AI資格ドリル
資格を選ぶ↓

統計ソフトウェアの出力

統計検定2級のロジスティック回帰

統計検定2級の出題範囲表は、統計ソフトウェアの活用に「計算出力を活用できるか」を挙げています。ロジスティック回帰は明記されていませんが、回帰分析の出力を読む題材になります。ロジスティック回帰で当てはめたモデルのsummary(glm)の出力は、lmの出力と似ていますが、列の意味が違います。覚えるのは、直線で表すのは確率でなく対数オッズで、係数表の検定に使うのがz値だという2点です。

このページは、勉強時間と合否の小さな例で、確率、オッズ、z値、p値、オッズ比を順に計算します。

公式情報の確認

試験日、料金、申込条件、試験方式など変動する情報は、公式情報を最終確認してください。 当サイトの一次情報確認日: 2026-10-09。

試験の出題範囲・実施要項は変動するため、受験前に公式情報を確認してください。

結論

  1. オッズ = p÷(1−p)、対数オッズ = log(p÷(1−p))で、ロジスティック回帰は対数オッズを説明変数の1次式で表す
  2. 係数b = 説明変数が1増えたときの対数オッズの増加量、exp(b) = オッズが何倍になるか(オッズ比)
  3. 係数表の3列目 = 推定値÷標準誤差で、ロジスティック回帰ではz value、4列目はPr(>|z|)
  4. 係数は最尤法で推定し、計算はソフトウェアが行う
  5. 係数0.8は「確率が0.8増える」でなく「オッズが約2.23倍になる」

モデルの形と確率の計算

英語版Wikipediaは、ロジスティックモデルを、事象の対数オッズを説明変数の1次式で表すモデルと説明しています。対数オッズを確率に直す関数がロジスティック関数で、名前の由来です。scikit-learnの公式ドキュメントも、ロジスティック関数で結果の確率をモデル化すると述べています。R公式文書では、glmの二項分布の族の既定のリンク関数がlogitです。

勉強時間hours(時間)と合否(合格が1)のモデルで、対数オッズ = −4.0 + 0.8×hours と推定されたとします(説明用の架空の値です)。

勉強時間対数オッズオッズ exp(対数オッズ)合格確率 オッズ÷(1+オッズ)
3時間−1.6約0.20約0.168
5時間010.5
6時間0.8約2.23約0.690
8時間2.4約11.0約0.917

対数オッズが0のとき、オッズは1、確率は0.5です。5時間のとき対数オッズは−4.0+0.8×5=0になります。確率は0〜1に収まり、直線ではなくS字に増えます。3時間から5時間までの2時間で約0.17から0.5へ、5時間から8時間までの3時間で0.5から約0.92へ増えます。

summary(glm)の係数表

同じモデルのsummary(glm)の係数表は、次の形になります(推定値と標準誤差は架空の値、残りは計算です)。

行EstimateStd. Errorz valuePr(>|z|)
(Intercept)−4.01.2−3.33約0.0009
hours0.80.253.20約0.0014

hoursのz値は0.8÷0.25=3.2で、両側p値は約0.0014です。有意水準5%なら、勉強時間の係数は0と異なると判断します。切片のz値は−4.0÷1.2≒−3.33です。R公式のsummary.glm文書は、3列目は分散パラメータを推定するときt比、既知または固定のときz比で、4列目はそれぞれt分布または正規分布にもとづく両側p値としています。lmの係数表の読み方はRの出力の読み方のページにあります。

オッズ比と信頼区間

勉強時間が1時間増えるとき、対数オッズは0.8増え、オッズはexp(0.8)≒2.23倍になります。たとえば5時間(オッズ1)から6時間(オッズ約2.23)です。2時間増えるなら、2.23を2回掛けて約4.95倍です。

係数の95%信頼区間は、推定値±1.96×標準誤差で、0.8±1.96×0.25から約0.31〜1.29です。両端をexpに通すと、オッズ比の95%信頼区間は約1.36〜3.63になります。区間が1をまたがないので、オッズ比は1と異なると読めます。係数の区間が0をまたがないことと同じ意味です。信頼区間の考え方は信頼区間のページで計算しています。

lmの係数表との違い

lmとglm(二項分布)の違いを表にします。表はこのページでの整理です。

観点lm(線形回帰)glm(ロジスティック回帰)
目的変数連続の値合格か不合格かなどの2値(0か1)
モデルが直線で表すもの目的変数そのもの対数オッズ(logit)
係数表の第3列t valuez value(二項分布では分散パラメータを1に固定)
第4列Pr(>|t|)Pr(>|z|)
係数1単位の増加が意味するもの目的変数が係数ぶん増えるオッズが exp(係数)倍になる

「z value」の表題があれば、二項分布やポアソン分布のglmの出力だと見当がつきます。単回帰の計算は単回帰分析の計算手順のページにあります。

間違えやすい点

取り違えを、このページの例で4つ挙げます。

  • 係数を確率の増え方とする: 0.8は対数オッズの増え方で、オッズ比はexp(0.8)≒2.23です。
  • オッズと確率を同じものとする: 確率0.69のオッズは0.69÷0.31≒2.23で、別の値です。
  • glmの3列目をt値とする: 二項分布の族では分散パラメータが1に固定され、z値になります。
  • オッズ比の信頼区間で0を基準にする: オッズ比の基準は1で、係数の基準が0です。

確率、オッズ、対数オッズのどれを問われているかを、先に確かめます。

問題文から読み取る

問題文の言い回しから、答え方を選べます。このページの整理から導いた読み方で、出題を予想するものではありません。

  • 「係数が0.8のとき、説明変数が1増えるとオッズは何倍か」とあれば、exp(0.8)
  • 「z valueが3.2、有意水準5%」とあれば、絶対値が1.96より大きいので係数は0と異なる
  • 「オッズ比の95%信頼区間が1.36〜3.63」とあれば、1を含まないので有意
  • 「対数オッズが0」とあれば、オッズは1で確率は0.5
  • 「結果が2値で、説明変数から確率を予測する」とあれば、ロジスティック回帰

よくある質問

ロジスティック回帰は、統計検定2級の出題範囲に入っていますか?

統計検定センターの2級の出題範囲表には、ロジスティック回帰もsummary.glmも書かれていません。統計ソフトウェアの活用の項目に「計算出力を活用できるか」とあるだけです。このページは、回帰分析の出力を読む力を確かめる題材として、summary(glm)の出力を使っています。

係数表の3列目は、なぜlmのt値でなくz値になるのですか?

R公式のsummary.glm文書によると、3列目は、分散パラメータを推定するときはt比、既知または固定のときはz比です。分散パラメータを指定しない場合、二項分布とポアソン分布の族では1とするため、ロジスティック回帰ではz比になります。

係数0.8は、確率が0.8増えるという意味ですか?

違います。係数は対数オッズの増え方です。このページの例では、勉強時間が1時間増えるとオッズがexp(0.8)≒2.23倍になります。確率の増え方は、もとの確率によって変わります。時間が3から4時間になるときと、5から6時間になるときでは、確率の増え方が違います。

ロジスティック回帰の係数は、どう推定しますか?

英語版Wikipediaは、パラメータを最尤法で推定するのが一般的で、線形回帰と違って閉じた式にならないと説明しています。このため計算はソフトウェアに任せ、試験では出力を読む力が問われます。

次に読むと効率的なページ

執筆: ミナト編集部(運営者情報を見る)