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確率・統計

G検定の疑似相関と偏相関係数:6日分のデータで計算

疑似相関は、第3の変数が2つの変数の両方に影響して、直接の関係がないのに相関が出る現象です。偏相関係数は、その第3の変数の影響を取り除いたうえでの相関です。どちらも、G検定の確率・統計の出題範囲にある語です。このページでは、6日分のアイス販売数、水難事故件数、最高気温で相関係数を計算し、気温を固定すると0.888の相関が0になる過程を確認します。覚えるのは、相関は因果の証明ではないこと、疑似相関は第3の変数が作ること、偏相関係数はその影響を除いた相関であることの3つです。

このページは試験の学習用の整理です。気温・販売数・件数はすべて説明用の架空の例です。

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結論

  1. 疑似相関は、観測されていない第3の要因などのために、関連はあるが因果関係はない状態
  2. 例では、アイス販売数と水難事故件数の相関係数が0.888と高いが、どちらも気温が高い日に増えるだけ
  3. 偏相関係数は、第3の変数の影響を除いた2つの変数の相関。例では気温を除くと0になる
  4. 偏相関係数が0でも、調べていない別の変数の影響や、直線で表せない関係は残りうる
  5. 相関係数が高いことと、片方がもう片方の原因であることは別

疑似相関:関係があるのに原因ではない

Wikipediaは疑似相関を、2つ以上の変数が、偶然または観測されていない第3の要因のために関連しているが、因果関係にはない状態と説明しています。例として挙げられているのは、市のアイスクリーム売上とプールでの溺水の割合が同時に高くなる場合です。アイスが溺水を起こすわけではなく、熱波が両方を起こしたと考えます。この熱波のような隠れた変数を、交絡変数と呼びます。

同じ形のデータを作りました。6日間の、最高気温(Z)、アイスの販売数(X)、水難事故の件数(Y)です。

日最高気温Z(℃)アイス販売数X(個)水難事故件数Y(件)
1日目261200
2日目281503
3日目301703
4日目322103
5日目342204
6日目362605

平均は、気温が31℃、アイスが約188.3個、水難事故が3件です。平均からの差どうしの積の合計は、XとYが380、XとZが950、YとZが28で、平均からの差の2乗の合計は、Xが13,083.3、Yが14、Zが70です。相関係数は、積の合計を、2つの2乗の合計の積の平方根で割って求めます。

組み合わせ記号計算相関係数
アイス販売数 と 水難事故件数r(X,Y)380 ÷ √(13,083.3 × 14)0.888
アイス販売数 と 最高気温r(X,Z)950 ÷ √(13,083.3 × 70)0.993
水難事故件数 と 最高気温r(Y,Z)28 ÷ √(70 × 14)0.894

アイス販売数と水難事故件数の相関係数は0.888で、強い正の相関です。ただし、この2つは気温を通じてつながっているだけで、アイスを売らなければ事故が減るわけではありません。気温が高い日は、アイスもよく売れ、水辺に行く人も増えるからです。

偏相関係数:第3の変数の影響を除く

Wikipediaは偏相関を、一連の制御変数の影響を取り除いたうえでの、2つの確率変数の関連の度合いと説明しています。第3の変数が1つのとき、偏相関係数は次の式で求められます。

偏相関係数 = ( r(X,Y) − r(X,Z) × r(Y,Z) ) ÷ √( (1 − r(X,Z)²) × (1 − r(Y,Z)²) )

上の相関係数を入れます。分子は、0.888 − 0.993 × 0.894 = 0.888 − 0.888 = 0です。分母は、√((1 − 0.985) × (1 − 0.800)) です。丸めない値で計算すると約0.054になります。0 ÷ 0.054 = 0なので、気温の影響を除いたアイス販売数と水難事故件数の偏相関係数は0です。

分子を見ると意味が分かります。XとYの相関0.888のうち、気温を経由して説明できる部分が r(X,Z) × r(Y,Z) = 0.888で、全部でした。相関のすべてが気温経由なら、気温の影響を除いた偏相関係数は0になります。もう一つの読み方として、XとYのそれぞれから、気温で直線的に説明できる分を引いた残りどうしの相関が、偏相関係数に一致します。

なお、この例は、相関のすべてが気温経由になるように数値を選んでいます。実際のデータでは、偏相関係数が0まで下がらず、0.3や0.5のように一部が残ることのほうが普通です。その場合は、第3の変数で説明できる部分を除いても、なお残る関連の強さを読み取ります。

偏相関係数でも言えないこと

偏相関係数は、手元の変数の影響しか除けません。観測していない別の要因が両方に影響していれば、偏相関係数にも見かけの関連が残ります。たとえば、気温を除いても、学校の休みの日にはアイスも水辺の利用も増えるといった別の要因があれば、偏相関係数は0になりません。

また、相関係数も偏相関係数も、直線的な関係の強さを表します。曲線の関係は、相関係数が小さくても強く関連していることがあります。相関係数や偏相関係数が大きいことは、因果関係の証明にはなりません。原因と結果を確かめるには、条件をそろえて比べる実験や、設計した調査が必要です。

機械学習では、特徴量どうしの相関を確認する場面で同じ注意が必要です。目的変数と相関が高い特徴量でも、第3の変数を通じた見かけの関連のことがあります。そのような特徴量で作ったモデルは、データの取り方が変わると当たらなくなることがあります。

試験での区別

  • 「第3の変数が両方に影響して、見かけの関連が出る」なら、疑似相関(交絡)
  • 「第3の変数の影響を取り除いた、2変数の相関」なら、偏相関係数
  • 「2つの変数の直線的な関連の強さ(−1から1)」なら、相関係数
  • 「一方が増えると他方が増える関係」だけで原因を断定する選択肢は、誤りの可能性が高い

集計の仕方で全体の傾向と層ごとの傾向が逆になる現象は、疑似相関とは別のシンプソンのパラドックスです。第3の変数に注意が必要という点は共通ですが、用語は区別して覚えます。

よくある質問

疑似相関と、因果関係がある相関は、データだけで見分けられますか?

相関係数の大きさだけでは見分けられません。この例のアイス販売数と水難事故件数は、相関係数が0.888と高い値でした。見分けるには、気温のような第3の変数を探し、その影響を除いても関連が残るかを調べます。残らなければ疑似相関の疑いが強く、残っても因果とは決められず、実験や設計された調査が必要です。

偏相関係数が0なら、2つの変数は無関係ですか?

調べた第3の変数の影響を除くと、直線的な関連が残らないという意味です。ほかの変数が関わっている可能性や、直線では表せない関係は、偏相関係数からは分かりません。この例の0は、気温だけを除いた結果です。

疑似相関と交絡は、同じ意味ですか?

ほぼ同じ場面を指しますが、見る角度が違います。Wikipediaは疑似相関を、偶然または観測されていない第3の要因のために、関連はあるが因果関係はない状態としています。第3の要因は、共通の応答変数、交絡因子、潜在変数などとも呼ばれます。G検定の対策では、第3の変数が両方に影響して見かけの相関を作る、と押さえておけば足ります。

偏相関係数は、手計算で出す問題が出ますか?

偏相関係数はJDLAの出題範囲のキーワードに入っています。G検定は選択式なので、式そのものより、第3の変数の影響を除いた相関であることを選ぶ形が中心と考えられます。式 (r(X,Y) − r(X,Z)×r(Y,Z)) ÷ √((1−r(X,Z)²)(1−r(Y,Z)²)) は、意味を理解する材料として知っておくと役立ちます。

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執筆: ミナト編集部(運営者情報を見る)