第3章 数学的基礎(微分・積分基礎)
DS検定の微分・積分(導関数・偏微分・勾配・停留点)
DS検定(リテラシーレベル)の公式スキルチェックリストには、微分・積分基礎として、導関数と偏微分・勾配、積分と確率密度関数、停留点と最適解の3項目があります。このページは、x²の傾きや2変数関数など小さな式で、3項目を順に計算します。式の名前を覚えるより、傾き・面積・最適解のどれを聞かれているかを一度計算で確かめるほうが、問題文を読み取りやすくなります。
数学が久しぶりで、微分は「傾き」、積分は「面積」という以上の感覚がない人向けの内容です。
関数や数値はすべて架空です。出題を予想するものではありません。
この記事の目次
公式情報の確認
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結論
- 導関数は、その点での傾きを返す式。f(x) = x²なら導関数は2xで、x = 3の傾きは6
- 多変数の関数は、1つの変数だけを動かして偏微分する。偏微分を並べたベクトルが勾配
- 積分は面積を求める計算。確率密度関数を範囲で定積分した値が、その範囲の確率になる
- 導関数が0になる点(停留点)は、極大・極小とは限らない。f(x) = x³のx = 0がその例
- 局所最適解は近くで一番よい点、大域最適解は考える範囲全体で一番よい点。両者は一致するとは限らない
導関数と傾きの計算
公式スキルチェックリストのNo.6は、微分により計算する導関数が傾きを求めるための式であることを理解し、多変数関数の微分(偏微分、勾配など)も必要に応じて求められることを★1つ星の項目としています。
f(x) = x²の導関数は、f′(x) = 2xです。xに値を入れると、その点での傾きが分かります。
| 点 | f′(x) = 2xの計算 | 傾き |
|---|---|---|
| x = 0 | 2×0 | 0(接線は水平) |
| x = 1 | 2×1 | 2 |
| x = 3 | 2×3 | 6 |
| x = −2 | 2×(−2) | −4(右下がり) |
検算として、x = 3の少し先のx = 3.01で値を比べます。f(3) = 9、f(3.01) = 9.0601なので、増えた量は0.0601で、x の増加量0.01で割ると6.01です。傾き6に近い値になります。導関数の値が正なら右上がり、負なら右下がり、0なら水平です。
偏微分と勾配の計算
変数が2つ以上ある関数では、1つの変数だけを動かし、ほかを定数として扱って微分します。MIT OpenCourseWareの多変数微積分教材も、xによる偏微分はxを変化させ、ほかの独立変数を定数として扱って求めると説明しています。
f(x, y) = x² + 3xy + y²で計算します。
- xで偏微分:yを定数とみなすと、x²は2x、3xyは3y、y²は0になる。結果は 2x + 3y
- yで偏微分:xを定数とみなすと、x²は0、3xyは3x、y²は2yになる。結果は 3x + 2y
- 点(1, 2)で値を入れると、xの偏微分は2×1 + 3×2 = 8、yの偏微分は3×1 + 2×2 = 7
- 2つを並べたベクトル(8, 7)が、点(1, 2)での勾配
検算として、f(1, 2) = 1 + 6 + 4 = 11、xを0.01だけ増やしたf(1.01, 2) = 1.0201 + 6.06 + 4 = 11.0801です。増えた量0.0801をxの増加量0.01で割ると8.01で、xの偏微分8に近い値です。勾配は、各変数の方向の傾きを1つのベクトルにまとめたものです。
積分と面積・密度関数の定積分
No.7は、積分と面積の関係を理解し、確率密度関数を定積分することで確率が得られることを説明できることを挙げています。
例1として、0以上4以下で値が一定の1/4をとる密度を考えます。全体の面積は、幅4×高さ1/4 = 1で、確率の合計と一致します。1以上3以下の確率は、幅2×高さ1/4 = 1/2 = 0.5です。
例2として、0以上1以下で f(x) = 2x となる密度を考えます。2xの積分はx²なので、全体は 1² − 0² = 1 で、確率の合計として成り立ちます。0以上0.5以下の確率は、0.5² − 0² = 0.25です。
