との差(偏差) | 偏差の2乗 |
|---|---|---|
| 2 | −3 | 9 |
| 4 | −1 | 1 |
| 4 | −1 | 1 |
| 4 | −1 | 1 |
| 5 | 0 | 0 |
| 5 | 0 | 0 |
| 7 | 2 | 4 |
| 9 | 4 | 16 |
偏差の2乗の合計は 9 + 1 + 1 + 1 + 0 + 0 + 4 + 16 = 32 です。
- 個数8で割る(標本分散):32 ÷ 8 = 4。標準偏差は √4 = 2
- N−1の7で割る(不偏分散):32 ÷ 7 = 約4.57。標準偏差は約2.14
同じ偏差の2乗和でも、8で割るか7で割るかで値が変わります。標本から母集団のばらつきを推定する場面では、N−1で割る不偏分散を使います。標準偏差は分散の平方根なので、元のデータと同じ単位で読めます。
四分位とパーセンタイル
NIST公式ハンドブックの箱ひげ図の説明では、第1四分位数は25パーセンタイル、第3四分位数は75パーセンタイルで、その差を四分位範囲(IQR)と呼んでいます。箱は第1四分位数と第3四分位数の間にあり、データの中央50%を表します。
1から9までの9個のデータで求めます。四分位数の求め方には複数の方法があり、NIST公式ハンドブックが示すのは25・75パーセンタイルという定義までです。このページでは、中央値でデータを下半分と上半分に分け、それぞれの中央値を四分位数とする方法を、計算の手順として使います。
- 中央値:5番目の5
- 下半分(1, 2, 3, 4)の中央値=第1四分位数:(2 + 3) ÷ 2 = 2.5
- 上半分(6, 7, 8, 9)の中央値=第3四分位数:(7 + 8) ÷ 2 = 7.5
- 四分位範囲:7.5 − 2.5 = 5
四分位範囲は、最大値と最小値の差(範囲)と違い、両端の極端な値の影響を受けにくい幅です。この例の範囲は 9 − 1 = 8 ですが、四分位範囲は5です。
問題文から読み取る
このページの計算例から導いた読み方です。出題を予想するものではありません。
- 「外れ値」「極端に大きな値」があれば、平均より中央値が安定する
- データの個数が偶数なら、中央値は真ん中の2つの平均
- 「標本から母集団を推定」「不偏」とあれば、偏差の2乗和をN−1で割る
- 「元のデータと同じ単位」で比べるなら、分散でなく標準偏差
- 「中央の50%」「25%点と75%点の差」とあれば、四分位範囲
DS検定の学習に使う書籍(Amazon)
試験範囲を通して読むときの1冊です。読んだ章は、このサイトの章別問題で確かめられます。
よくある質問
DS検定で代表値とばらつきはどこまで必要ですか?
公式スキルチェックリストでは、平均・中央値・最頻値の算出方法の違いを説明できること、分散・標準偏差・四分位・パーセンタイルを目的に応じて使い分けられること、母平均と標本平均・不偏分散と標本分散が異なることを説明できることが、★1つ星の項目です。このページの程度の計算を手で追えるかが目安です。
平均と中央値は、どう使い分けますか?
外れ値があるかで決めます。NIST公式ハンドブックは、データの端に極端な値があるとき、平均はゆがむが、中央値は順位にもとづくのでゆがまず、位置の推定には中央値のほうが適するとしています。このページの例では、最大値を8から30にすると平均は4.75から7.5に動き、中央値は4.5のままでした。
不偏分散はなぜN−1で割るのですか?
NIST公式ハンドブックは、英語のsample varianceを偏差の2乗和 ÷ (N−1) と定義しており、日本語でいう不偏分散にあたります。日本語の標本分散は偏差の2乗和 ÷ N です。公式チェックリストは、この2つが異なることを説明できるよう求めています。このページの例では、同じ偏差の2乗和32を、8で割ると4、7で割ると約4.57になります。
四分位の値は、どの計算方法でも同じですか?
データの個数によっては、方法により値が変わることがあります。このページでは、中央値でデータを下半分と上半分に分け、それぞれの中央値を第1四分位数・第3四分位数とする方法で計算しています。問題文に方法が書かれていれば、それに従います。
標準偏差と分散は、どちらを使えばいいですか?
元のデータと単位をそろえたいときは標準偏差です。分散は2乗した単位になるため、そのままでは元のデータと比べにくくなります。NIST公式ハンドブックも、標準偏差は分散の平方根で、ばらつきの単位を元のデータにそろえると説明しています。
