AIの基礎
AIの歴史と3つのブーム(AIの冬・シンギュラリティ)
AIの歴史は、生成AIパスポートの公式シラバスで、第一次から第三次までのブームと、AIの冬、シンギュラリティがキーワードに載っています。各ブームの中心技術と、冬が来た理由をセットで覚えると、選択肢を見分けやすくなります。
このページは、総務省の情報通信白書(令和6年版・平成28年版)の記載と、公式シラバスの範囲で、ブームごとの時期と中心技術、冬の理由、ダートマス会議、シンギュラリティを整理しています。
この記事の目次
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結論
- 第一次ブームは推論・探索、第二次ブームは知識(エキスパートシステム)、第三次ブームは機械学習が中心
- 冬の時代は、第一次は単純な問題しか解けなかったため、第二次は知識を人が記述する負担が大きかったために来た
- 第三次ブームの背景は、データ流通量の増加と演算処理能力の向上で、ビッグデータを処理できるようになったこと
- 「AI」という言葉は、1956年のダートマス会議でJ. McCarthyが提唱した
- シンギュラリティの2045年は、一部の研究者の指摘として紹介される年で、確定した予定ではない
3つのブームの比較
総務省の白書は、AI研究にはブームと冬の時代が交互に訪れてきたと整理しています。ブームごとの時期、中心技術、終わった理由は次のとおりです。
| ブーム | 時期 | 中心技術 | 終わった理由 |
|---|---|---|---|
| 第一次AIブーム | 1950年代後半〜1960年代 | 推論・探索 | 迷路やパズルのような単純な問題は解けても、現実社会の課題は解けないと分かり、冬の時代へ |
| 第二次AIブーム | 1980年代から1990年代 | 知識(エキスパートシステム) | 必要な知識をすべて人が記述する負担が大きく、扱える範囲が限られて、再び冬の時代へ |
| 第三次AIブーム | 2000年代から現在 | 機械学習(ビッグデータ、ディープラーニング) | (現在も続く) |
時期は、白書の2つの版で同じ範囲です。平成28年版は第二次ブームを1980年代〜90年代、令和6年版は1980年代から1990年代と書いており、同じ範囲です。年数そのものより、順番と中心技術の違いを押さえるほうが選択肢には役立ちます。
「推論」と「探索」の意味も、令和6年版の白書に説明があります。推論は人間の思考過程を記号で表現し実行するもの、探索は目的達成のために手順や選択肢を調べ、最適な解決策を見つけ出すものです。エキスパートシステムは、特定の問題に対して専門知識を持ち、専門家のように推論や判断ができるコンピュータシステムと注記されています。
一次資料: 総務省「令和6年版 情報通信白書」「平成28年版 情報通信白書」
AIの冬が来た理由
AIの冬は、AIへの期待が下がり、研究が停滞した時期を指す言葉です。白書の記述から、2回の冬の理由を並べます。
- 第一次ブームのあと: 当時のAIは、トイ・プロブレムと呼ばれる簡単なパズルや迷路のような問題しか解けず、実用化に課題があった(令和6年版)
- 第二次ブームのあと: 学習させるデータが膨大で当時のコンピュータでは処理できず、データを人の手でコンピュータが理解できる形に記述する必要があり、大変な労力を要した(令和6年版)
2回の冬に共通するのは、技術の限界が見えて、期待とのずれが明らかになったことです。平成28年版の白書は、過去2回のブームでは、AIが実現できる技術的な限界よりも社会が期待する水準が上回り、その乖離が明らかになってブームが終わったと評価されている、と紹介しています。
第三次ブームを支える機械学習やディープラーニングの仕組みは、LLMの学習の流れのページで確認できます。
ダートマス会議
令和6年版の白書は、AIという言葉は1956年に開催されたダートマス会議で、アメリカの大学教授であったJ. McCarthyにより提唱された、と記しています。これにより人工知能の概念が確立し、科学者たちにAIという言葉が認知されるようになった、という書き方です。