密度の値そのものは確率ではなく、範囲で積分した値が確率です。0以上0.5以下で一定の値をとる密度は、全体の面積を1にするため値が2になります。確率が1を超えることはないので、この2は確率ではないと分かります。
停留点と局所・大域最適解
No.8は、関数の停留点が必ずしも極値にならないことを理解し、局所最適解と大域最適解の違いを説明できることを挙げています。停留点は、導関数が0になる点のことです。
まず、極値にならない例です。f(x) = x³の導関数は3x²で、x = 0で0になります。しかし、xが負のときも正のときも3x²は正で、関数は増え続けます。x = 0は停留点ですが、極大でも極小でもありません。
次に、f(x) = x³ − 3xを、−3以上1.5以下の範囲で見ます。導関数は 3x² − 3 = 3(x − 1)(x + 1) で、停留点はx = −1と1です。範囲の両端も含めて値を並べます。
| 点 | f(x)の計算 | 位置づけ |
|---|---|---|
| x = −3(範囲の左端) | (−3)³ − 3×(−3) = −27 + 9 = −18 | この範囲での最小値(大域最適解) |
| x = −1(f′=0) | (−1)³ − 3×(−1) = −1 + 3 = 2 | 局所最大。この範囲での最大値でもある |
| x = 1(f′=0) | 1³ − 3×1 = −2 | 局所最小。ただし左端の−18より大きく、大域最適解ではない |
| x = 1.5(範囲の右端) | 1.5³ − 3×1.5 = 3.375 − 4.5 = −1.125 | 端の値。最大でも最小でもない |
x = 1の−2は近くでは一番小さい局所最適解ですが、範囲全体で見ると−18のほうが小さく、大域最適解ではありません。機械学習で損失を小さくする場面も同じ考え方で、近くで一番小さい点に着いても、全体で一番小さいとは限りません。
問題文から読み取る
このページの計算例から導いた読み方です。出題を予想するものではありません。
- 「傾き」「変化の割合」「増えるか減るか」とあれば、導関数の符号や値
- 「ほかの変数を固定して」「変数ごとの傾きを並べた」とあれば、偏微分と勾配
- 「面積」「密度」「ある範囲に入る確率」とあれば、定積分(全体の積分は1)
- 「微分が0」とあれば停留点で、極大・極小・どちらでもない、の3通りがある
- 「近くで最小」「範囲全体で最小」とあれば、局所最適解と大域最適解の違い
DS検定の学習に使う書籍(Amazon)
試験範囲を通して読むときの1冊です。読んだ章は、このサイトの章別問題で確かめられます。
よくある質問
DS検定で微分・積分はどこまで必要ですか?
公式スキルチェックリストの微分・積分基礎は3項目で、すべて★1つ星です。導関数が傾きを求める式であること(多変数では偏微分や勾配を必要に応じて求められること)、積分と面積の関係と確率密度関数の定積分が確率になること、停留点が必ずしも極値にならないことと局所最適解・大域最適解の違いが挙げられています。このページの程度の計算を手で追えるかが目安です。
偏微分と普通の微分は何が違いますか?
変数が複数ある関数で、1つの変数だけを動かし、ほかの変数は定数として扱って微分するのが偏微分です。MIT OpenCourseWareの多変数微積分教材も、xによる偏微分はxを変化させ、ほかの独立変数を定数として扱って求めると説明しています。
勾配とは何ですか?
各変数についての偏微分を並べたベクトルです。このページのf(x, y) = x² + 3xy + y²では、点(1, 2)で(8, 7)になります。公式の項目は、勾配なども必要に応じて求められることを挙げています。
確率密度関数の値は確率ですか?
値そのものは確率ではありません。範囲で定積分した値が確率です。たとえば0以上0.5以下で一定の値をとる密度は、全体の積分を1にするため値が2になり、1を超えます。公式の項目も、確率密度関数を定積分することで確率が得られることを挙げています。
微分して0になる点は、必ず最大か最小ですか?
必ずしもそうではありません。公式の項目も、停留点が必ずしも極値にならないことを挙げています。f(x) = x³は、x = 0で微分が0になりますが、左右とも増え続けるため極大でも極小でもありません。
