第4章 統計・推定・検定(統計数理基礎)
DS検定の片対数グラフ・両対数グラフの使い分け
DS検定(リテラシーレベル)の統計数理基礎には、指数関数とlog関数の関係を理解して、片対数グラフ、両対数グラフ、対数化していないグラフを使い分ける項目があります。このページでは、毎月2倍になる利用者数と、辺の長さと面積の関係を例に、どの場合にどのグラフが直線になるかを確かめます。倍々で増えるなら片対数、何倍かの関係なら両対数、足し算で増えるならそのままのグラフです。
このページは試験の学習用の整理です。数値はすべて説明用の架空の例です。
この記事の目次
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結論
- log関数は、指数関数の逆の働き。10の3乗が1,000なら、1,000の常用対数は3
- 片対数グラフは縦軸だけ対数。毎月2倍のように倍率が一定なら、直線になる
- 両対数グラフは縦横とも対数。べき乗の関係なら直線になり、傾きが指数になる
- 足し算で変わるデータは、対数化しないグラフで直線になる
- 対数は正の値にしかとれない。0や負の値を含むデータには、そのままでは使えない
指数関数とlog関数の関係
10を3回掛けると10×10×10=1,000です。これを指数で書くと10の3乗=1,000で、「10を何乗すると1,000になるか」を答えるのが常用対数です。1,000の常用対数は3と書きます。log関数は、指数関数の逆の働きをします。
1・10・100・1,000・10,000の常用対数は、0・1・2・3・4です。値が10倍になるごとに、対数は1ずつ増えます。対数にすると、掛け算が足し算に変わります。たとえば100×1,000=100,000で、対数は2+3=5です。桁が大きく違う値を同じ目盛りに載せたいとき、対数が役に立ちます。
片対数グラフ:毎月2倍の利用者数
サービスの利用者数が、0か月目の100人から毎月2倍に増えるとします。ふつうのグラフと、縦軸を対数にしたグラフで、見え方を比べます。2の常用対数は約0.301なので、2倍になるたびに対数は約0.301ずつ増えます。
| 時点 | 利用者数 | 前の月からの増加 | 利用者数の常用対数 |
|---|---|---|---|
| 0か月目 | 100人 | — | 2.000 |
| 1か月目 | 200人 | +100人 | 2.301 |
| 2か月目 | 400人 | +200人 | 2.602 |
| 3か月目 | 800人 | +400人 | 2.903 |
| 4か月目 | 1,600人 | +800人 | 3.204 |
ふつうのグラフでは、増加が100人、200人、400人、800人と毎月大きくなるため、曲線が急に立ち上がります。縦軸を対数にすると、対数は2.000、2.301、2.602、2.903、3.204と毎月ほぼ0.301ずつ増えるので、点が一直線に並びます。片対数グラフで直線になるのは、一定の倍率で増え続ける指数関数的な変化です。直線の傾きが急なほど、倍率が大きい増え方です。
両対数グラフ:辺の長さと面積
正方形の辺の長さと面積は、面積=辺×辺で、べき乗(2乗)の関係です。辺が2倍、4倍、8倍と増えると、面積は4倍、16倍、64倍になります。2を底にした対数で並べます。
| 辺の長さ | 面積 | 辺の対数(底は2) | 面積の対数(底は2) |
|---|---|---|---|
| 1 | 1 | 0 | 0 |
| 2 | 4 | 1 | 2 |
| 4 | 16 | 2 | 4 |
| 8 | 64 | 3 | 6 |
辺の対数が1増えるたびに、面積の対数は2増えます。両方の軸を対数にしたグラフでは、点が傾き2の直線に並びます。両対数グラフで直線になるのはべき乗の関係で、直線の傾きが指数(ここでは2乗の2)になります。片対数グラフの縦軸だけを対数にした図では、この例は直線になりません。
3種類のグラフの使い分け
公式の★1つ星は、この3つを適切に使い分けることです。データの増え方で選びます。
| グラフ | 向いているデータ | 直線になる意味 |
|---|---|---|
| 対数化しない(ふつうのグラフ) | 毎回の増え方が同じくらい(足し算で変わる)。気温の推移など | 直線になるのは、一定の量ずつ増減するとき |
| 片対数グラフ(縦軸だけ対数) | 毎回同じ倍率で増える・減る(掛け算で変わる)。利用者数、感染者数など | 直線になるのは、指数関数的に変化するとき |
| 両対数グラフ(縦軸も横軸も対数) | 一方が何倍になると他方が何倍になるか(べき乗の関係)。辺の長さと面積など | 直線になるのは、べき乗の関係。傾きが指数になる |
まず、データが足し算で変わるのか、掛け算で変わるのか、べき乗の関係なのかを見ます。対数の目盛りは、1から10と10から100が同じ長さになるため、目盛りの値を読むときは、等間隔でない点に気をつけます。
DS検定の学習に使う書籍(Amazon)
試験範囲を通して読むときの1冊です。読んだ章は、このサイトの章別問題で確かめられます。
よくある質問
DS検定で、片対数グラフと両対数グラフはどこまで問われますか?
公式スキルチェックリスト(data_science.csv)の★1つ星は、指数関数とlog関数の関係を理解し、片対数グラフ、両対数グラフ、対数化されていないグラフを適切に使いわけられることです。グラフを自分で作る手順より、どの関係のときにどのグラフを選ぶかを説明できることが中心になります。
対数をとると、なぜ値が扱いやすくなるのですか?
桁が大きく違う値を、同じ間隔で並べられるからです。1・10・100・1,000・10,000の常用対数は0・1・2・3・4で、等間隔になります。ふつうの目盛りでは、1と10の差は10,000の隣では見分けられません。
0や負の値は、対数グラフにできますか?
できません。対数は正の値に対してだけ定義されます。0を含むデータでは、1を足してから対数をとるなどの工夫を使うことがありますが、見え方が変わるため、何をしたかをグラフに書き添えます。
機械学習で、対数変換はどんなときに使いますか?
売上や人口のように、右に長く裾を引く偏った分布を整えたいときに、特徴量へ対数変換をかけます。公式チェックリストの数値データの特徴量化の項目(★1つ星)にも「対数変換」が含まれています。値が大きいデータの差を縮め、小さい値の差を相対的に広げる働きがあります。
