第4章 統計・推定・検定(因果推論)
DS検定の因果推論(交絡因子・選択バイアス)
DS検定(リテラシーレベル)の公式スキルチェックリストには、因果推論の★1つ星の項目が3つあります。群に分けて比べること、交絡因子を考慮すること、選択バイアスが生じ得ることの3つです。言葉の意味だけを覚えても、数字を見せられたときに「この差は効果なのか」を判断しにくいので、このページでは架空の集計を使って、差が消える様子を計算で確認します。因果を語る前に、比べる2つの群が、処置以外の点で似ているかを確かめるのが基本です。
このページは試験の学習用の整理です。集計に出てくる人数と購入数はすべて架空です。
公式情報の確認
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結論
- 処置(施策や薬など)の効果は、処置を受けた群(処置群)と受けない群(対照群)に分けて比べて測る
- 処置と結果の双方に影響する変数が交絡因子で、考慮しないと、見かけの差を効果と取り違える
- 分析対象を決める段階で、途中離脱者や欠損データを除くと選択バイアスが生じることがある
- 相関があっても因果があるとは限らない。判断の前に、第3の変数と対象の選び方を確認する
処置群と対照群
公式チェックリストは、ある特定の処置に対して、その他の変数や外部の影響を除いた効果を測定するには、処置群(実験群)と対照群に分けて比較・分析する必要があることを知っている、としています。たとえば、新しい案内メールの効果を知りたいとき、メールを送った人だけの購入率を見ても、メールのせいか、もともと買う人が多かったのかが分かりません。メールを送らなかった人の購入率が比べる基準になります。
群の分け方にも注意が要ります。希望者にだけ送ると、もともと意欲の高い人が処置群に集まります。200人を乱数で100人ずつに分けるように、特性が偏らない割り当てにする方法は、★2つ星の項目(ランダム化比較試験や層別化による群の設計)で扱われます。1つ星では、群に分けて比べる必要があることを知っていれば足ります。
交絡因子を数字で確認
公式チェックリストは、ある変数が他の変数に与える影響を推定したいとき、その双方に影響を与える共変量(交絡因子)の考慮が重要だと理解していること、としています。例として、喫煙の有無と疾病発症の双方に年齢が影響している場合が挙がっています。ここでは、架空のアプリの利用と購入の集計で確認します。
400人の顧客を、アプリ利用者200人と非利用者200人に分けて、購入した人数を数えました。年代は20代と50代の2つです。
| 区分 | アプリ利用者の購入率 | 非利用者の購入率 | 差 |
|---|---|---|---|
| 20代 | 150人中60人(40%) | 50人中20人(40%) | 0ポイント |
| 50代 | 50人中5人(10%) | 150人中15人(10%) | 0ポイント |
| 全体 | 200人中65人(32.5%) | 200人中35人(17.5%) | 15ポイント |
全体だけを見ると、利用者は65÷200=32.5%、非利用者は35÷200=17.5%で、15ポイントの差があり、アプリに購入を増やす効果があるように見えます。ところが年代別に分けると、20代はどちらも40%、50代はどちらも10%で、差は0です。アプリの利用者に購入率の高い20代が多く、非利用者に購入率の低い50代が多かったため、年代が差を作っていました。このとき年代が、アプリの利用と購入の双方に影響する交絡因子です。
問題文で「全体では差があるが、層に分けると差がない」と示されたら、交絡因子を考慮していない比較だと読めます。層に分けて比べるのは、処置以外の条件をそろえて比べる考え方の1つです。
選択バイアス
公式チェックリストは、分析の対象を定める段階で選択バイアスが生じる可能性があることを理解していること、としています。例として、途中離脱者を除外するときと、欠損データを除外するときが挙がっています。
架空の例です。30日間の学習プログラムに100人が参加し、40人が途中でやめました。最終日に満足度を答えたのは、完了した60人だけで、平均は4.2点(5点満点)でした。この4.2点を「参加者の満足度」として報告すると、やめた40人の意見が入っていません。満足できなかった人ほどやめている可能性があるので、4.2点は実際より高く出ているおそれがあります。
対策の第一歩は、除いた人数と理由を確認し、報告に書くことです。「100人中60人の回答」と「完了者のみの平均」を分けて示せば、読み手は偏りの可能性を踏まえて判断できます。
DS検定の学習に使う書籍(Amazon)
試験範囲を通して読むときの1冊です。読んだ章は、このサイトの章別問題で確かめられます。
よくある質問
DS検定で因果推論はどこまで必要ですか?
公式スキルチェックリスト(data_science.csv)の因果推論で★1つ星なのは3項目です。処置群と対照群に分けて比較する必要があることを知っていること、双方に影響する共変量(交絡因子)の考慮が重要だと理解していること、分析対象を定める段階で選択バイアスが生じ得ると理解していることです。ランダム化比較試験による群の設計、平均処置効果(ATE)、傾向スコアは★2つ星の項目です。
相関関係と因果関係は、どう違いますか?
相関関係は、2つの変数が一緒に動く関係です。因果関係は、一方を変えるともう一方が変わる関係です。公式チェックリストの統計数理基礎に「相関関係と因果関係の違いを説明できる」が★1つ星で入っています。このページの例のように、第3の変数(年代)が両方に影響していると、相関があっても因果は成り立たないことがあります。
交絡因子とは何ですか?
ある変数が別の変数に与える影響を調べたいときに、その双方に影響を与える変数のことです。公式チェックリストは、喫煙の有無と疾病発症の双方に年齢が影響している場合を例に挙げています。交絡因子を考慮しないと、見かけの差を効果と取り違えます。
選択バイアスは、どんな場面で起きますか?
公式チェックリストは、分析の対象を定める段階で生じる可能性があるものとして、途中離脱者を除外するときと、欠損データを除外するときを例に挙げています。残った人だけを集計すると、除いた人たちとの違いの分だけ結果が偏ります。