ダートマス会議の1956年は、第一次ブームの始まりに近い時期の出来事です。白書は、この会議のあと、推論と探索の研究を中心に1960年代からAIの研究開発が活発化したとしています。
シンギュラリティ
平成28年版の白書は、ICTが人間の知能を超える境界を技術的特異点(シンギュラリティ)と呼び、その到来が予想されているとしています。一部の研究者は2045年頃に技術的特異点に到達すると指摘し、社会制度の再設計が不可避と述べている、という紹介です。
総務省の2015年の研究会報告書も、レイ・カーツワイルが2045年にシンギュラリティに達すると予測したことを踏まえて議論しています。2045年は「一部の研究者の予測」として覚え、確定した出来事とは読みません。シラバスのキーワードの「2045年問題」も、この予測にもとづく話題として扱われます。
選択肢の読み方
歴史の問題は、年号の暗記より、ブームと技術の組み合わせを問う形になりやすいと考えられます。このページの整理で、選択肢を次のように読みます。
- 「機械学習・ビッグデータ」が中心なら、第三次ブーム
- 「エキスパートシステム・知識の記述」が中心なら、第二次ブーム
- 「推論・探索・迷路やパズル」が中心なら、第一次ブーム
- 「冬の理由」は、ブームごとの限界と対応させる
- 「2045年にシンギュラリティが必ず到来する」のような断定は、予測として紹介された内容と食い違う
ここで挙げた読み方は、白書の記載から導いたこのページの整理で、出題を予想するものではありません。
シラバスのどこに出るか
公式シラバスの2026年2月〜2026年10月試験の版では、第1章に次の2つの中項目があります。
| 場所 | 内容 |
|---|---|
| 2026年2月〜2026年10月試験の版 第1章「AI(人工知能)」の中項目「AIの歴史」 | 詳細キーワードに第一次AIブーム、探索、推論、第二次AIブーム、エキスパートシステム、AIの冬、第三次AIブーム、ビッグデータが載る |
| 同じ版の第1章の中項目「シンギュラリティ(技術的特異点)」 | 詳細キーワードにシンギュラリティ、ヴァーナー・ヴィンジ、レイ・カーツワイル、2045年問題、AI効果が載る |
2027年2月試験から適用される新シラバスは章立てが再編されています。該当する章の位置は2027年2月試験の新シラバスのページで、公式資料と照らして確認してください。
よくある質問
AIのブームは、全部で何回ありましたか?
シラバスのキーワードは第一次から第三次までです。総務省の令和6年版情報通信白書も、第1〜3次AIブームと冬の時代として整理しています。同じ白書は、2022年頃からの生成AIの普及で第4次AIブームに入ったとも言われている、と別の節で触れています。
第一次と第二次で、中心になった技術は何が違いますか?
第一次は推論と探索、第二次は知識を与えたエキスパートシステムです。白書は、第一次を推論・探索の時代、第二次を知識の時代と呼んでいます。
AIの冬は、なぜ来たのですか?
白書によると、第一次は単純な問題しか解けず実用化に課題があったため、第二次は知識を人がコンピュータ向けに記述する負担が大きく、複雑な問題に対処できなかったためです。平成28年版は、社会の期待が技術の限界を上回り、その差が明らかになってブームが終わったという評価も紹介しています。
第三次AIブームのきっかけは何ですか?
令和6年版の白書は、ネットワークの普及でデータ流通量が増え、コンピュータの演算処理能力も向上して、ビッグデータの処理が可能になったことが大きな要因だと説明しています。その結果、機械学習が進化しました。
「AIという言葉」は、いつ誰が使い始めましたか?
令和6年版の白書は、1956年に開催されたダートマス会議で、アメリカの大学教授であったJ. McCarthyが提唱したと記しています。
シンギュラリティは、2045年に必ず来るのですか?
必ず来るとは言えません。平成28年版の白書は、一部の研究者が2045年頃に技術的特異点に到達すると指摘している、という書き方です。試験の選択肢では、断定している文か、予想として紹介している文かを見分けます。

