人工知能とは
G検定のチューリングテストとは(模倣ゲームと70%・5分の予想)
G検定の大項目1「人工知能とは」には、チューリングテストが載っています。チューリングテストは、文字だけのやり取りで人間と見分けられるかを見る模倣ゲームで、「5分で70%」は合格基準ではなくチューリング本人の予想です。
このページは、チューリングの1950年の論文とスタンフォード哲学百科を読み直し、模倣ゲームの中身と、選択肢で間違えやすい点を整理しています。
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結論
- チューリングテストは、チューリングが1950年の論文で示した「模倣ゲーム」が元になっている
- 質問者は別室から、書かれたやり取りだけで相手を判別する。声は手がかりにしない
- 「約50年後に、5分の質問で見分けられる確率が70%を超えないようにできる」は予想で、合格基準ではない
- 中国語の部屋は、サールが1980年に示した思考実験で、記号操作だけでは理解にならないと論じる
模倣ゲームの中身
チューリングは論文の冒頭で、「機械は考えられるか」という問いの言葉を定義し始めるのではなく、より分かりやすい別の問いに置き換えると述べました。その形が模倣ゲームです。
| 項目 | 論文の記述 |
|---|---|
| 参加者 | 男性(A)、女性(B)、質問者(C)の3人。質問者は男女どちらでもよい |
| 質問者の位置 | ほかの2人とは別の部屋にいて、やり取りの文面だけで相手を判別する |
| やり取りの形 | 声の調子が手がかりにならないよう、答えは書くか、できればタイプする。理想はテレプリンターで2つの部屋をつなぐ形 |
| ねらい | 「機械は考えられるか」という問いを、模倣ゲームでうまくやれるデジタルコンピュータは想像できるか、という問いに置き換える |
論文の元の模倣ゲームは、男性と女性のどちらがどちらかを質問者が当てる遊びでした。チューリングは、その一方の役を機械に置き換えたときに、質問者の判定がどう変わるかを問題にしています。
一次資料: A. M. Turing (1950) Computing Machinery and Intelligence. Mind 49: 433-460
チューリングの予想
論文には、「5分」と「70%」という数字が出てきます。チューリングは、約50年後には、平均的な質問者が5分間の質問のあとに正しく見分けられる確率が70%を超えないところまで、コンピュータをプログラムできると信じる、と書きました。
この数字は本人の予想で、「70%を下回れば合格」と定めた基準ではありません。選択肢に「合格基準は5分で70%」とあれば、論文の記述と合いません。
中国語の部屋との関係
スタンフォード哲学百科によると、中国語の部屋の議論は、アメリカの哲学者ジョン・サールが1980年の論文で発表しました。サール自身が部屋の中で、中国語の記号に返事を出すプログラムに従う場面を想像します。サールは中国語を理解しないのに、プログラムのおかげで中国語の理解についてのチューリングテストには通ってしまう、という筋書きです。
中国語の部屋は、テストに通ることだけでは理解の証拠として不十分だとする議論で、機械は考えられないことを示すものではありません。二つの用語の比較はチューリングテストと中国語の部屋の違いに、強いAIと弱いAIの区別は強いAIと弱いAIの違いにまとめています。
一次資料: スタンフォード哲学百科「The Chinese Room Argument」(2024年10月改訂版)
シラバスのどこに出るか
JDLA公式シラバス(G2024#6〜)では、チューリングテストと中国語の部屋は、次の大項目のキーワード欄に載っています。
| 場所 | 内容 |
|---|---|
| 大項目1「人工知能とは」のキーワード | チューリングテスト、ローブナーコンテスト、中国語の部屋、強いAIと弱いAI、AI効果などが載る |
選択肢の読み方
論文とスタンフォード哲学百科の記載から、選択肢を次のように読みます。
- 「質問者が相手を機械と見分けられなければ、知能があるとみなす」は、チューリングテストの説明
- 「記号を操作して返答できても、理解したことにはならない」は、中国語の部屋の主張
- 「チューリングテストは音声での会話で行う」という文は、書くかタイプする形という論文の記述と合わない
- 「中国語の部屋は、機械は考えられないことを証明した」という文は、哲学百科の整理と合わない
ここで挙げた読み方は、一次資料の記載から導いたこのページの整理で、出題を予想するものではありません。
G検定の学習に使う書籍(Amazon)
試験範囲を通して読むときの1冊です。読んだ章は、このサイトの章別問題で確かめられます。
よくある質問
チューリングテストは、いつ誰が考えたものですか?
アラン・チューリングが1950年の論文「Computing Machinery and Intelligence」(学術誌Mindに掲載)で示しました。論文の最初の節の題は「The Imitation Game(模倣ゲーム)」です。
チューリングテストでは、何が合格の目安ですか?
論文は合格点を定めていません。チューリングは、約50年後には、平均的な質問者が5分間の質問のあとに正しく見分けられる確率が70%を超えないところまでプログラムできる、と予想しました。これは予想であり、試験の基準ではありません。
チューリングテストは、音声で会話するテストですか?
いいえ。論文は、声の調子が手がかりにならないよう、答えを書くかタイプし、理想はテレプリンターで2つの部屋をつなぐ形だと述べています。
中国語の部屋は、チューリングテストを否定する議論ですか?
ジョン・サールが1980年に発表した思考実験で、記号操作だけで中国語の応答を返せても理解したことにはならないと論じ、チューリングテストだけでは不十分だとする議論の中心にあります。サールが反論した相手は強いAIの立場で、スタンフォード哲学百科は、弱いAIに向けた議論ではなく、機械は考えられないことを示すものでもないと整理しています。
ローブナーコンテストは何ですか?
JDLA公式シラバス(G2024#6〜)のキーワード欄に載っている語です。このページでは、シラバスに載っているという事実の確認にとどめ、内容の詳細は公式テキストなどで確認してください。
