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第3章 RAG(検索拡張生成)

RAG(検索拡張生成)とは(仕組みとチャンク)

RAG(Retrieval-Augmented Generation、検索拡張生成)は、2026年2月適用の現行シラバスで第3章に追加され、2027年2月適用の新シラバスでは学習項目が6つに広がります。RAGは、外部の文書を検索して、その内容を根拠にLLM(大規模言語モデル、文章を生成するAI)が回答を作る仕組みです。

このページは、公式シラバス、原論文(arXiv:2005.11401)、Microsoft Learnの資料の範囲で、仕組みと用語を整理しています。特定の製品の使い方ではなく、試験対策としての用語の整理です。

公式情報の確認

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結論

  1. RAGは、外部の文書を検索し、その内容を根拠にLLMが回答を作る仕組み
  2. 準備では文書をチャンクに分けて埋め込みに変え、質問時にはその中から関係するものを探す
  3. 現行シラバスの詳細キーワードは、RAG・チャンク・ベクトルデータベースの3語
  4. リランキング、ハイブリッド検索、Agentic RAGなどが増えるのは、2027年2月適用の新シラバスから

RAGの定義

RAGという名前は、Lewisらの2020年の論文「Retrieval-Augmented Generation for Knowledge-Intensive NLP Tasks」に由来します。論文は、事前学習した言語モデルは事実知識をパラメータに蓄えるものの、知識へのアクセスと精密な操作には限りがあり、判断の根拠の提示や知識の更新が未解決だと述べます。そこで、パラメータに蓄えた記憶と、外部の記憶を組み合わせる生成モデルを提案し、RAGと呼びました。論文の外部の記憶は、Wikipediaのベクトル索引です。

Microsoft Learnは、RAGを、独自のコンテンツに応答を接地(グラウンディング)させてLLMの能力を拡張するパターンと説明しています。LLMが持っている知識だけに頼らず、手元の文書を根拠に回答させる、と押さえます。LLMに何を渡して答えさせるかという考え方はコンテキストエンジニアリングとはにも整理しています。

一次資料: Lewisら「Retrieval-Augmented Generation for Knowledge-Intensive NLP Tasks」(arXiv:2005.11401)/Microsoft Learn「Retrieval-augmented generation (RAG) in Azure AI Search」

RAGの仕組み(準備と質問時)

Microsoft Learnの説明を、3つの段階に並べます。

段階やること補足
準備大きな文書をチャンクに分け、埋め込み(ベクトル)に変えて、検索できる形で保管するMicrosoft Learnは、インデックス作成時に文書を分割し、ベクトル化の手順で埋め込みを作ると説明する
質問時の検索質問に関係するチャンクを、キーワード検索やベクトル検索で探すベクトル検索は、文言が同じでなくても意味の近い内容を探せる。両方を組み合わせるのがハイブリッド検索
回答の生成見つけたチャンクを根拠としてLLMに渡し、その内容にもとづいて回答させるMicrosoft Learnは、独自のコンテンツに応答を接地(グラウンディング)させるパターンと説明する

「分けて保管する準備」と「質問のたびに探して渡す」の2つに分けると、選択肢の説明を読み分けやすくなります。Microsoft Learnは、RAGの課題として、質問の意図の理解、複数のデータ源、トークン数の制約、応答時間、アクセス制御を挙げています。Microsoft Learnの例では、約128kトークンを受け取れるモデル(GPT-4)に1万ページの文書をそのまま渡すと無駄が多く、関係する部分だけを選んで渡す必要があります。

チャンク・埋め込み・ベクトルデータベース

3つの用語は、準備の段階で出てきます。役割を1行ずつ並べます。

用語意味覚え方
チャンク大きな文書を分けた小さな単位。検索や回答の材料はこの単位で扱う固定長で分けるときは、隣り合うチャンクの一部を重ねる方法がある(Microsoft Learn)
埋め込み(Embedding)文章の意味を数値の並び(ベクトル)に変えたものベクトル検索はこれを使い、言葉が違っても意味が近い内容を探す
ベクトルデータベース埋め込みを保管し、近いものを探せるようにする置き場2026年版・2027年版のどちらのシラバスにも詳細キーワードとして載る

