AIと権利
肖像権とパブリシティ権の違い(最高裁判決で整理)
肖像権とパブリシティ権は、生成AIパスポートの公式シラバスに並ぶ権利の用語です。肖像権は撮影などから私生活の自由を守る考え方、パブリシティ権は肖像等の商業的価値を守る権利です。
このページは、2つの最高裁判決の原文の範囲で、違い、侵害になる使い方、出る版を整理しています。
この記事の目次
公式情報の確認
試験日、料金、申込条件、試験方式など変動する情報は、公式情報を最終確認してください。 当サイトの一次情報確認日: 2026-08-31。
試験の出題範囲・実施要項は変動するため、受験前に公式情報を確認してください。
結論
- 肖像権は、承諾なしにみだりに容ぼう・姿態を撮影されない自由として、京都府学連事件の判決が示した
- パブリシティ権は、肖像等の顧客吸引力を排他的に利用する権利で、ピンク・レディー事件の判決が示した
- パブリシティ権の侵害は、専ら顧客吸引力の利用を目的とするといえる場合に認められる
- 2027年2月適用版は第4章のリスクと権利の項目、現行の2026年版も第4章の権利の項目に載る
2つの権利の違い
守るものが違うので、判決が出た場面も違います。
| 見る点 | 肖像権 | パブリシティ権 |
|---|---|---|
| 代表的な判決 | 京都府学連事件(最高裁昭和44年12月24日大法廷判決) | ピンク・レディー事件(最高裁平成24年2月2日第一小法廷判決) |
| 守るもの | 私生活上の自由。承諾なしに、みだりに容ぼう・姿態を撮影されない自由 | 肖像等が持つ顧客吸引力。これを排他的に利用する権利 |
| 判決の根拠 | 憲法13条 | 肖像等それ自体の商業的価値に基づき、人格権に由来する権利の一内容 |
| 判決の場面 | 警察官による個人の撮影 | 歌手の写真を週刊誌の記事に使った事案 |
肖像権は「撮られない自由」、パブリシティ権は「商売に使う価値」と、守るものを言い分けると取り違えません。ピンク・レディー事件の判決は、パブリシティ権が人格権に由来することの説明で、肖像については京都府学連事件の判決などを参照しています。
一次資料: 裁判所「最高裁判所判例集」の昭和40(あ)1187と平成21(受)2056の判決文
パブリシティ権の侵害になる使い方
判決は、肖像等を無断で使う行為が、次のように専ら顧客吸引力の利用を目的とするといえる場合に、パブリシティ権を侵害するものとして不法行為法上違法になると述べます。次の3つは、判決が「など」とつけて挙げた例です。
| 番号 | 判決が挙げる使い方 |
|---|---|
| 1 | 肖像等それ自体を独立して鑑賞の対象となる商品等として使用する |
| 2 | 商品等の差別化を図る目的で、肖像等を商品等に付す |
| 3 | 肖像等を商品等の広告として使用する |
3つは例示で、判断の軸は「専ら顧客吸引力の利用を目的とするか」です。本件では、週刊誌の記事に使った写真は、専ら顧客吸引力の利用を目的とするとはいえないとして、違法性が否定されました。肖像等は時事報道や論説にも使われるため、使い方で結論が変わります。
取り違えやすい3つの点
- 京都府学連事件の判決は、警察官による撮影の事案です。判決は、正当な理由もないのに警察官が個人の容ぼう等を撮影することは許されないと述べ、あわせて、この自由も公共の福祉のため必要のある場合には相当の制限を受けるとします。承諾のない撮影がいつでも違法になる、という意味ではありません。
- パブリシティ権は、ピンク・レディー事件の判決で「顧客吸引力を排他的に利用する権利」と定義され、人格権に由来する権利の一内容とされました。判決の言葉では、パブリシティ権は人格権に由来するという位置づけです。
- パブリシティ権は、顧客吸引力を有する人の肖像等を扱います。判決は肖像等の使用が時事報道、論説、創作物にも及ぶことを認め、その使用を正当な表現行為等として受忍すべき場合もあるとします。
肖像権は撮影の場面、パブリシティ権は商業利用の場面、と判決の場面を結びつけて覚えます。
生成AIにあてはめる読み方
2つの判決は、生成AIが広まる前の事案で、AIが作った画像は扱っていません。試験では、判決が示した基準を、AIが作った画像や文章にあてはめて考えます。
- 実在の人物の顔を学習や入力に使うとき、本人の承諾があるか(判決の外で、シラバスが「本人の同意」として挙げる観点)
- 生成した人物像を、商品や広告に載せて使うか。載せる場合は、判決の3つの例に近いか
- 用途が報道や論説など、顧客吸引力の利用が目的でないものか
確認する順序は、本人の承諾、使う場面、商品・広告かどうかです。個別の画像が侵害になるかは、事案ごとに変わるため、このページでは判断しません。顔や声を似せる手口はディープフェイクとはに整理しています。
シラバスのどこに出るか
公式シラバスでは、版によって置かれる章が違います。
| 場所 | 内容 |
|---|---|
| 2027年版(2027年2月試験より適用) 第4章 リスク 「生成AIの代表的リスク」 | 学習項目に「肖像権・パブリシティ権侵害リスク」があり、詳細キーワードに肖像権、パブリシティ権が並ぶ |
| 2027年版 同じ第4章 中項目「著作権・知的財産・生成物の権利」 | 学習項目に「肖像権・パブリシティ権」があり、詳細キーワードに顧客吸引力、本人の同意が載る |
| 2026年版(現行) 第4章 情報リテラシー・基本理念とAI社会原則 中項目「制作物に関わる権利」 | 詳細キーワードに、著作権、特許権、商標権、意匠権と並んで肖像権、パブリシティ権が載る |
どちらの版でも語は載るため、版を問わず、2つの権利の守るものの違いを押さえます。章立ての変更は2027年2月試験の新シラバスに整理しています。著作権側の用語はAIと著作権で扱っています。試験での出題を予想するものではありません。
よくある質問
肖像権は、法律に書いてある権利ですか?
京都府学連事件の判決は、承諾なしにみだりに容ぼう・姿態を撮影されない自由を認めたうえで、「これを肖像権と称するかどうかは別として」と述べています。判決は、肖像権という名前の権利を正面から認めたとは述べていません。
パブリシティ権は、有名人だけの権利ですか?
ピンク・レディー事件の判決は、肖像等が商品の販売等を促進する顧客吸引力を有する場合があるとして、その顧客吸引力を排他的に利用する権利をパブリシティ権と呼びます。顧客吸引力の有無が出発点です。
有名人の写真を無断で使えば、すべてパブリシティ権の侵害ですか?
違います。判決は、専ら肖像等の有する顧客吸引力の利用を目的とするといえる場合に侵害になると述べます。ピンク・レディー事件では、週刊誌の記事に使った写真は、専ら顧客吸引力の利用を目的とするとはいえないとして、違法性が否定されました。
2つの権利は、どちらの版のシラバスにも載っていますか?
載っています。2027年2月試験より適用の版は第4章のリスクと権利の項目に、現行の2026年版は第4章の権利の項目に、肖像権とパブリシティ権の語が並びます。置かれる項目が変わるため、受験回の版で確認してください。
判決は、生成AIの画像を扱っていますか?
扱っていません。2つの判決はいずれも、生成AIが広まる前の事案です。生成AIパスポートでは、判決が示した基準を、AIが作った画像にあてはめて考える力が問われます。個別の事案が侵害になるかは、このページでは判断しません。

