第5章 データ準備・可視化技法とモデル化(データ準備)
DS検定の標本誤差と実験計画法の3原則
DS検定(リテラシーレベル)の公式スキルチェックリストには、データ準備の項目があります。そのうち★1つ星に、標本誤差とサンプリングバイアスの違いと、実験計画法の3原則が入っています。標本は、調べる対象全体(母集団)から取り出した一部のデータです。このページでは、2つの誤りの違いと、3原則の意味を、数字の例で確かめます。標本誤差は「たまたま」のずれ、サンプリングバイアスは「選び方」の偏りです。
このページは試験の学習用の整理です。数字はすべて説明用の架空の値です。
この記事の目次
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結論
- 標本誤差は、標本が母集団の一部であるために生じる偶然のずれ。サンプルを増やすと小さくなる
- サンプリングバイアスは、標本の選び方の偏りで生じるずれ。サンプルを増やしても残る
- 比率0.5・信頼水準95%の近似では、サンプルサイズ100・400・1,600で標本誤差は約9.8%・約4.9%・約2.45%。4倍にすると半分になる
- 実験計画法の3原則は、反復(繰り返す)・無作為化(ランダムに割り当てる)・局所管理化(条件の近いブロックに分ける)
標本誤差とサンプリングバイアスの違い
どちらも「標本から母集団を見たときのずれ」ですが、原因が違います。
- 標本誤差:無作為に選んでも、一部しか調べないために、たまたま生じるずれ。調べる人数を増やすと小さくなる
- サンプリングバイアス:標本の選び方に偏りがあるために、一方向にずれること。人数を増やしても消えない
たとえば、全国の会社員を対象に「通勤にかかる時間」を調べるとします。無作為に選んだ400人の平均が、全体の平均と少し違うのは、標本誤差です。一方、東京駅の改札前でだけ調べると、都心に通う人ばかりが集まり、全国の会社員より通勤が長めに出ます。これがサンプリングバイアスです。標本誤差は偶然、サンプリングバイアスは選び方が原因なので、直し方も別です。前者は人数を増やして減らし、後者は選び方そのものを無作為にするなど、改めて直します。
サンプルサイズと標本誤差の計算
公式チェックリストの★★には、サンプルサイズを見て、信頼水準95%のときの標本誤差のレベルを概ね判断できることもあります。ここでは、賛成の割合を調べるアンケートで、割合が0.5のときの近似式を使います。標本誤差(95%)≒ 1.96×√(0.5×0.5÷サンプルサイズ)です。
| サンプルサイズ | √(0.25÷n) | 標本誤差(×1.96) |
|---|---|---|
| 100人 | 0.05(5%) | 約9.8% |
| 400人 | 0.025(2.5%) | 約4.9% |
| 1,600人 | 0.0125(1.25%) | 約2.45% |
100人から400人へ4倍にすると、誤差は9.8%から4.9%へ半分になります。400人から1,600人へ4倍にしても、半分の2.45%です。サンプルサイズを4倍にすると、標本誤差は半分になります。半分にするのに4倍の人数が要るので、人数を増やすほど、誤差を減らす効果は小さくなります。なお、この計算は、無作為に選んだときの偶然のずれだけを表します。選び方の偏りであるサンプリングバイアスは、この数字に含まれません。
実験計画法の3原則
実験計画法は、効果を正しく比べられるように、実験のやり方を設計する考え方です。公式チェックリストの★1つ星は、その基本的な3原則(局所管理化、反復、無作為化)を説明できることです。
| 原則 | やること | 目的 |
|---|---|---|
| 反復 | 同じ条件の実験を複数回行う | 偶然による誤差の大きさを評価する |
| 無作為化 | 処置をランダムに割り当てる | 考慮していない要因の影響を、特定の処置に偏らせない |
| 局所管理化 | 条件の近いブロックに分けて管理する | 全体を均一にできないとき、ブロック内で比べて場所などの影響をおさえる |
3原則は、偶然のばらつきを測る(反復)、偏りを防ぐ(無作為化)、場所などの差を除く(局所管理化)の3つの役割に分かれます。3原則は、フィッシャーの三原則とも呼ばれます。
畑の肥料の例で3原則を当てはめる
肥料AとBで、作物の収穫量を比べる実験をします。畑は8つの区画に分かれていて、東側の4区画は日当たりが良く、西側の4区画は日当たりが悪いとします。
- 悪い設計:東の4区画にA、西の4区画にBを使う。収穫量の差が、肥料の差なのか日当たりの差なのか分からない
- 局所管理化:東の4区画と西の4区画を、それぞれ1つのブロックとして扱い、各ブロックの中でAとBを比べる
- 反復:各ブロックの中で、AとBをそれぞれ2区画ずつに使う。同じ条件を複数回行うので、偶然のばらつきを評価できる
- 無作為化:各ブロックの4区画のうち、どの2区画にAを使うかを、くじやランダムな数で決める。人が日当たりの良い区画を選ぶ、といった偏りを防ぐ
局所管理化でブロックに分け、ブロックの中で反復し、割り当ては無作為化で決めます。この例では、AとBがそれぞれ東で2区画、西で2区画の合計4区画ずつになり、日当たりの影響がAにもBにも同じように入ります。
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よくある質問
DS検定で、標本誤差と実験計画法はどこまで必要ですか?
公式スキルチェックリスト(data_science.csv)の★1つ星は、標本誤差とサンプリングバイアス、およびそれぞれの違いを説明できること、実験計画法の基本的な3原則(局所管理化、反復、無作為化)を説明できることです。
標本誤差は、サンプルを増やせば小さくなりますか?
はい。標本誤差は、サンプルサイズが大きいほど小さくなります。比率0.5・信頼水準95%の近似では、サンプルサイズを4倍にすると、標本誤差は半分になります。
サンプルを増やせば、サンプリングバイアスも消えますか?
消えません。サンプリングバイアスは、標本の選び方の偏りが原因です。偏った集め方のまま人数を増やしても、偏りは残ります。無作為に選ぶ、母集団の構成に合わせて選ぶなど、選び方を直す必要があります。
3原則の「局所管理化」は、どんなときに使いますか?
実験全体の条件を均一にそろえられないときに使います。条件の近いものをブロックにまとめ、ブロックの中で処置を比べると、場所や時間による差の影響を減らせます。