チャンクは「分けた単位」、埋め込みは「意味を数値にしたもの」、ベクトルデータベースは「それを置いて探す場所」です。チャンクの分け方の一つに、固定の長さで分けて隣り合う部分を重ねる方法があります。Microsoft Learnのガイドによると、各チャンクがSトークン、重ねる部分がOトークンなら、隣のチャンクが新しく加える位置はS-Oトークンです。試験で計算が問われるとは限らないため、「重ねて分ける方法がある」という点を押さえれば足ります。

2026年版と2027年版の違い

公式シラバスは、版によってRAGの詳細キーワードが大きく違います。受験する回の版を先に確かめてください。

版RAGの扱い
2026年2月適用版(現行)詳細キーワードはRAG、チャンク、ベクトルデータベースの3語。学習項目はRAGとは、歴史と発展、仕組みとメリット、ユースケース
2027年2月適用版RAGが必要とされる理由を含む6項目に広がり、ハルシネーション、埋め込み、意味的検索、リランキング、ハイブリッド検索、Advanced RAG、クエリの書き換え、Agentic RAG、Graph RAG、知識グラフ、メタデータ、データサイロ、正確性、最新性などが詳細キーワードに載る

リランキング、クエリの書き換え、Agentic RAGなどの発展形は、2027年2月適用の版から詳細キーワードに載ります。Microsoft Learnは、検索の関連性を上げる手段として、キーワード検索とベクトル検索を組み合わせたハイブリッド検索と、意味にもとづく再順位づけを挙げます。また、従来の単一の検索に対し、複雑な質問を複数のサブクエリに分けて並列に検索する方式(agentic retrieval)を発展形として説明します。ただし、公式シラバスは用語を並べるだけで、定義文を載せていません。

RAGでエージェントが検索を使う場面はAIエージェントとはに、調査を自動で進める使い方はディープリサーチとはに整理しています。

シラバスとの対応

RAGは、現行・新シラバスのどちらでも第3章に置かれています。このページの内容に関わる項目は次のとおりです。

場所内容
2026年版 第3章 RAG/学習目標RAGの歴史や仕組みなどについて理解する
2027年版 第3章 RAG(検索拡張生成)/学習目標RAGが必要とされる理由と仕組み、発展形、ユースケース、主なツールを理解する
2027年版 学習項目RAGとは、必要とされる理由、仕組み、発展、ユースケース、主なRAGツール・フレームワーク

章立ての変更点は2027年2月試験の新シラバスに、第3章の演習は第3章の問題を解くから取り組めます。試験での出題を予想するものではありません。

よくある質問

RAGとは、一言でいうと何?

外部の文書を検索して、その内容を根拠にLLMに回答を作らせる仕組みです。原論文は、パラメータに蓄えた記憶と外部の記憶を組み合わせる生成モデルをRAGと呼びました。

なぜRAGが必要とされるのですか?

原論文は、言語モデルが知識へアクセスして精密に扱う力に限りがあり、判断の根拠の提示と知識の更新が未解決の課題だと述べています。外部の記憶を組み合わせることでその解決を狙います。2027年版のシラバスにも、ハルシネーション、正確性、最新性が詳細キーワードとして並びます。

チャンクとは何ですか?

大きな文書を分けた小さな単位です。Microsoft Learnは、インデックス作成時に大きな文書を分けることで、部分ごとに検索の照合ができると説明しています。

RAGに使うデータは何ですか?

Microsoft Learnは、自社の文書などの独自のコンテンツに応答を接地させるパターンと説明しています。複数のデータ源にまたがる場合や、アクセス制御が課題になる点も挙げています。

Agentic RAGはどんなものですか?

2027年版のシラバスで詳細キーワードに載りますが、定義文はありません。Microsoft Learnは、複雑な質問を複数のサブクエリに分けて並列に検索する方式を、従来の単一の検索の発展として説明しています。

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執筆: ミナト編集部(運営者情報を見る)

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