大項目7 AIの社会実装に向けて
G検定のAIプロジェクトの進め方|CRISP-DMとアジャイル
G検定の大項目7「AIの社会実装に向けて」には、AIプロジェクトの進め方、データの整備と運用、AIの説明性・公平性の3つの中項目があります。進め方の問題は、開発プロセスの標準、開発手法、実行環境、外部連携の4つに分けて読むと、用語の混同を防げます。
このページは、CRISP-ML(Q)の原論文、AWSの開発手法とAPIの解説、アジャイル宣言の原則、Docker・Jupyterの公式ページ、経済産業省の資料を読み直し、選択肢で間違えやすい違いだけを取り出しています。
この記事の目次
公式情報の確認
試験日、料金、申込条件、試験方式など変動する情報は、公式情報を最終確認してください。 当サイトの一次情報確認日: 2026-10-02。
試験の出題範囲・実施要項は変動するため、受験前に公式情報を確認してください。
結論
- CRISP-ML(Q)は、CRISP-DMの2つのフェーズを1つに統合し、運用後のMonitoring & Maintenanceを足したもの。どちらも6フェーズ
- ウォーターフォールは順番に進め、完了後の変更が難しい。アジャイルは短いサイクルで小さく変えながら進める
- Dockerは実行環境をコンテナにまとめる道具、Jupyter Notebookは計算のドキュメントを作って共有する道具
- REST APIは、Web APIの中の一つのスタイル。コーパスは、研究用の情報を付けて体系的に集めた言葉のデータベース
大項目7の中身
当サイトの出題範囲表にある大項目7のキーワードを、3つの中項目に分けて読みます。右端は、このページで確認した要点です。
| 中項目 | キーワード欄の主な語 | 要点 |
|---|---|---|
| AIプロジェクトの進め方 | CRISP-DM、CRISP-ML、アジャイル、ウォーターフォール、Docker、Jupyter Notebook、Web API、REST API、オープン・イノベーション、産学連携 | 進め方の標準、開発手法、実行環境、外部連携の4つに分けると混ざらない |
| データの整備と運用 | アノテーション、データリーケージ、オープンデータセット、コーパス | コーパスは、研究用の情報を付けて体系的に集めた言葉のデータベース |
| AIの説明性・公平性 | 説明可能AI(XAI)、LIME、SHAP、アルゴリズムバイアス、センシティブ属性 | 解釈性の手法と公平性の考え方は別のページにまとめている |
3つ目の中項目は、解釈性とXAIとAI倫理・AIガバナンスの整理に分けて書いています。大項目7の問題は第7章で演習できます。10大項目全体の位置づけは出題範囲の整理にまとめています。
CRISP-DMとCRISP-ML(Q)の違い
CRISP-ML(Q)は、2020年にarXivで公開された論文(Machine Learning and Knowledge Extraction誌の2021年掲載)で、CRISP-DMを拡張したプロセスモデルとして提案されました。違いは2点だけです。1つ目は、ビジネスの理解とデータの理解を1つのフェーズにまとめたこと。2つ目は、運用後のMonitoring & Maintenanceを新しく設けたことです。
| 観点 | CRISP-DM | CRISP-ML(Q) |
|---|---|---|
| ビジネスとデータの理解 | 「Business Understanding」と「Data Understanding」の2つのフェーズに分かれている | 「Business & Data Understanding」の1つのフェーズに統合 |
| データ準備からデプロイまで | Data Preparation・Modeling・Evaluation・Deploymentの4フェーズ | 同じ4つのフェーズを引き継ぐ |
| 運用後の対応 | モデルの劣化への対応を扱うフェーズはない | モデルの劣化に対応する「Monitoring & Maintenance」フェーズを新設 |
| 品質保証 | 品質保証の方法論は含まない | 各フェーズの各タスクに品質保証の方法論を組み込む |
モデルは運用を始めたあとに劣化することがあり、CRISP-ML(Q)はその対応を独立したフェーズにしています。2つのモデルを1対1で比べた整理はCRISP-DMとCRISP-MLの違いにあります。運用の仕組みを指す言葉はMLOpsの用語解説で確認できます。
一次資料: Studerほか「Towards CRISP-ML(Q): A Machine Learning Process Model with Quality Assurance Methodology」(arXiv:2003.05155、Table 1と3節。2026-09-24に確認)
ウォーターフォールとアジャイル
AWSのソフトウェア開発ライフサイクルの解説をもとに、2つの開発手法を並べます。分かれ目は、変更をどの時点まで受け入れるかです。
| 観点 | ウォーターフォール | アジャイル |
|---|---|---|
| 進め方 | すべてのフェーズを順番に並べ、各フェーズが前のフェーズの結果に依存する | フェーズを複数の開発サイクルに配置し、各サイクルで小規模な変更だけを提供する |
| 強み | プロジェクト管理に規律が生まれ、各フェーズの終わりに具体的な成果が出る | 複雑なプロジェクトの問題を早い段階で見つけて対処でき、顧客やステークホルダーのフィードバックを全期間で得られる |
| 弱み | フェーズの完了後に変更する余地がほとんどない | フィードバックに頼りすぎると、スコープが過度に変わったり、途中で頓挫したりするおそれがある |
AWSは、ウォーターフォールを、要件を事前に正確に定義できる小規模なプロジェクトに最適としています。2つを1対1で比べた整理はアジャイルとウォーターフォールの違いにあります。
アジャイル宣言の背後にある原則(日本語版)は、要求の変更を開発の後期であっても歓迎すること、動くソフトウェアを2〜3週間から2〜3か月というできるだけ短い間隔でリリースすること、動くソフトウェアこそが進捗の最も重要な尺度であることを挙げています。
