AIの仕組み
過学習とは(正則化・ドロップアウト・転移学習の違い)
過学習は、生成AIパスポートの公式シラバス第1章で、正則化、ドロップアウト、転移学習と並んでキーワードに載っています。過学習は「トレーニングデータには強いが、新しいデータに弱い状態」で、正則化とドロップアウトはそれを抑える手法、転移学習は別の考え方です。
このページは、公式シラバスの記載と、Googleの機械学習教材、TensorFlow公式の資料の範囲で、過学習とアンダーフィットの違い、見分け方、原因、3つの用語の役割の違いを整理しています。
この記事の目次
公式情報の確認
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結論
- 過学習は、トレーニングセットに非常によく一致する(記憶する)モデルになり、新しいデータに正しく予測できなくなること
- アンダーフィットは、トレーニングデータでさえ適切な予測ができない状態。過学習とは逆の失敗
- 過学習の原因は、トレーニングセットが実際のデータを適切に表していないこと、モデルが複雑すぎることの、どちらか、または両方
- 正則化はモデルの複雑さへの罰則、ドロップアウトは学習時に入力の一部をランダムに0にする方法
- 転移学習は、学習済みモデルの特徴を新しい関連タスクに再利用する枠組みで、シラバスでは過学習を避ける手法とは別の項目
過学習とアンダーフィット
モデルの目標は、新しいデータに対して優れた予測を行うことです。トレーニングデータと新しいデータのどちらで予測がよいかによって、3つの状態に分けて読みます。
| 状態 | トレーニングデータ | 新しいデータ | Googleの教材の説明 |
|---|---|---|---|
| 過学習(オーバーフィット) | 予測がよい | 予測が悪い | トレーニングセットに非常によく一致する(記憶する)モデルになった結果、新しいデータに正しく予測できなくなる |
| アンダーフィット | 予測が悪い | 予測が悪い | トレーニングデータでさえ適切な予測を行わない |
| 適合(一般化が良好) | 予測がよい | 予測がよい | 新しいデータに対して優れた予測を行う。目標はこの状態のモデルを作ること |
新しいデータに対して優れた予測を行える性質を、一般化といいます。Googleの教材は、一般化を過学習の反対と説明しています。選択肢に「一般化が良好」とあれば、新しいデータにも予測が通用するモデルのことです。
一次資料: Google for Developers「Machine Learning Crash Course」過学習のページ
過学習の見分け方と原因
Googleの教材は、過学習の検出に損失曲線と一般化曲線を使うとしています。損失曲線は、モデルの損失とトレーニングの反復回数をプロットしたものです。2つ以上の損失曲線を示すグラフを一般化曲線と呼びます。
トレーニングセットの損失は減る、または一定なのに、検証セットの損失が増えるときが、過学習のしるしです。適合のよいモデルでは、形の似た2本の損失曲線になります。
原因は、次のどちらか、または両方です。
- トレーニングセットが、実際のデータ(または検証セットやテストセット)を適切に表していない
- モデルが複雑すぎる
一次資料: Google for Developers「Machine Learning Crash Course」過学習のページ
正則化・ドロップアウト・転移学習
シラバスのキーワードに並ぶ3つは、名前が似て見えても役割が違います。公式資料に書かれた範囲で比べると、次のとおりです。
| 用語 | 役割 | 資料の記載 |
|---|---|---|
| 正則化 | モデルの複雑さに罰則を加えて、過学習を抑える | L2正則化では、複雑度を各重みの二乗和(w1²+w2²+…+wn²)で表す。大きい重みほど寄与が大きく、損失と「正則化率λ×複雑度」の和を小さくするよう学習する |
| ドロップアウト | 学習のたびに、入力の一部をランダムに0にする | TensorFlowのDropout層は、学習時に指定した割合の入力ユニットをランダムに0にし、0にしなかった入力を1/(1-rate)倍にして入力全体の期待和を保つ。推論時には適用しない |
| 転移学習 | 学習済みモデルが得た特徴を、新しい関連タスクで再利用する | TensorFlowのチュートリアルの代表的な手順は、基盤モデルを凍結して上に足した分類層だけを学習する特徴抽出と、その後に基盤モデルの上位層の一部を解凍して低い学習率で調整するファインチューニングの2段階 |
ドロップアウトが「学習時だけ」ランダムに入力を0にするのに対し、正則化は損失に複雑度の罰則を足す点が違います。ドロップアウトを予測のたびに使う、と書いた選択肢は誤りです。
転移学習は、大きなモデルを一から作り直さずに新しい関連タスクへ使い回す考え方です。生成AIでの大規模なモデルの使い回しは基盤モデルとはのページで整理しています。
一次資料: Google for Developers「Machine Learning Crash Course」正則化のページ、TensorFlow公式「Dropout層」「転移学習とファインチューニング」
選択肢の読み方
用語を当てる設問では、選択肢の説明文が何を言っているかを、次の表のように言い換えて読みます。表は、このページの整理した読み方で、本試験の問題ではありません。
| 説明文 | 当てはまる用語 | 理由 |
|---|---|---|
| トレーニングデータでは高い精度なのに、新しいデータでは精度が大きく下がる | 過学習 | トレーニングセットに合いすぎて、新しいデータに一般化できていない状態の説明 |
| トレーニングデータでも精度が低い | アンダーフィット | 過学習ではない。トレーニングデータにすら適合していない |
| 学習のたびに入力の一部をランダムに0にする | ドロップアウト | 正則化のように重みの大きさに罰則を加える手法ではない |
| 重みの二乗和などで複雑度を測り、損失に加えて小さくする | 正則化(L2正則化) | モデルが複雑になりすぎることへの罰則 |
| 学習済みモデルの特徴を、別の関連タスクに再利用する | 転移学習 | 過学習の定義ではなく、学習済みモデルの再利用の考え方 |
シラバスのどこに出るか
| 場所 | 内容 |
|---|---|
| 2027年2月試験より適用のシラバス 第1章「AIの基礎と歴史」 | 学習項目に「過学習と対策」と「転移学習」が別々に並び、詳細キーワードに過学習(オーバーフィッティング)、汎化、アーリーストッピング、正則化、ドロップアウト、転移学習、ファインチューニングが載る |
上の表は、2027年2月試験から適用される新シラバスの記載です。章立ての変更点は2027年2月試験の新シラバスのページで確認できます。試験での出題を予想するものではありません。
よくある質問
過学習と過剰適合は、同じ意味ですか?
Googleの機械学習教材では、同じ現象を「過学習」と「過剰適合」の両方で書いています。オーバーフィッティングの日本語訳の違いで、生成AIパスポートのシラバスは「過学習(オーバーフィッティング)」と表記しています。
過学習はどうやって見つけますか?
Googleの教材は、トレーニングセットの損失と検証セットの損失を反復回数に対してプロットした一般化曲線で見分けるとしています。2本の損失曲線が分かれ、トレーニングセットでは損失が減る、または一定のままなのに、検証セットでは損失が増える場合は、過学習を示します。
過学習はなぜ起こりますか?
Googleの教材は、トレーニングセットが実際のデータ(または検証セットやテストセット)を適切に表していないこと、モデルが複雑すぎることの、どちらか、または両方によって起こるとしています。
ドロップアウトは、予測するときにも使いますか?
使いません。TensorFlowのDropout層は学習時にだけ入力をランダムに0にし、推論時には適用しません。
転移学習は、過学習を防ぐ手法ですか?
転移学習は、事前学習済みモデルが獲得した特徴を新しい関連タスクに再利用する枠組みです。シラバスでは「過学習と対策」とは別の学習項目に置かれています。試験対策としては、別の項目として覚えるのが安全です。