一次資料: AWS「ソフトウェア開発ライフサイクル(SDLC)とは」、アジャイル宣言の背後にある原則(日本語版)(いずれも2026-10-18に確認)
Docker・Jupyter Notebook・APIの役割
実行環境のキーワードは、何のための道具かで区別します。
- Dockerは、アプリケーションの開発・配布・実行のためのオープンなプラットフォーム。アプリケーションをコンテナと呼ぶ緩く隔離された環境にまとめて実行でき、実行に必要なものをすべて含むため、ホストにインストールされているものに依存しなくてよい
- Jupyter Notebookは、計算ドキュメントを作成し共有するためのウェブアプリケーション。Jupyterは、Python・R・Julia・Scalaを含む40以上のプログラミング言語に対応し、ノートブックは電子メールやGitHubなどで共有できる
- APIは、2つのソフトウェアコンポーネントが、決められた定義とプロトコルで通信するための仕組み。リクエストを送る側がクライアント、レスポンスを返す側がサーバー
- APIの動作方式はSOAP・RPC・Websocket・RESTの4つ。RESTはHTTPでデータをやり取りし、GET・PUT・DELETEなどの関数を定義する。REST APIは標準のアーキテクチャスタイルを使う特殊なタイプのWeb API
一次資料: Docker公式ドキュメント「Docker overview」、Project Jupyter公式サイト、AWS「APIとは」(いずれも2026-10-13に確認)
外部との連携:オープンイノベーションと産学官連携
オープンイノベーションは、組織内部のイノベーションを促すために、内部と外部の技術やアイデアなどの資源の流出入を意図的かつ積極的に活用し、組織内で生んだイノベーションを組織外に広げる市場機会を増やすことです。経済産業省の資料は、出所をヘンリー・チェスブロウの著書『Open Innovation』(2003年)としています。
産学官連携は、大学等と企業の組織と組織の連携です。経済産業省は、文部科学省とともに2016年11月に「産学官連携による共同研究強化のためのガイドライン」を策定し、2020年6月に追補版を取りまとめました。
一次資料: 経済産業省 大学連携推進室「企業のオープンイノベーションを実現する産学連携の進化に向けて」(2024年11月29日)、経済産業省「産学官連携による共同研究強化のためのガイドライン」(いずれも2026-10-13に確認)
データの整備:コーパスとは
国立国語研究所の言語コーパスガイダンスは、書き言葉や話し言葉の資料を体系的に集め、研究用の情報を付けた言葉のデータベースを言語コーパスと呼んでいます。情報処理の分野では、音声の自動認識に使う言語モデルと音響モデル、自然言語処理に使う言語モデルをつくるときに使われます。
アノテーション、データリーケージ、オープンデータセットもキーワード欄にありますが、このページでは一次資料で確認できた範囲に絞り、定義の詳しい解説は用語集に任せています。言語モデルの土台は単語の分散表現の整理にあります。
一次資料: 国立国語研究所「言語コーパスガイダンス」(2026-10-06に確認)
選択肢の読み方
一次資料の記載から、選択肢を次のように読みます。
- 「CRISP-ML(Q)は、CRISP-DMよりフェーズが増えた」は、どちらも6フェーズである点と合わない
- 「CRISP-DMには運用後の監視のフェーズがある」は、Monitoring & Maintenanceが新設された点と合わない
- 「ウォーターフォールは、完了後も柔軟に変更できる」は、完了後に変更する余地がほとんどないという整理と合わない
- 「アジャイルは、一度に全機能をそろえて納品する」は、小規模な変更を各サイクルで提供するという整理と合わない
- 「Jupyter Notebookは、コンテナで実行環境を隔離する道具」は、コンテナはDockerの説明である点と合わない
- 「RESTはWeb APIとは別の種類のAPIである」は、REST APIがWeb APIの特殊なタイプであるという整理と合わない
ここで挙げた読み方は、一次資料の記載から導いたこのページの整理で、出題を予想するものではありません。
G検定の学習に使う書籍(Amazon)
試験範囲を通して読むときの1冊です。読んだ章は、このサイトの章別問題で確かめられます。
よくある質問
G検定のAIプロジェクトの進め方で、まず押さえる語は何ですか?
CRISP-DMとCRISP-ML(Q)の違いです。CRISP-ML(Q)は、CRISP-DMの2つのフェーズを1つに統合し、運用後の「Monitoring & Maintenance」を加えた点が違います。次にウォーターフォールとアジャイルの対比を押さえると、進め方の問題はほぼ整理できます。
CRISP-DMとCRISP-ML(Q)は、どちらがフェーズ数が多いですか?
どちらも6フェーズです。CRISP-DMの2つ(Business UnderstandingとData Understanding)を1つにまとめ、Monitoring & Maintenanceを足したため、数は変わりません。数でなく、何が統合され何が足されたかを覚えてください。
DockerとJupyter Notebookは、何が違いますか?
Dockerは、アプリケーションをコンテナという隔離された環境にまとめて実行する仕組みです。Jupyter Notebookは、計算のドキュメントを作って共有するためのウェブアプリケーションです。実行環境をそろえる道具と、試行錯誤を記録する道具という役割の違いがあります。
REST APIとWeb APIは同じ意味ですか?
同じではありません。AWSの解説では、REST APIは標準のアーキテクチャスタイルを使う特殊なタイプのWeb APIとされています。APIの動作方式にはSOAP・RPC・Websocket・RESTの4つがあります。
このページの内容は、公式シラバスの本文と照合済みですか?
照合できていません。大項目7のキーワードは、当サイトの出題範囲表にある語で、民間の解説記事との突き合わせで確認したものです。JDLA公式シラバスのPDF本文は取得できなかったため、受験前に公式の出題範囲を確認してください。
